健康

その他

アルカローシス:その原因と症状

- アルカローシスとは私たちの体は、健康な状態を保つために、常に弱アルカリ性に保たれています。これを酸塩基平衡と呼びますが、アルカローシスは、このバランスが崩れ、血液中のpHが7.45を超えてアルカリ性に傾いた状態を指します。アルカローシスは、大きく分けて二つの原因によって起こります。一つは、呼吸によって体内の二酸化炭素が過剰に排出されてしまうことです。息を吸うと酸素を取り込み、息を吐くことで二酸化炭素を排出しますが、過呼吸などによってこのバランスが崩れると、血液中の二酸化炭素濃度が低下し、アルカローシスを引き起こします。もう一つの原因は、嘔吐や下痢などによって体内の酸が過剰に失われてしまうことです。私たちの胃は、食べ物を消化するために強い酸性の胃液を分泌しています。しかし、嘔吐を繰り返すことでこの胃酸が失われてしまうと、血液中の酸が減少し、アルカローシスを引き起こします。アルカローシスは、健康な状態ではあまり見られませんが、特定の病気や状態が原因となることが多いです。例えば、過呼吸症候群、心不全、腎臓病などが挙げられます。また、利尿剤などの薬の副作用として起こることもあります。アルカローシスの症状としては、めまい、しびれ、筋肉のけいれん、意識障害などがあります。重症化すると、呼吸不全や昏睡に至ることもあります。もし、これらの症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。
感染症から守る

静かな脅威:破傷風について

- 身近に潜む破傷風菌破傷風は、破傷風菌という細菌が原因で起こる感染症です。この細菌は、土の中など、私たちの身の回りのどこにでもいる、ごくありふれたものです。普段は土の中で静かに過ごしており、私たちに危害を加えることはありません。しかし、傷口から私たちの体の中に入ると、毒素と呼ばれる体に悪い物質を作り出し、深刻な症状を引き起こすことがあります。破傷風菌は、特に土の中に多く存在しています。そのため、土いじりやガーデニングなどをしていると、知らず知らずのうちに傷口から菌が侵入している可能性があります。また、錆びた釘や刃物で怪我をした場合にも注意が必要です。これらのものには、破傷風菌が付着していることが多いためです。破傷風は、早急に適切な治療を行えば、治癒する病気です。しかし、治療が遅れると、全身の筋肉が硬直したり、けいれんを起こしたりするなど、深刻な症状に悩まされることになります。最悪の場合、命を落とす危険性もゼロではありません。破傷風を予防するためには、日頃から怪我をしないように注意することが大切です。また、万が一、傷を負った場合には、すぐに傷口を洗い流し、消毒するなど適切な処置を行いましょう。そして、破傷風に対する免疫をつけるために、定期的なワクチンの接種も有効な手段となります。
その他

羽ばたき振戦:肝臓からのサイン?

- 羽ばたき振戦とは羽ばたき振戦とは、両手を前に真っ直ぐ伸ばし、手首を反り返らせるように意識すると、まるで鳥が羽ばたくように手が震えてしまう症状のことです。医学的には、手首や指の関節が自分の意思とは関係なく、曲がったり伸びたりを繰り返す不随意運動の一種として知られています。この震えは、手をゆっくりと動かそうとしても現れ、早く動かそうとするとさらに激しくなるという特徴があります。また、震えは左右の手で同時に起こることが多く、片方の手だけで起こることは稀です。羽ばたき振戦は、その動きがまるで空気を羽ばたく鳥の姿に似ていることから名付けられました。この症状が現れる原因は、肝臓病や脳の病気など様々ですが、特に肝臓の機能が低下している場合に多く見られることが知られています。もし、羽ばたき振戦の症状が見られる場合は、自己判断せずに、速やかに医療機関を受診し、医師の診察を受けるようにしてください。
その他

