多発外傷の重症度を評価する:外傷重症度スコアの解説

多発外傷の重症度を評価する:外傷重症度スコアの解説

防災防犯を教えて

『外傷重症度スコア』って、何かの略語ですか?

防災防犯の研究家

いい質問ですね。『外傷重症度スコア』は、怪我の重さを数値で表すための指標を日本語で言ったものですよ。英語では Injury Severity Scoreといって、その頭文字をとってISSと略します。

防災防犯を教えて

怪我の重さを数値にするって、どういうことですか?

防災防犯の研究家

例えば、事故で怪我をした時に、頭やお腹など、体のどこをどれくらい酷く怪我しているかを数値で表すことで、適切な治療につなげることができるのです。この数値が高いほど、怪我の程度が重いと判断されます。

外傷重症度スコアとは。

事故や事件に備えるための言葉に「外傷重症度スコア」というものがあります。これは、1974年にベイカーさんたちが、たくさんの怪我をした人を診るため、怪我の程度を測る方法として考え出したものです。この方法は、「AIS」と呼ばれる怪我の評価をもとに計算されます。 まず、怪我を頭と首、顔、胸、お腹と骨盤の中にある臓器、手足と骨盤、皮膚の6つの場所に分けます。そして、それぞれの場所のAISの最も高い点数を使い、高い方から3つまでの点数をそれぞれ2乗して、最後に全てを足し合わせたものを「ISS」と呼びます。今は、1998年に新しくなった「AIS-90Update98」を使って計算しています。ISSは、いくつかの場所の怪我を体のつくりに着目して測ったもので、亡くなる確率と深い関係があります。また、亡くなる確率だけでなく、入院する日数とも関係があり、社会の様々な場面で役立つ指標として評価されています。防げたはずの怪我による死亡を客観的に評価するために、チャンピオンさんたちが提唱した「TRISS」という方法では、どれくらいの人が生き残るかを予測する上で、ISSが重要な項目として使われており、最近はさらに応用範囲が広がっています。(JTrauma1990;30:1356より)

外傷重症度スコアとは

外傷重症度スコアとは

– 外傷重症度スコアとは外傷重症度スコア(ISS)は、交通事故や転落事故などによって、一箇所だけでなく身体の複数の部位に怪我を負った、いわゆる多発外傷の患者さんの状態を評価するための指標です。1974年にベイカーという医師たちによって考案され、その後もより正確に評価できるように改良が重ねられてきました。このスコアは、患者さんが負った怪我の重症度を数値化することで、医師が患者さん一人ひとりに最適な治療方針を決定するのに役立ちます。怪我の程度を客観的な数値で表すことができるため、医師間での情報共有や治療方針の決定がスムーズに行えるようになるというメリットもあります。ISSは、人体を頭部・頸部、顔面、胸部、腹部、四肢、体表の6つの部位に分け、それぞれの部位で最も重症な怪我に対して、1点(軽傷)から5点(致命傷)までの点数がつけられます。そして、最も点数が高い部位が2つ以上ある場合は、そのうち点数の高い上位2つの部位の点数をそれぞれ2乗して足し合わせることで、総合的な外傷重症度スコアを算出します。例えば、頭部に重症な怪我(5点)を負い、その他に腕の骨折(3点)などの怪我を負った場合、ISSは5の2乗と3の2乗を足した34点となります。ISSが15点以上の場合、重症多発外傷と判断され、救命救急センターでの集中的な治療が必要となります。ISSを用いることで、患者さんの予後、つまり将来的な回復の見込みを予測することも可能になります。スコアが高いほど、後遺症が残ったり、最悪の場合、亡くなってしまうリスクが高くなるということが統計的に示されています。このように、外傷重症度スコアは、多発外傷の患者さんの治療方針決定や予後予測に非常に役立つ重要な指標と言えます。

項目 内容
定義 交通事故などによる多発外傷の患者の状態を評価するための指標
目的 – 患者ごとに最適な治療方針の決定
– 医師間での情報共有
– 治療方針決定のスムーズ化
評価方法 – 人体を6部位(頭部・頸部、顔面、胸部、腹部、四肢、体表)に分割
– 各部位で最も重症な怪我に対して1点(軽傷)~5点(致命傷)で評価
– 最も点数が高い上位2つの部位の点数をそれぞれ2乗して合計(例:頭部5点、腕3点の場合、5²+3²=34点)
重症多発外傷の基準 15点以上
予後予測 スコアが高いほど、後遺症が残ったり、死亡するリスクが高い

計算方法:体の部位ごとに評価

計算方法:体の部位ごとに評価

負傷の重症度を評価する指標として、傷害重症度スコア(ISS)があります。ISSは、体の部位ごとに怪我の程度を数値化し、その合計値で全身の状態を評価します。体の部位は、大きく6つに分けられます。

まず、頭と首を合わせた頭頸部です。次に、顔面です。そして、胸部腹部および骨盤内臓器と続きます。さらに、手足を合わせた四肢および骨盤が加わります。最後に、皮膚などの体表も評価の対象となります。

それぞれの部位で、最も重い怪我に対してスコアがつけられます。そして、最も重い怪我のスコアを、あらかじめ決められた計算式に当てはめることで、最終的なISSが算出されます。ISSは、負傷の重症度を客観的に評価する上で重要な指標となっています。

体の部位 詳細
頭頸部 頭と首
顔面
胸部
腹部および骨盤内臓器
四肢および骨盤 手足
体表 皮膚など

怪我の重症度を6段階で評価

怪我の重症度を6段階で評価

事故や災害などで負った怪我の深刻さを客観的に評価するために、AIS(傷害重症度スコア)と呼ばれる6段階の基準が用いられています。この基準は、国際的に広く採用されており、医療現場や救急活動において重要な役割を担っています。

