緊急を要する病気：特発性食道破裂

緊急を要する病気：特発性食道破裂

特発性食道破裂とは

– 特発性食道破裂とは食道は、口から入った食べ物を胃に送るための重要な器官です。通常、弾力性に富んでおり、多少のことでは傷つくことはありません。しかし、まれに、これまで健康に過ごしてきたにも関わらず、突然、食道に裂け目や穴が開いてしまうことがあります。これを特発性食道破裂と呼びます。この病気は、1724年にベーアハーフェという医学者によって初めて報告されました。 医学が進歩した現代においても、発症する人は少なく、年間100万人あたり約1～10人とされています。特発性食道破裂は、命に関わる危険性も孕んでいます。 裂け目や穴から、食べ物や消化液が漏れ出し、周りの組織に炎症を引き起こすためです。 さらに、細菌感染症などを併発すると、命を落とす危険性も高まります。そのため、早期の診断と適切な治療が非常に重要となります。 特に、胸や背中に激しい痛みを感じ、呼吸困難や吐き気などの症状が現れた場合は、ためらわずに医療機関を受診する必要があります。

発症の原因と症状

この病気は、お酒を飲んだ後に吐いてしまうことがきっかけで発症することが多く見られます。胃の中のものが出てくる際、通常とは逆の向きに食べ物が戻ろうとすることで、食道と胃の境目あたりにある食道に大きな負担がかかります。特に、体の構造上、左側の壁はもろくできているため、縦に裂け目ができてしまうことが多いです。
主な症状としては、まず、みぞおちやおへその上あたり、胸のあたりに、急に激しい痛みが走ります。さらに、息がしにくくなったり、ショック状態に陥ったり、皮膚の下に空気が溜まってしまう皮下気腫、唇や皮膚の色が青紫色になるチアノーゼといった症状が現れることもあります。

診断方法

– 診断方法胸部に強い衝撃を受けたり、圧迫されたりした場合、体の表面に近い部分に空気が溜まる皮下気腫や、肺に穴が開いて空気が漏れる気胸、肺と心臓の間にある縦隔と呼ばれる場所に空気が入る縦隔気腫、胸腔に液体が溜まる胸水などが疑われます。これらの状態を正確に診断するために、医療機関では様々な検査が行われます。特に重要な検査として、胸部レントゲン検査とCT検査が挙げられます。胸部レントゲン検査は、比較的簡便に行える検査でありながら、上記の異常を広い範囲で把握することができます。さらに詳細な情報を得るためには、CT検査が有効です。CT検査では、体の断面を鮮明に映し出すことができるため、損傷の程度や範囲、空気や液体の貯留量などをより正確に把握することができます。これらの検査結果を総合的に判断することで、医師は適切な治療方針を決定します。場合によっては、より精密な検査や、緊急を要する処置が必要となることもありますので、医師の指示に従い適切な対応をとることが重要です。

治療の緊急性

– 治療の緊急性食道は、口から食べたものを胃に送るための重要な器官ですが、強い衝撃や圧力などによって、予期せず裂けてしまうことがあります。これが「特発性食道破裂」と呼ばれる病気です。特発性食道破裂は、早期に発見し適切な治療を行わなければ、大変危険な状態となる可能性があります。なぜなら、食道が破れることで、食べたものや唾液と一緒に、口の中に存在する様々な細菌が胸の中に漏れ出てしまうからです。細菌が胸の中に侵入すると、周囲の組織に炎症を引き起こし、「膿胸」（胸腔内に膿が溜まった状態）を引き起こす可能性があります。さらに、炎症が周囲に広がると、心臓と肺の間にある縦隔にまで及び、「縦隔膿瘍」（胸の中心に膿が溜まった状態）を引き起こす可能性があります。膿胸や縦隔膿瘍は、呼吸困難や胸の痛みなど、深刻な症状を引き起こします。また、これらの感染症は、放置すると命に関わる危険性も高まります。このように、特発性食道破裂は早期発見と迅速な治療が極めて重要となる病気です。そのため、適切な診断と治療を一刻も早く行う必要があります。

治療方法の選択

治療方法の選択

食道が破れてしまった場合、その傷の程度や発見から治療開始までの時間の長さによって、医師は最適な治療方法を選択します。大きく分けて、手術を行わない「保存的療法」と、手術を行う「手術療法」の二つがあります。

「保存的療法」は、お薬の使用や食事を摂るのを一時的に中断する絶食、体液を排出するためのドレナージなどによって、体の自然治癒力を高める治療法です。主に、食道の傷が小さく、発見が早かった場合に有効とされています。一方、「手術療法」は、開腹手術や内視鏡手術などを用いて、破れた食道部分を縫い合わせたり、人工的に作った食道と置き換えたりする治療法です。食道の傷が大きい場合や、発見が遅れてしまった場合などに選択されることが多いです。どちらの治療法にもそれぞれメリットとデメリットがありますので、医師とよく相談し、自身の状況に最適な治療法を選択することが大切です。