薬物依存からの脱却:離脱症状と向き合う

- 薬物離脱症状とは薬物離脱症状は、長い間薬を使い続けていた人が、その薬の使用を急に中止したり、使用量を減らしたりした際に現れる、心身に様々な不調のことです。私たちの体は、薬を長期間摂取し続けると、その薬が存在している状態に慣れていきます。この状態になると、薬の作用が弱まったり、無くなったりしたときに、体が正常に働かなくなり、様々な症状が現れるのです。薬物離脱症状は、使用していた薬の種類や、どのくらいの期間使用していたか、また、その人の体質によって大きく異なります。しかし、一般的に多く見られる症状としては、強い不安感、焦燥感、イライラ、不眠、吐き気、手の震えなどがあります。これらの症状は、一時的なものから、数週間続くものまで様々です。薬物離脱症状は、辛い症状を伴うこともありますが、適切な治療と、周りの人のサポートを受けることで、症状を和らげ、回復へと向かうことができます。一人で悩まず、医療機関や相談窓口に相談してみましょう。
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静かに忍び寄る脅威:肺血栓塞栓症

- 肺血栓塞栓症とは肺血栓塞栓症とは、肺の血管が詰まってしまう病気です。私たちの体には、心臓から送り出された血液を全身に送り、再び心臓に戻すための血管が張り巡らされています。動脈は心臓から全身へ血液を送り出す血管、静脈は全身から心臓へ血液を戻す血管です。肺血栓塞栓症の原因のほとんどは、足の静脈にできた血のかたまりです。この血のかたまりは「血栓」と呼ばれ、血栓ができてしまった状態を「血栓症」と言います。ふくらはぎの静脈などにできた血栓は、血液の流れに乗って心臓に戻り、心臓から肺へ送られます。そして、肺の血管を詰まらせてしまうのです。これが肺血栓塞栓症の主なメカニズムです。肺の血管が詰まると、血液は心臓に戻ることができなくなり、心臓に負担がかかります。また、肺で酸素を取り込むことができなくなるため、息苦しさや胸の痛みを感じます。肺血栓塞栓症は、重症化すると命に関わる病気です。そのため、早期発見・早期治療が重要となります。
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命を守る知識:肺うっ血とその基礎

- 肺うっ血とは?私たちは、呼吸をすることで、体の中に酸素を取り込み、不要になった二酸化炭素を排出しています。この大切な役割を担っているのが肺です。肺の中には、肺胞と呼ばれる小さな袋がたくさんあり、ここで血液に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出するガス交換が行われています。肺うっ血とは、この肺胞周辺の血管に血液が必要以上に溜まってしまう状態を指します。心臓は、体全体に血液を循環させるポンプのような役割を担っていますが、この心臓に何らかの異常が起こり、血液をうまく送り出せなくなると、肺に血液が滞ってしまうことがあります。これが肺うっ血です。つまり、肺うっ血は、肺そのものの病気ではなく、心臓の機能と密接に関係しているといえます。心臓のポンプ機能が低下することで、肺の血管に負担がかかり、血液が過剰に溜まってしまうのです。
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遅延型アレルギー反応:時間差のある免疫の攻撃

私たちの体は、細菌やウイルスなどの体に害をなすものから体を守る仕組みを持っています。これを免疫システムと呼びますが、このシステムは、大きく分けて二つの反応で異物を排除します。一つは、即時型アレルギー反応と呼ばれるもので、アレルギーの原因となるもの(アレルゲン)に触れてから数分から数時間以内に症状が現れるものです。花粉症や特定の食品アレルギーなどが、この反応に当てはまります。もう一つは、今回紹介する遅延型アレルギー反応です。この反応は、アレルゲンに触れてから症状が現れるまでに24時間から48時間かかる点が特徴です。特定の金属や化粧品などに触れた部分が赤くなったり、かゆくなったりする接触皮膚炎は、この遅延型アレルギー反応によって引き起こされます。また、ツベルクリン反応も遅延型アレルギー反応の一つです。この二つのアレルギー反応は、症状が出るまでの時間だけでなく、免疫システムがどのように働くかという点でも異なります。即時型アレルギー反応は、主にIgE抗体と呼ばれる物質が関与し、ヒスタミンなどの化学物質が放出されることで、くしゃみや鼻水、皮膚の発疹などの症状を引き起こします。一方、遅延型アレルギー反応は、T細胞と呼ばれる免疫細胞が、アレルゲンに反応して活性化することで起こります。活性化したT細胞は、様々な炎症物質を産生し、それが皮膚や組織の炎症を引き起こします。遅延型アレルギー反応は、即時型アレルギー反応に比べて症状が現れるまでに時間がかかるため、原因となるアレルゲンを特定することが難しい場合があります。身に覚えのない皮膚炎などが続く場合は、医療機関を受診し、パッチテストなどの検査を受けることをお勧めします。
感染症から守る