AISは、1から6までの数字で怪我の重症度を表し、数字が大きくなるほど怪我の状態が深刻であることを示します。具体的には、1はかすり傷や軽い打撲など、治療の必要がないか、簡単な処置のみで済むような軽度の怪我を表します。一方、6は救命が困難な、あるいは救命できたとしても重い後遺症が残る可能性が高い重篤な怪我を示します。

例えば、皮膚の表面が少し擦りむけただけの軽度の擦り傷はAIS1と評価されます。一方、交通事故などで頭部に強い衝撃を受け、意識不明の状態が続くような重度の頭部外傷はAIS6と評価されます。このように、AISを用いることで、怪我の深刻さを客観的に判断し、適切な治療や処置につなげることが可能となります。

AIS 傷害の程度
1 軽傷:治療不要、または簡単な処置で済む かすり傷、軽い打撲
2-5 中等症~重症
6 重篤:救命困難、または重い後遺症が残る可能性が高い 意識不明となる重度の頭部外傷

スコアが高いほど重症

スコアが高いほど重症

交通事故や高所からの落下など、強い衝撃を伴う事故では、身体の複数の部位に損傷を負うことが少なくありません。このような場合、それぞれの怪我の程度だけでなく、全身の状態を総合的に評価することが非常に重要になります。そのために用いられる指標の一つが、Injury Severity Score(ISS)と呼ばれるものです。
ISSは、事故による怪我の重症度を数値化するために考案されました。具体的には、頭部、顔面、胸部、腹部、四肢、皮膚の6つの部位について、それぞれ最も重症な損傷の程度を6段階で評価し、その中で最も高い3つの部位のスコアの2乗を合計することで算出します。ISSは1から75までの値をとり、スコアが高いほど、患者の状態が深刻であることを示します。
ISSが16以上の場合は、重症多発外傷と判断され、生命に関わる危険性が高い状態とみなされます。このような患者さんに対しては、救命救急センターなど、専門的な医療機関において、集中的な治療が行われます。迅速かつ適切な処置を行うことで、後遺症のリスクを軽減し、社会復帰を目指すことが重要です。

項目 詳細
対象となる事故 強い衝撃を伴う事故 (例: 交通事故, 高所からの落下)
ISSの目的 事故による怪我の重症度を数値化
ISSの算出方法
  • 頭部, 顔面, 胸部, 腹部, 四肢, 皮膚 の6部位を評価
  • 各部位の損傷を6段階で評価
  • 最も高い3つの部位のスコアの2乗を合計 (1-75点)
ISSスコアの解釈
  • スコアが高いほど重症
  • 16点以上: 重症多発外傷, 生命の危険性が高い
重症多発外傷の治療 救命救急センターなどでの集中的治療

死亡率との相関

死亡率との相関

– 死亡率との相関

外傷重症度スコア(ISS)は、事故などで負傷した患者の容態の深刻さを数値化したものです。このスコアは、負傷の重症度と生命の危険性との間に密接な関係があることを示しています。

ISSが高いほど、患者が亡くなるリスクが高くなるということが分かっています。これは、ISSが単に怪我の程度を表すだけでなく、その怪我によって生命がどれだけ脅かされているかを反映していることを意味します。

つまり、ISSは医療現場において、患者の予後を予測するための重要な指標として用いられています。医師はISSの値を参考にすることで、より適切な治療方針を決定し、患者の救命率向上に努めることが可能となります。

項目 説明
外傷重症度スコア(ISS) 事故などで負傷した患者の容態の深刻さを数値化したもの
ISSと死亡率の関係 ISSが高いほど、死亡リスクが高くなる
ISSの意義 怪我の程度だけでなく、生命への脅威の程度を反映する
医療現場での活用 患者の予後予測の指標として、適切な治療方針決定に役立つ

幅広い応用範囲

幅広い応用範囲

– 幅広い応用範囲

事故状況を記録するシステム(ISS)は、救急医療の現場だけでなく、様々な場面でその力を発揮します。
交通事故はその一例です。事故が発生すると、関係者からの聞き取りや現場検証が行われますが、どうしても主観的な情報に頼らざるを得ない部分が出てきます。

ISSは、事故当時の状況をありのままに記録することで、客観的な情報に基づいた事故分析を可能にします。ドライブレコーダーの映像や、速度、ブレーキのタイミング、衝撃の大きさなどのデータは、事故原因の究明に大きく役立ちます。例えば、脇見運転や居眠り運転など、運転手の過失が疑われる場合でも、ISSの記録があれば、より確実な判断材料を得ることができます。

さらに、収集したデータは、今後の事故予防にも繋がります。 多くの事故データから危険な場所や時間帯を特定し、注意喚起を行うことで、事故の発生率を抑制することが期待できます。また、事故の傾向を分析することで、より効果的な交通ルールや道路設計の検討材料にもなります。

このように、ISSは、事故状況の記録という役割を超えて、安全な社会の実現に貢献できる可能性を秘めています。

用途 効果 詳細
事故状況の記録 客観的な情報に基づいた事故分析 ドライブレコーダー映像、速度、ブレーキタイミング、衝撃の大きさなどのデータ記録
事故予防 危険な場所・時間帯の特定、注意喚起による事故発生率抑制 多くの事故データからの分析
交通ルール・道路設計の改善 効果的なルール・設計の検討材料 事故傾向の分析