多発外傷

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多臓器損傷:その危険性と対応

- 多臓器損傷とは交通事故などの大きな事故に遭ったり、災害に巻き込まれたりした際に、私たちの身体は大きな衝撃を受け、様々な傷を負うことがあります。中でも、一度に複数の臓器が損傷を受けてしまう「多臓器損傷」は、命に関わる危険性も非常に高く、一刻を争う深刻な状態です。多臓器損傷は、例えば交通事故で腹部を強く打ち付け、肝臓や脾臓、腎臓など、お腹の中にある複数の臓器が同時に傷ついてしまうような場合を指します。このような状態に陥ると、それぞれの臓器が正常に機能しなくなるだけでなく、臓器同士の連携も崩れてしまい、全身に悪影響が及ぶ可能性があります。多臓器損傷は、初期の段階では外見からはその深刻さを判断しにくい場合もあります。しかし、時間の経過とともに容態が急変する可能性も高く、早期発見と適切な処置が救命の鍵となります。そのため、交通事故などに遭った後、たとえ軽傷だと思えても、必ず医療機関を受診し、医師の診察を受けるように心がけましょう。
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多発外傷:生死を分ける重症度の高い外傷

私たちの体は、頭と首、胸、お腹、骨盤、そして腕や足といったように、いくつかの部分に分けて考えることができます。交通事故などで強い衝撃を受けると、これらの複数の場所に同時に重い怪我をしてしまうことがあります。このような、複数の部位に及ぶ深刻な怪我のことを「多発外傷」と呼びます。例えば、車に乗っていて事故に遭い、頭を強く打ち付けてしまったとしましょう。同時に、足の骨も折れてしまったとします。この場合、頭の怪我だけでも、足の骨折だけでも、入院が必要な重症となる可能性があります。しかし、多発外傷では、それぞれの怪我に加えて、複数の怪我による影響が重なり合い、さらに命の危険が高まってしまうのです。多発外傷は、交通事故だけでなく、高いところからの落下や、激しいスポーツなどでも起こる可能性があります。複数の部位に強い衝撃が加わるような場合には、特に注意が必要です。もしもの場合は、速やかに救急車を呼ぶなどして、適切な処置を受けるようにしましょう。
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多発外傷の重症度を評価する:外傷重症度スコアの解説

- 外傷重症度スコアとは外傷重症度スコア(ISS)は、交通事故や転落事故などによって、一箇所だけでなく身体の複数の部位に怪我を負った、いわゆる多発外傷の患者さんの状態を評価するための指標です。1974年にベイカーという医師たちによって考案され、その後もより正確に評価できるように改良が重ねられてきました。このスコアは、患者さんが負った怪我の重症度を数値化することで、医師が患者さん一人ひとりに最適な治療方針を決定するのに役立ちます。怪我の程度を客観的な数値で表すことができるため、医師間での情報共有や治療方針の決定がスムーズに行えるようになるというメリットもあります。ISSは、人体を頭部・頸部、顔面、胸部、腹部、四肢、体表の6つの部位に分け、それぞれの部位で最も重症な怪我に対して、1点(軽傷)から5点(致命傷)までの点数がつけられます。そして、最も点数が高い部位が2つ以上ある場合は、そのうち点数の高い上位2つの部位の点数をそれぞれ2乗して足し合わせることで、総合的な外傷重症度スコアを算出します。例えば、頭部に重症な怪我(5点)を負い、その他に腕の骨折(3点)などの怪我を負った場合、ISSは5の2乗と3の2乗を足した34点となります。ISSが15点以上の場合、重症多発外傷と判断され、救命救急センターでの集中的な治療が必要となります。ISSを用いることで、患者さんの予後、つまり将来的な回復の見込みを予測することも可能になります。スコアが高いほど、後遺症が残ったり、最悪の場合、亡くなってしまうリスクが高くなるということが統計的に示されています。このように、外傷重症度スコアは、多発外傷の患者さんの治療方針決定や予後予測に非常に役立つ重要な指標と言えます。