「自分だけは大丈夫」に潜む危険な心理
防災防犯を教えて
先生、「正常性バイアス」って、どんなものですか? 防災と何か関係があるのですか?
防災防犯の研究家
良い質問ですね。「正常性バイアス」は、簡単に言うと、非常事態が起きても「自分は大丈夫」「まさか、こんなことが起きるはずがない」と思い込んでしまう心の働きです。例えば、大きな地震が来ても「ここは大丈夫」と思って避難が遅れてしまう、といった状況ですね。
防災防犯を教えて
なるほど。確かに、火事のニュースを見ていても、「自分は大丈夫」と思ってしまうことがあります。
防災防犯の研究家
そうですよね。でも、防災の観点から言うと、危険を過小評価してしまう「正常性バイアス」は、とても危険です。「もしかしたら、大変なことになるかもしれない」と少し大げさに考えて、日頃から防災意識を高めておくことが大切なんですよ。
正常性バイアスとは。
「思いがけない出来事、例えば災害や犯罪が起こった時、「まさかこんなことが自分の身に降りかかるとは」という思い込みや、「自分だけは大丈夫」という気持ちから、その事態をいつものことのように考えてしまう心の働きを、『正常性バイアス』と呼びます。これは、防災や防犯の分野でとても大切な言葉です。」
予期せぬ事態への心の防御反応
私たちは、毎日を安心して暮らせるよう、潜在意識下で常に危険を察知し、備えようとしています。しかし、想定外の出来事に遭遇すると、その恐怖から現実を直視できず、「まさか、こんなことが自分の身に起こるはずがない…」と事態を否定してしまうことがあります。
これは、私たちが自分自身を守るための、心の防御反応の一つといえます。しかし、この防御反応は、同時に大きな危険を孕んでいることも忘れてはなりません。
予期せぬ事態に遭遇した際、この防御反応が働くこと自体は自然なことです。しかし、いつまでも現実を直視せず、問題から目を背け続けていると、適切な行動を取ることが遅れてしまい、被害が拡大する可能性があります。例えば、火災が発生した際に、「まさか、火事になるはずがない」と初期消火を怠ったり、避難が遅れたりするといった事態が考えられます。
重要なのは、心の防御反応が働いていることを自覚し、一日も早く現実を受け入れることです。その上で、冷静に状況を判断し、適切な行動を取ることが重要になります。日頃から、防災訓練に参加したり、地域の防災マップを確認したりするなど、いざという時のための備えをしておくことも大切です。
心の防御反応 | 危険性 | 対処法 |
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想定外の出来事に遭遇した際、「まさか、こんなことが自分の身に起こるはずがない…」と事態を否定してしまう。 | 現実を直視せず、問題から目を背け続けていると、適切な行動を取ることが遅れてしまい、被害が拡大する可能性がある。 |
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正常性バイアスとは
– 正常性バイアスとは
「まさか、自分には関係ないだろう」「きっとすぐに収まるはずだ」。
このような考えが頭をよぎった経験はありませんか?
これは「正常性バイアス」と呼ばれる心の働きが影響しているかもしれません。
正常性バイアスとは、心理学用語で、自分にとって都合の悪い情報や異常事態に直面した際に、それを過小評価し、「自分だけは大丈夫」「これは一時的なものだ」と、無理やり現状を正常な範囲だと捉えようとする心の働きを指します。
例えば、大きな地震が発生し、周囲の人々が慌てて避難を始めたり、緊急地震速報が鳴り響く中でも、「たいしたことないだろう」「この程度の揺れなら大丈夫」と楽観視し、行動を起こさないことが挙げられます。
また、大雨による河川の氾濫や土砂災害の危険性が迫っているにも関わらず、避難勧告が出てもなお、「うちは高台にあるから大丈夫」「まだ自宅にいても問題ない」と、危険性を軽視して避難しないケースも、正常性バイアスが働いていると言えるでしょう。
このバイアスは、過去の経験や周囲から得られる情報、さらには私たち自身の性格や置かれている状況によって、その強弱が変化します。
過去の災害経験が少ない人や、楽観的な性格の人は、正常性バイアスに陥りやすい傾向があります。
一方で、災害に関する知識や経験が豊富な人や、用心深い性格の人は、正常性バイアスの影響を受けにくいと考えられています。
正常性バイアスは、私たちが危険から身を守るための行動を遅らせてしまう可能性があります。
日頃から防災意識を高め、緊急時には冷静に状況を判断することが大切です。
項目 | 内容 |
