災害時に気を配りたい「災害弱者」とは?

災害時に気を配りたい「災害弱者」とは?

防災防犯を教えて

先生、「災害弱者」ってよく聞くんですけど、具体的にどんな人のことを言うんですか?

防災防犯の研究家

良い質問だね。「災害弱者」とは、地震や大雨などの大きな災害が起きた時に、逃げ遅れたり、怪我をしたり、命を落としてしまう危険性が高い人のことを言うんだ。

防災防犯を教えて

例えば、どんな人が「災害弱者」になるんですか?

防災防犯の研究家

お年寄りや体の不自由な人、病気の人などは、すぐに逃げることが難しかったり、助けが必要になるよね。それから、小さな赤ちゃんや、日本語が分からない外国人も「災害弱者」と言えるだろうね。

災害弱者とは。

「防災・防犯に関する言葉で、『災害弱者』という言葉があります。災害弱者とは、災害が起こった時に、特に危険な状態になりやすい人のことを指します。これは、例えば、大きな地震や集中豪雨のように、家が壊れてしまうような大きな災害が起きた時、ふつうに動き回ったり、安全な場所に逃げたりすることが難しい人のことをいいます。具体的には、お年寄りや体の不自由な方、病気や怪我をしている方、赤ちゃんを身ごもった方や赤ちゃん、日本語を話すのが難しい外国人、その土地のことをよく知らない観光客などがいます。ちなみに、『平成3年度版防災白書』では、災害弱者のことをこのように説明しています。

災害弱者の定義

災害弱者の定義

– 災害弱者の定義災害は、いつどこで発生するかわからず、すべての人に等しく降りかかる脅威です。しかし、その被害の大きさは、人によって大きく異なる可能性があります。その中でも、災害時に特に深刻な被害を受けやすく、支援を必要とする可能性が高い人々のことを、「災害弱者」と呼びます。災害弱者は、身体的な特徴や健康状態によって、危険から身を守る行動が困難な場合があります。例えば、高齢者や障がい者は、速やかに避難することが難しく、乳幼児は、大人の助けなしに安全を確保することができません。また、慢性疾患を持つ人や妊婦は、避難生活を送る中で、体調を崩してしまうリスクがあります。さらに、言葉の壁も、災害弱者を困難な状況に追い込む要因となります。日本語でのコミュニケーションが難しい外国人住民は、災害情報を入手することや、周囲の人に助けを求めることが困難になる可能性があります。また、地理的な要因も無視できません。山間部や離島など、医療機関や避難場所へのアクセスが限られている地域に住む人々は、災害時に必要な支援をタイムリーに受けることが難しい場合があります。災害弱者は、私たちのごく身近に存在し、社会のあらゆる層に存在します。災害時における被害を最小限に抑えるためには、災害弱者の存在を認識し、それぞれの状況に合わせた適切な対策を講じることが重要です。

災害弱者の分類 具体的な例 困難な点
身体的な特徴や健康状態 高齢者、障害者、乳幼児、慢性疾患を持つ人、妊婦など 危険からの避難、避難生活の困難、体調悪化のリスクなど
言葉の壁 日本語でのコミュニケーションが難しい外国人住民など 災害情報の入手困難、周囲への助けを求めることの困難など
地理的な要因 山間部や離島など、医療機関や避難場所へのアクセスが限られている地域に住む人々 必要な支援をタイムリーに受けることの困難など

具体的な例

具体的な例

災害時において、特に支援が必要となる方々、いわゆる災害弱者の方々を具体的に見ていきましょう。災害弱者には、例えば、高齢者の方々や体の不自由な方々、病気や怪我で療養中の方々、そして妊婦さんや赤ちゃん、小さなお子さんが含まれます。

高齢者の方々は、体力的な衰えや持病を抱えている場合が多く、災害発生時の迅速な避難や行動が困難になることがあります。また、慣れ親しんだ環境からの変化によって、体調を崩してしまう可能性も考えられます。

体の不自由な方々は、避難経路や手段において、健常者と比べて困難を伴う場合があり、一人での避難が難しいケースも見られます。また、必要な医療機器や支援器具等の確保も重要な課題となります。

病気や怪我で療養中の方々は、災害時のストレスや環境変化によって病状が悪化する可能性があり、適切な医療ケアの継続が不可欠です。

妊婦さんは、災害時のストレスや栄養状態の悪化が、母体やお腹の赤ちゃんに影響を与える可能性があります。また、乳幼児は、災害時の危険を理解することが難しく、大人の適切な保護が必要となります。

このように、災害弱者の方々はそれぞれ異なる困難やニーズを抱えています。そのため、日頃からの備えや地域社会全体でのサポート体制の構築が重要となります。

災害弱者 災害時の困難・課題
高齢者 – 体力的衰えや持病による避難・行動の困難
– 環境変化による体調不良の可能性
体の不自由な方 – 避難経路や手段の困難
– 一人での避難の困難
– 医療機器や支援器具の確保
病気や怪我で療養中の方 – ストレスや環境変化による病状悪化の可能性
– 適切な医療ケアの継続の必要性
妊婦 – ストレスや栄養状態悪化による母体・胎児への影響
乳幼児 – 危険の理解不足
– 大人による適切な保護の必要性