免疫の暴走?サイトカインストームとは

私たち人間の体には、体に害をなす細菌やウイルスなどの病原体から身を守る、「免疫」という優れた仕組みが備わっています。この免疫システムは、体内に入り込んだ病原体を攻撃し、体外へ排出することで私たちの健康を守っているのです。免疫システムにおいて中心的な役割を担うのが、免疫細胞です。体内をパトロールし、病原体を見つけ出すと、攻撃を仕掛けます。さらに、一度侵入した病原体を記憶し、次に侵入した際に素早く対応できるように備えています。この免疫細胞たちが互いに情報をやり取りするために使っているのが、「サイトカイン」と呼ばれるタンパク質です。サイトカインは、免疫細胞から分泌され、細胞間を飛び交うメッセンジャーのように、他の細胞に指令を出します。「攻撃を開始せよ」「増殖せよ」「炎症を起こせ」といった具合に、状況に応じて様々なメッセージを伝達することで、免疫反応の調整役を担っているのです。このように、サイトカインは、私たちの体が病気から身を守る免疫システムにおいて、非常に重要な役割を担っています。サイトカインの働きが乱れると、免疫システムが正常に機能せず、様々な病気につながることがあります。
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旅行中のリスク!エコノミークラス症候群にご注意を

- 静脈血栓症とは?静脈血栓症は、体の静脈の中に血液の塊(血栓)ができてしまう病気です。この血栓によって血液の流れが阻害され、様々な症状を引き起こします。特に、足の深いところにある静脈に血栓ができる場合は深部静脈血栓症と呼ばれ、注意が必要です。深部静脈血栓症は、足のむくみや痛み、皮膚の色が赤や青っぽく変化するなどの症状が現れることがあります。血栓が大きくなると、血管が完全に詰まってしまい、深刻な状態になることもあります。深部静脈血栓症は、長時間座り続けることで発症リスクが高まることが知られています。特に、飛行機のエコノミークラスのように、狭い座席で長時間同じ姿勢を続ける場合は注意が必要です。そのため、深部静脈血栓症は「エコノミークラス症候群」とも呼ばれています。しかし、飛行機の座席だけでなく、デスクワークや長距離バスの乗車など、長時間同じ姿勢を続ける場合は、誰でも深部静脈血栓症を発症する可能性があります。こまめな休憩や水分補給、足の運動など、予防を心がけることが大切です。
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睡眠時無呼吸症候群と交通事故リスク

- 睡眠時無呼吸症候群とは睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、眠っている間に呼吸が何度も止まり、ぐっすり眠ることができない病気です。決して珍しい病気ではなく、多くの人が悩まされています。特に、中高年の男性に多くみられます。この病気の主な原因は、睡眠中に舌やのどの奥にある軟口蓋と呼ばれる部分が、重力によって気道を塞いでしまうことにあります。その結果、十分な酸素が体に取り込めなくなってしまうのです。睡眠時無呼吸症候群になると、日中の強い眠気に悩まされることがあります。また、集中力の低下や倦怠感など、日常生活に支障をきたす症状が現れることもあります。さらに、放っておくと高血圧や心臓病、脳卒中などの深刻な病気を引き起こすリスクも高まります。健康的な毎日を送るためには、睡眠時無呼吸症候群を正しく理解し、適切な対策を講じることが重要です。
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活性酸素消去酵素:スーパーオキサイドディスムターゼ

- 活性酸素とスーパーオキサイドディスムターゼ私たちは、呼吸によって体内に酸素を取り込み、生命活動のエネルギーを得ています。このエネルギーを生み出す過程で、酸素の一部は「活性酸素」と呼ばれる物質に変化します。活性酸素は、まるで錆が生じるように、細胞を傷つける作用があります。しかし、ただ有害な物質というわけではありません。活性酸素は、体内に侵入してきた細菌やウイルスを攻撃し、排除する免疫機能においても重要な役割を担っています。健康な状態であれば、私たちの体内では活性酸素の発生と消去がバランスよく保たれており、問題なく過ごせているのです。しかし、ストレスや喫煙、紫外線、大気汚染などの影響によって活性酸素が過剰に発生してしまうと、細胞や組織への攻撃が激しくなり、様々な不調を引き起こすと考えられています。この状態は「酸化ストレス」と呼ばれ、老化の促進や、がん、動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病、 Alzheimer型認知症など、様々な病気との関連が指摘されています。活性酸素にはいくつか種類があり、その中でも「スーパーオキサイド」と呼ばれる活性酸素を分解するのが、「スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)」という酵素です。SODは、スーパーオキサイドを、毒性の低い過酸化水素と酸素に変換することで、細胞を酸化ストレスから守る働きをしています。過酸化水素は、その後別の酵素によって無害な水と酸素に分解されます。このように、SODは私たちの体にとって非常に重要な役割を担っており、健康を維持するために欠かせない酵素と言えるでしょう。
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知っておきたい病気:神経因性膀胱

