二相性陽圧とは？仕組みと利点を解説

二相性陽圧とは？仕組みと利点を解説

二相性陽圧の概要

二相性陽圧の概要

二相性陽圧は、自発的に呼吸をする力を助ける医療機器の一つで、持続的気道内陽圧（シーパップCPAP）をさらに進化させたものです。

シーパップは、常に一定の圧力で空気を気道に送り込み続けることで、気道の閉塞を防ぎます。一方、二相性陽圧は、シーパップのように常に一定の圧力をかけるのではなく、高い圧力と低い圧力を交互にかけることで、より自然な呼吸をサポートします。この圧力の変化は、通常、自発呼吸のリズムよりも長い周期で繰り返されます。

低い圧力の時は、息を吸いやすくすることで呼吸を楽にし、高い圧力の時は、十分な酸素を体に取り込めるようにサポートします。この二つの圧力を交互にかけることで、自然な呼吸のリズムに近づき、快適な睡眠を得ることができます。

二相性陽圧は、シーパップよりも効果が高い場合があり、睡眠時無呼吸症候群の治療に用いられます。ただし、すべての人に効果があるわけではなく、医師の診断が必要です。

二相性陽圧の仕組み

– 二相性陽圧の仕組み二相性陽圧とは、睡眠時無呼吸症候群の治療で使用される人工呼吸器の一つで、高い空気圧と低い空気圧を交互に送り込むことで呼吸を補助する治療法です。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まってしまう病気です。気道が狭くなることで空気の通りが悪くなり、息苦しさや頻繁な覚醒を引き起こします。二相性陽圧はこの気道の狭窄を、空気圧によって押し広げることで改善します。高い空気圧は、肺に十分な量の空気を送り込む役割を担います。これにより、血液中の酸素濃度が上昇し、呼吸が安定します。一方、低い空気圧は、息を吐き出す際の抵抗を減らし、呼吸を楽にする効果があります。従来の治療法であるCPAP（経鼻的持続陽圧呼吸療法）では、常に一定の圧力で空気を送り込みますが、二相性陽圧では高い圧力と低い圧力を交互に切り替えるため、より自然な呼吸に近づけることができます。また、低い圧力を使用する時間帯を設けることで、CPAPよりも低い圧力で治療効果を得られる可能性があります。二相性陽圧は、CPAPよりも快適に使用できると感じる患者様も多く、治療の継続率向上も期待されています。

機能的残気量への影響

呼吸において、息を完全に吐ききった後でも肺には一定量の空気が残ります。この残った空気の量を機能的残気量と呼びます。機能的残気量は、肺が完全に潰れてしまうことを防ぎ、次の呼吸をスムーズに行うために重要な役割を果たしています。

二相性陽圧換気療法において、この機能的残気量は人工的に調整することができます。具体的には、吸気時に高い気道内圧をかけることで機能的残気量を増やし、呼気時に低い気道内圧をかけることで機能的残気量を減らすことができます。

この機能的残気量の調整は、患者の自発呼吸のリズムに合わせて行われます。例えば、患者が自ら息を吸おうとするタイミングに合わせて高い気道内圧をかけ、機能的残気量を増やすことで、より自然で楽な呼吸をサポートします。逆に、患者が息を吐こうとするタイミングに合わせて低い気道内圧をかけ、機能的残気量を減らすことで、効率的な換気を促します。

このように、二相性陽圧換気療法では、機能的残気量を緻密にコントロールすることで、患者の呼吸状態に合わせてより効果的な呼吸サポートを実現できます。

二相性陽圧の利点

– 二相性陽圧の利点二相性陽圧は、従来の経鼻的持続陽圧呼吸療法（CPAP）と比較して、より自然な呼吸をサポートし、呼吸の努力を軽減する効果があります。CPAPは、常に一定の圧力で空気を送り込むのに対し、二相性陽圧は吸気時と呼気時に異なる圧力をかけることで、より自然な呼吸を再現します。具体的には、息を吸い込む際には高い圧力をかけることで肺に十分な空気を送り込み、息を吐き出す際には低い圧力にすることで呼吸の負担を軽減します。この二つの圧力を調整することで、CPAPでは効果が不十分な場合や、圧力が高すぎてしまい、装着が難しいと感じている方にも、快適に使用できる可能性があります。また、二相性陽圧は、低い圧力で効果を得られるため、CPAPに伴う副作用（顔面への圧迫感、空気の漏れ、口の渇きなど）を軽減できる可能性があります。さらに、二相性陽圧は、機能的残気量（FRC）を効果的に調整することで、より効率的な呼吸を促します。FRCとは、息を吐ききった後にも肺に残っている空気の量のことです。二相性陽圧は、このFRCを適切に保つことで、肺のガス交換効率を高め、呼吸困難感を改善します。このように、二相性陽圧は、CPAPよりも自然で快適な呼吸サポートを実現する治療法と言えるでしょう。

適用される症状

– 適用される症状

二相性陽圧換気療法は、睡眠中に呼吸が止まってしまう「閉塞性睡眠時無呼吸症候群（OSA）」などの呼吸器疾患の治療に用いられます。
この治療法では、鼻に装着したマスクを通じて空気を送り込み、気道を広げて呼吸を助けます。

特に、従来から広く用いられている持続陽圧呼吸療法（CPAP）では効果が十分に得られない場合や、CPAPのマスクの圧迫感や乾燥感などの副作用が強く出てしまう場合に、二相性陽圧換気療法は有効な選択肢となります。

しかしながら、二相性陽圧換気療法は、すべての人に適しているわけではありません。
治療の効果や副作用には個人差があり、医師による適切な診断と、患者さんそれぞれの症状や体質に合わせた治療法の選択が非常に重要となります。