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定義 | 都合の悪い情報や異常事態に直面した際に、それを過小評価し、「自分だけは大丈夫」「これは一時的なものだ」と、無理やり現状を正常な範囲だと捉えようとする心の働き |
例 | – 大きな地震が発生しても、「たいしたことないだろう」と楽観視し、避難行動を取らない – 大雨による河川の氾濫や土砂災害の危険性が迫っていても、「うちは高台にあるから大丈夫」と、避難勧告が出ても避難しない |
影響を与える要因 | – 過去の経験 – 周囲から得られる情報 – 性格 – 置かれている状況 |
注意点 | 正常性バイアスは、危険から身を守るための行動を遅らせてしまう可能性があるため、日頃から防災意識を高め、緊急時には冷静に状況を判断することが大切 |
正常性バイアスの落とし穴
– 正常性バイアスの落とし穴
「まさか、こんなことが自分の身に起きるはずがない」。誰もが、そう思ってしまうものです。これは正常性バイアスと呼ばれる心の働きによるもので、たとえ危険な状況に直面しても、「いつもの日常が続くはずだ」と思い込んでしまう心理的な傾向を指します。
例えば、近年増加している豪雨災害。河川が氾濫し、家の中にまで濁流が流れ込んできても、「すぐに水が引くだろう」と思い込み、避難のタイミングを逃してしまうケースが後を絶ちません。また、火災報知器のけたたましい音に驚きながらも、「誤作動に違いない」と安易に考え、避難が遅れてしまうケースも少なくありません。
このように、正常性バイアスは、私たちを冷静さを欠いた行動へと導き、危険な状況から脱するための初動を遅らせてしまう可能性があります。最悪の場合、命に関わる重大な結果を招く危険性も孕んでいると言えるでしょう。
日頃から防災意識を高め、「もしも」のときに備えておくことが、正常性バイアスの落とし穴に陥らないための第一歩と言えるでしょう。
正常性バイアスに打ち克つために
– 正常性バイアスに打ち克つために「自分だけは大丈夫」「きっと何か見間違えだろう」 そういった気持ちが、いざという時に適切な判断を鈍らせてしまうことがあります。これは「正常性バイアス」と呼ばれるもので、危険が迫っていても、それを過小評価したり、普段通りの状態が続くと信じようとしてしまう心理的な働きです。この正常性バイアスに打ち勝ち、安全を確保するためには、日頃からの心構えと準備が重要になります。まず、自宅周辺のハザードマップを確認し、地震や洪水など、どのような災害リスクがあるのかを把握しましょう。 そして、家族で避難場所や経路、連絡方法などを話し合っておくことが大切です。災害発生時は、情報が錯綜し、何が正しい情報なのかを見極めるのが困難な状況となります。 テレビやラジオだけでなく、インターネットやスマートフォンアプリなど、複数の情報源から情報を得るように心がけましょう。 また、行政機関が発信する正確な情報を入手することも重要です。日頃からの備えと、正しい情報収集を心がけることで、 正常性バイアスに惑わされることなく、冷静に状況を判断し、 自分自身と大切な人の命を守ることができるのです。
正常性バイアスとは | 正常性バイアスに打ち克つために |
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冷静な行動を心がける
災害や思いもよらない緊急事態に遭遇した時、人はパニックに陥りやすく、冷静な判断が難しくなることがあります。情報が錯綜する中、何が正しくて安全な行動なのかを見極めることは容易ではありません。
このような状況下では、まず第一に、自分の身の安全を最優先に考えることが重要です。流れてくる情報に惑わされず、落ち着いて周囲の状況を観察しましょう。そして、少しでも危険を感じたら、ためらわずに避難などの行動を起こしてください。
「自分だけは大丈夫」「ここは安全だろう」という思い込みは大変危険です。これは「正常性バイアス」と呼ばれる心理的な働きによるもので、多くの人がこの罠に陥ってしまう可能性があります。しかし、「もしかしたら…」という最悪の事態を想定し、早め早めの行動をとることで、危険を回避できる可能性が高まります。
日頃から、災害発生時の避難経路や連絡方法などを家族や地域で共有しておくことも大切です。冷静さを失わず、適切な行動をとることで、自分自身と大切な人の命を守りましょう。
状況 | ポイント | 行動 |
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災害や緊急事態発生時 | パニックに陥らず、冷静さを保つ 情報に惑わされず、状況を判断する |
身の安全を最優先に行動 危険を感じたら、ためらわず避難 |
正常性バイアスに注意 | 「自分は大丈夫」「ここは安全」という思い込みを避ける 最悪の事態を想定する |
早め早めの行動 日頃からの備えを大切にする |