- 神経因性膀胱とは神経因性膀胱とは、脳からの指令を膀胱に伝える神経に障害が起こることで、尿の蓄積と排出がうまくコントロールできなくなる病気です。通常、膀胱に尿がたまると、その情報が神経を通して脳に伝えられます。脳は「今、排尿しても大丈夫か」を判断し、膀胱や尿道周辺の筋肉に指令を出して排尿をコントロールしています。しかし、神経因性膀胱では、この脳と膀胱をつなぐ神経経路が病気や怪我などによって損傷を受けてしまいます。その結果、脳からの指令が膀胱にうまく伝わらず、尿をためたり出したりすることが困難になります。神経因性膀胱を引き起こす原因は様々ですが、代表的なものとしては交通事故による脊髄損傷や、脳卒中、多発性硬化症、パーキンソン病などの神経疾患、糖尿病による神経障害、骨盤内手術の影響などが挙げられます。症状としては、頻尿、尿意切迫感、夜間頻尿、尿失禁、残尿感、尿閉などがみられます。神経因性膀胱は生活の質を著しく低下させる病気ですが、適切な治療やケアを行うことで症状を改善し、快適な日常生活を送ることは可能です。
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新型インフルエンザの脅威と対策

- 新型インフルエンザとは新型インフルエンザは、動物の間で流行しているインフルエンザウイルスが変異し、私たち人間にも感染するようになることで発生します。鳥インフルエンザなどがその代表例です。このウイルスは、人間の体にとって初めて出会うものですから、免疫を持っている人はほとんどおらず、感染が広がりやすいという特徴があります。2009年には、豚由来の新型インフルエンザ(H1N1)が世界中で大流行を引き起こしました。この時は、多くの人が感染したものの、幸いなことに、このウイルスは毒性が弱く、重い症状を引き起こすことは稀でした。しかし、これはあくまで結果論であり、新型インフルエンザが常に軽症で済むとは限りません。中には、重症化しやすい性質を持つウイルスも存在する可能性があり、注意が必要です。新型インフルエンザの予防には、日頃から手洗いとうがいを徹底すること、そして、人混みを避けるなどの対策が有効です。また、流行時には、咳エチケットを心掛けることも大切です。万が一、感染が疑われる場合には、速やかに医療機関を受診しましょう。正しい知識と予防対策を身につけることで、私たちは新型インフルエンザの脅威から身を守ることができます。
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呼吸性アシドーシス:原因と症状、そして対策について

- 呼吸性アシドーシスとは人間の体は、常に一定の状態に保たれています。それは体温の調節や、今回のテーマである体内の酸性とアルカリ性のバランスも例外ではありません。このバランスが崩れ、血液が酸性に傾いた状態をアシドーシスと呼びますが、その中でも肺の機能低下が原因で起こるものを呼吸性アシドーシスと言います。私たちは呼吸をすることで、体内に酸素を取り込み、それと同時に二酸化炭素を体外へ排出しています。この二酸化炭素は、体内で酸性を示す物質に変化します。健康な状態であれば、呼吸によってこの酸性の物質が体外へ排出されるため、血液の酸性度は一定に保たれています。しかし、肺の病気や呼吸筋の麻痺などにより、呼吸機能が低下すると、体外へ排出されるべき二酸化炭素が体内に蓄積してしまうのです。その結果、血液中の酸性度が上昇し、呼吸性アシドーシスを引き起こします。呼吸性アシドーシスの主な症状としては、倦怠感や頭痛、意識障害などがあります。重症化すると、昏睡状態に陥り、命に関わる危険性も高まります。呼吸が速くなったり、息苦しさを感じたりする場合は、呼吸性アシドーシスの可能性も考えられますので、速やかに医療機関を受診しましょう。
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息苦しさの原因と対処法:起坐呼吸とは?