外国人や旅行者も含まれる

外国人や旅行者も含まれる

災害時に安全を確保し、適切な行動をとるためには、正確な情報へのアクセスや状況を理解することが不可欠です。しかし、この国では、言葉の壁により、それが困難になる人々がいます。具体的には、日本語を母語としない外国人や、その地域に不慣れな旅行者です。
彼らは、テレビやラジオ、インターネットなどを通じて発信される災害情報を入手したとしても、その内容を理解できない可能性があります。また、避難勧告や指示が出されても、日本語の指示が理解できず、避難場所や避難経路が分からず、適切な行動が取れない可能性があります。さらに、助けを求めたい場合でも、日本語で意思を伝えることが困難なため、必要な支援を受けられない可能性があります。このように、言葉の壁は、災害時における外国人や旅行者にとって、安全確保を困難にする大きな要因となりえます。

対象者 課題 影響
日本語を母語としない外国人や、その地域に不慣れな旅行者
  • 災害情報の理解不足
  • 避難勧告・指示の理解不足
  • 日本語での意思疎通困難
  • 適切な行動が取れない
  • 避難場所や経路が分からない
  • 必要な支援を受けられない
  • 安全確保が困難になる

「平成3年度版防災白書」における定義

「平成3年度版防災白書」における定義

– 「平成3年度版防災白書」における災害弱者の定義

「平成3年度版防災白書」では、災害弱者を「災害時において、その状況を正常に認識し、とらなければならない行動を適切に判断し、その行動を円滑に実行することができないなど、社会的な弱者の立場に置かれ、特に配慮を要する人たち」と定義しています。

この定義は、災害弱者が抱える困難が、身体的なものだけにとどまらないことを示しています。つまり、災害時に安全を確保するためには、情報を正しく理解し、状況に応じた行動を判断し、そして実際にその行動に移す必要がありますが、災害弱者と呼ばれる人たちは、これらの過程において様々な困難に直面する可能性があるのです。

例えば、高齢者や障害者などは、身体的な能力の低下により、避難行動が困難になる場合があります。また、外国人聴覚障害者などは、言葉の壁や情報伝達の不足により、状況を正しく理解できなかったり、必要な支援を受けられなかったりする可能性があります。さらに、経済的な困窮者ひとり暮らしの高齢者などは、日頃から社会的なつながりが希薄であるため、災害時に孤立しやすく、支援の手が届きにくい状況に置かれる可能性があります。

このように、災害弱者は多岐にわたり、それぞれが異なる困難を抱えています。そのため、災害対策においては、これらの多様なニーズを把握し、それぞれに合わせたきめ細かい支援を行っていくことが重要となります。

災害弱者の定義 具体的な例 困難の要因
災害時において、
正常な状況認識、
適切な行動判断、
円滑な行動実行が困難な人
高齢者 身体的な能力の低下
障害者
外国人 言葉の壁、情報伝達の不足
聴覚障害者
経済的な困窮者 社会的なつながりの希薄さ
ひとり暮らしの高齢者

災害弱者への支援の重要性

災害弱者への支援の重要性

災害発生時、すべての人が安全を確保し、速やかに日常生活を取り戻せるようにするためには、災害弱者に対する特別な配慮と支援が欠かせません。災害弱者とは、高齢者や障がい者、乳幼児、妊産婦、外国人など、災害時に特に支援が必要となる方々を指します。
災害弱者に対する支援は、私たち全員の安全と福祉を守るための重要な課題です。
具体的な取り組みとしては、まず避難誘導や情報提供の強化が挙げられます。災害弱者にとって、わかりやすく正確な情報をタイムリーに得ることが、適切な判断と行動につながります。そのため、音声案内や多言語表示、 pictogramsなどを活用し、誰にとっても理解しやすい情報伝達を心がける必要があります。
また、災害弱者の多くは、避難場所への移動や生活の再建に困難を抱える可能性があります。そのため、地域住民によるサポート体制の構築が重要となります。日頃から近隣住民同士で顔の見える関係を築き、助け合いの精神を育むことが、災害時の迅速かつきめ細やかな支援につながります。
さらに、災害弱者のニーズは多岐にわたるため、行政、 NPO、地域団体などが連携した切れ目のない支援体制を構築することが求められます。
災害への備えは、決して他人事ではありません。私たち一人ひとりが災害弱者への理解を深め、できることから行動を起こしていくことが、安全で安心して暮らせる社会の実現につながるのです。

災害弱者の定義 具体的な例 困難の要因
災害時において、
正常な状況認識、
適切な行動判断、
円滑な行動実行が困難な人
高齢者 身体的な能力の低下
障害者
外国人 言葉の壁、情報伝達の不足
聴覚障害者
経済的な困窮者 社会的なつながりの希薄さ
ひとり暮らしの高齢者