致死的3徴とは:重症外傷における危険な兆候

致死的3徴とは:重症外傷における危険な兆候

防災防犯を教えて

先生、『致死的3徴』ってなんですか?よく『死の三徴』って聞くんですけど、それとは違うんですか?

防災防犯の研究家

良い質問だね!確かにどちらも命に関わる重要な言葉だけど、指し示す意味合いが異なるんだ。『死の三徴』は、瞳孔の反応、呼吸、心臓が止まっている状態、つまりすでに亡くなっている状態を示す言葉だよ。一方、『致死的3徴』は、重症外傷を受けた人が亡くなってしまうリスクを高める3つの状態を指すんだ。

防災防犯を教えて

亡くなってしまうリスクを高める3つの状態…ですか?

防災防犯の研究家

そうだよ。具体的には、体温が低くなること、血液が酸性に傾くこと、そして血液が固まりにくくなることの3つだ。これらの状態が重なると、助かる見込みが低くなってしまうんだ。だから、『致死的3徴』は命を救うために、早期に発見して対処すべき重要なサインなんだよ。

致死的3徴とは。

命に関わる怪我において、傷の深刻さだけでなく、同時に起こる体の状態が悪化に大きく影響することがあります。これを「致死的3徴」と呼び、深刻な外傷で亡くなる方の多くに見られる共通点です。具体的には、体温の低下、血液の酸性化、そして血液が固まりにくくなる状態を指します。これらの状態は「死の三徴」とは異なり、重症外傷特有のものです。それぞれ「低体温」、「アシドーシス」、「凝固異常」と言い換えられます。これらの状態が重なると「負の連鎖」を引き起こし、救命が難しくなるため、迅速な処置が求められます。具体的な指標としては、深部体温が34度以下、血液のpHが7.2未満、そして外傷以外の原因で出血が続く状態などが挙げられます。これらの指標は研究者によって多少の差があります。近年、このような負の連鎖に陥った重症腹部外傷を中心に、ダメージコントロール手術という治療法が広まってきています。

致死的3徴の概要

致死的3徴の概要

– 致死的3徴の概要事故や災害で大きな怪我を負った時、命に関わる深刻な状態に陥ることがあります。医学の世界では『致死的3徴』と呼ばれるものがそれにあたります。これは、一般的に死のサインとして知られる『瞳孔反応の停止』『呼吸の停止』『心臓の停止』の三徴とは全く異なるものです。致死的3徴は、重症外傷後に現れる『低体温』『アシドーシス』『凝固異常』の3つの状態を指します。 これらの状態が重なると、生存率が著しく低下してしまうため、一刻を争う迅速な処置が必要となります。まず、『低体温』とは、文字通り体温が低下した状態を指します。大量出血や体温の低下する環境下では、体が冷えやすく、低体温に陥りやすくなります。低体温になると、心臓、脳、血液の循環などの機能が低下し、生命の危機に繋がります。次に、『アシドーシス』は、血液が酸性に傾いた状態です。呼吸不全やショック状態になると、体内で酸素がうまく取り込めなくなり、血液中に酸が溜まりやすくなります。アシドーシスは、心臓の機能低下や意識障害を引き起こし、最悪の場合、死に至ることもあります。最後に、『凝固異常』は、血液が固まりにくくなる状態です。大怪我や手術などにより大量出血が起こると、血液の凝固因子と呼ばれる成分が消費され、体が本来持つ止血機能がうまく働かなくなります。その結果、出血が止まらず、生命の危機に直面することになります。このように、致死的3徴はそれぞれが独立した危険因子であると同時に、互いに悪影響を及ぼし合い、負の連鎖を引き起こす点に注意が必要です。迅速な処置と適切な治療によって、この負の連鎖を断ち切ることが、救命率向上に不可欠と言えるでしょう。