- 起坐呼吸とは「-起坐呼吸-」とは、横になって休むよりも、座ったり体を起こしたりした方が呼吸が楽になる状態を指します。人は誰でも、横になると重力によって肺が圧迫され、呼吸が少し浅くなるものです。しかし、心臓や肺に何らかの問題を抱えている場合、この影響が顕著に現れ、横になると呼吸が苦しくなることがあります。これが起坐呼吸です。起坐呼吸は、心臓や肺の機能が低下しているサインである可能性があります。心臓の機能が低下すると、体中に血液を送り出すポンプとしての役割が弱まり、血液の循環が悪くなります。その結果、肺に血液が溜まりやすくなり、横になった際に呼吸困難を引き起こしやすくなるのです。また、肺炎や肺水腫などの肺の病気でも、肺に体液が溜まりやすくなるため、起坐呼吸が現れることがあります。起坐呼吸は、これらの病気のサインとして現れることがありますが、必ずしも深刻な病気の兆候であるとは限りません。しかし、頻繁に起坐呼吸が見られる場合や、動悸、息切れ、むくみなどの症状を伴う場合は、医療機関を受診し、医師の診断を受けるようにしましょう。
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劇症肝炎:沈黙の臓器の悲鳴

- 劇症肝炎とは劇症肝炎は、肝臓に急激な炎症が起こり、肝臓の働きが著しく低下する非常に危険な病気です。健康な肝臓は、私たちの体の中で、まるで工場のように様々な役割を担っています。体にとって有害な毒素を分解したり、健康を維持するための栄養を蓄えたり、食べ物の消化を助ける胆汁を作ったりと、生命維持に欠かせない働きを担っています。しかし、劇症肝炎によって肝臓が正常に機能しなくなると、これらの重要な働きが損なわれてしまいます。その結果、体に様々な影響が現れ、意識がもうろうしたり、出血しやすくなったり、深刻な症状が現れます。劇症肝炎は、ウイルス感染や薬の副作用など、様々な原因で発症する可能性があります。また、発症から短期間で病状が進行することが多く、早期発見と適切な治療が非常に重要になります。劇症肝炎は命に関わる病気ですが、早期に適切な治療を受けることで、回復できる可能性もあります。日頃から、肝臓に負担をかけない生活習慣を心掛け、定期的な健康診断を受けるなど、予防を意識することも大切です。
その他

命に関わる緊急事態!急性大動脈解離とは?

私たちの体の中には、心臓から送り出された血液を全身に運ぶ、非常に重要な役割を担う血管があります。それが大動脈です。まるで体中に張り巡らされた高速道路のように、大動脈は酸素を豊富に含んだ血液を体の隅々まで届け、私たちが生きていく上で欠かせない働きをしています。しかし、この重要な大動脈に、ある日突然異変が起こることがあります。それが急性大動脈解離と呼ばれる病気です。この病気は、大動脈の壁に亀裂が入り、その亀裂から血液が血管壁の中に流れ込んでしまうことで起こります。まるで高速道路に亀裂が入り、そこから車が入り込んでしまうようなもので、大変危険な状態です。急性大動脈解離は、突然激しい痛みに襲われることが多く、一刻も早く適切な処置を受けなければ命に関わることもあります。日頃から動脈硬化などのリスク因子を減らす生活を心がけ、万が一、突然の胸や背中の痛みに襲われた場合には、ためらわずにすぐに医療機関を受診することが重要です。
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ワクチンで感染症から身を守ろう

- ワクチンの役割私たちの周りには、目には見えないけれど、体に害を及ぼす小さな生き物がたくさんいます。これらは細菌やウイルスなどと呼ばれ、体内に入ると、病気の原因になることがあります。私たちの体には、このような外敵から体を守る仕組みが備わっています。これが免疫です。免疫は、体の中に侵入してきた細菌やウイルスを攻撃し、排除しようと働きます。ワクチンは、この免疫の仕組みを利用したものです。ワクチンを接種すると、私たちの体は、特定の細菌やウイルスに対する抵抗力をつけることができます。ワクチンには、病気を引き起こす力を弱めた細菌やウイルス、あるいはそれらの一部が含まれています。体内に入ったワクチンは、本物の細菌やウイルスのように攻撃対象として認識されます。すると、私たちの免疫は、このワクチンと戦うために、特定の抗体を作り出します。この抗体が、次に同じ種類の細菌やウイルスが体内に侵入してきたときに、素早く撃退してくれるのです。つまり、ワクチンは、実際に感染する前に、私たちの体を病気から守るための訓練のような役割を果たしていると言えるでしょう。
その他

静かに進行する脅威:間質性肺炎について

- 間質性肺炎とは間質性肺炎は、肺の奥深くで静かに進行する病気です。 私たちの呼吸を支える肺は、空気を取り込む気管支と、その先でぶどうの房のように広がる肺胞で構成されています。 肺胞は、毛細血管と呼ばれる細い血管で覆われており、ここで血液中に酸素を取り込み、不要な二酸化炭素を排出する、ガス交換を行っています。間質性肺炎は、この肺胞と肺胞の周りの組織に炎症が起こり、傷ついてしまう病気です。 健康な肺では、肺胞は弾力があり、呼吸に合わせてスムーズに膨らんだり縮んだりしますが、炎症が続くと、肺胞の壁が厚く硬くなり、弾力を失ってしまいます。 これが肺線維化と呼ばれる状態で、まるで風船がしぼんで固くなってしまったように、肺が膨らみにくくなるため、呼吸が苦しくなってしまうのです。間質性肺炎は、初期の段階では自覚症状が現れにくく、気づかないうちに病気が進行してしまう場合もあります。 しかし、進行すると、息切れや咳などの症状が現れ、日常生活に支障をきたすようになります。 早期発見、早期治療が重要となるため、少しでも気になる症状があれば、医療機関を受診するようにしましょう。
その他

一過性脳虚血発作:前兆を見逃さないで

- 一時的な脳の危機皆さんは「一過性脳虚血発作」という言葉を聞いたことがありますか? これはTIAとも呼ばれ、脳への血液の流れが一時的に悪くなることで、様々な神経症状が現れる病気です。例えるなら、脳卒中の軽い症状が短時間だけ現れるようなもので、「脳の軽い梗塞」とも呼ばれています。症状としては、手足の麻痺やしびれ、言葉が出にくくなる、ろれつが回らなくなる、ものが二重に見える、ふらつきなど、脳卒中に似た症状が現れます。 ただし、TIAは脳卒中と違って、これらの症状が通常は数分から数時間以内でおさまってしまう点が特徴です。症状がすぐに消えてしまうため、「気のせい」や「疲れ」と勘違いしてしまいがちですが、TIAは決して軽視してはいけません。 なぜなら、TIAは脳梗塞の前触れである可能性が高く、放置すると命に関わるような重い脳梗塞につながる危険性があるからです。実際に、TIAを経験した人の約3割は、その後、脳梗塞を発症すると言われています。もし、TIAと思われる症状が現れたら、すぐに医療機関を受診することが大切です。 早期に適切な治療を受けることで、脳梗塞を予防できる可能性があります。
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知っておきたい異型狭心症:安静時の胸痛にご用心

- 異型狭心症とは?異型狭心症は、心臓の表面を走る重要な血管である冠動脈が、一時的に痙攣を起こすことで引き起こされる病気です。 冠動脈は、心臓自身に酸素や栄養を送り届けるという重要な役割を担っています。 この血管が痙攣を起こすと、心臓が必要とする血液が十分に行き渡らなくなり、様々な症状が現れます。狭心症の中でも、異型狭心症は、一般的な労作性狭心症とは異なる特徴を持っています。労作性狭心症は、運動など心臓に負担がかかった際に症状が現れやすいのに対し、異型狭心症は、安静時や夜間、早朝など、心臓への負担が少ない時間帯に発作が起こりやすい 傾向があります。主な症状としては、胸の痛みや圧迫感が挙げられます。 これは、心臓に十分な血液が行き渡らないことで、心臓が酸素不足に陥るために起こります。 その他にも、息苦しさ、冷汗、吐き気などを伴う 場合もあり、注意が必要です。異型狭心症は、放置すると心筋梗塞などの重篤な心臓病に繋がる可能性もあるため、早期発見と適切な治療が重要です。 もし、安静時や夜間、早朝に胸の痛みや圧迫感などの症状を感じたら、速やかに医療機関を受診しましょう。