それぞれの徴候

それぞれの徴候

今回のテーマは『死戦期徴候』についてです。これは人が亡くなる直前に現れる身体の変化のことを指し、大きく分けて『低体温』『アシドーシス』『凝固異常』の三つがあります。
まず『低体温』ですが、これは体の深部の体温、つまり通常37℃前後で保たれている状態から34℃以下にまで低下してしまうことを指します。体温が低下すると、血液を固める機能も低下してしまうため、出血を助長してしまう危険性があります。次に『アシドーシス』についてですが、これは血液の酸性度が高まった状態を指します。アシドーシスは心臓の働きを低下させ、血液の循環を妨げる原因となります。そして最後に『凝固異常』ですが、これは血液が固まりにくくなる状態を指します。怪我などで出血した際、通常であれば血液は自然と固まり止血されますが、『凝固異常』が起こると出血が止まりにくくなり、結果として大量出血の危険性が高まります。
このように死戦期徴候には、生命に関わる危険な状態を示すサインがいくつかあります。これらのサインを早期に認識し、適切な処置を行うことが重要です。

死戦期徴候 状態 危険性
低体温 深部体温が34℃以下に低下 血液を固める機能の低下による出血の助長
アシドーシス 血液の酸性度が高まる 心臓の働き低下による血液循環の妨害
凝固異常 血液が固まりにくくなる 出血が止まりにくくなることによる大量出血の危険性

負の連鎖と対処法

負の連鎖と対処法

私たちの体は、低体温血液凝固異常酸性血症(アシドーシス)という三つの状態に陥ると、互いに悪影響を及ぼし合い、命に関わる危険な状態に陥ることがあります。これが「負の連鎖」と呼ばれる現象です。

例えば、体が冷えて低体温になると、血液は固まりにくくなるため、出血が止まりにくくなってしまいます。そして、出血が続くと、体内の酸と塩基のバランスが崩れ、アシドーシスと呼ばれる状態に陥ります。アシドーシスは、心臓の働きを弱めてしまうため、さらに出血を悪化させる可能性があります。

このような負の連鎖は、「Bloody vicious cycle」とも呼ばれ、命を落とす危険性が非常に高い状態です。

このような危険な状態に対処するために、近年では「ダメージコントロール手術(DCS)」という方法が広く行われるようになりました。ダメージコントロール手術は、時間をかけて完璧な手術を行うのではなく、まずは止血と臓器の保護を最優先に行い、患者の状態を安定させてから、改めて根本的な治療を行うという手術方法です。時間との勝負となるような状況において、この手術方法が多くの命を救っています。

まとめ

まとめ

今回の記事では、重症外傷における危険信号である致死的3徴について解説しました。
致死的3徴とは、意識障害、著しい呼吸異常、ショックの3つの症状を指し、いずれも生命に危険が及ぶ可能性が高い状態です。交通事故や自然災害など、重症外傷を負った可能性がある場合、これらの症状が見られるかどうかは、迅速な救命処置を行う上で非常に重要となります。

意識障害は、呼びかけへの反応が鈍かったり、意識を失ったりしている状態を指します。著しい呼吸異常は、呼吸が速くなったり、遅くなったり、苦しそうに呼吸をしている状態です。ショックは、顔面蒼白、冷汗、脈拍が速くなるなどの症状が現れます。

これらの症状が見られた場合、一刻を争う事態です。速やかに119番通報し、救急隊員に指示を仰ぎましょう。救急隊員が到着するまでの間、傷病者の状態に応じて、応急処置を施してください。ただし、無理に動かすことは避け、二次的な被害を防ぐように注意することが大切です。

致死的3徴は、早期発見と迅速な処置が救命率向上に不可欠です。事故や災害現場では、周囲の人々がこれらの徴候に注意し、適切な行動をとることが重要です。

名称 症状
意識障害 呼びかけへの反応が鈍い、意識を失っている
著しい呼吸異常 呼吸が速い/遅い、苦しそうに呼吸をしている
ショック 顔面蒼白、冷汗、脈拍が速くなる