救命現場で活躍するFAST:迅速簡易超音波検査
防災防犯を教えて
先生、『FAST』ってどういう検査のことですか?なんだか難しそうな言葉ですね。
防災防犯の研究家
そうだね。『FAST』は『外傷の初期診療における迅速簡易超音波検査法』の略語で、事故などで大きな怪我をした人を助けるための検査だよ。超音波を使って、お腹や胸の中に血が溜まっていないか、心臓がちゃんと動いているかを素早く調べるんだ。
防災防犯を教えて
なるほど。怪我をした時、早く検査ができるのは助かりますね。レントゲンと同じように体の中を見るのですか?
防災防犯の研究家
よく気が付いたね。レントゲンと違って、FASTは超音波を使うので、放射線の心配がないんだ。それに、レントゲンよりも早く結果がわかるので、緊急時にも役立つんだよ。
FASTとは。
けがをした人を助けるための言葉に「FAST」があります。これは、特別な機械を使って体の内側を素早く調べる方法のことです。この方法は、日本外傷学会が推奨する「JATEC」という治療ガイドラインの中で、特に血の巡りが悪くなっている人を助けるために使われます。
FASTでは、心臓の周り、おなかのあたり、胸の中などに、血液や体液がたまっていないかを調べます。この検査は、心臓の袋、肝臓と腎臓の間の空間、右の肺の周り、脾臓の周り、左の肺の周り、お尻のあたりの順に行います。血の巡りが悪い人には必ず行う検査ですが、ショック状態になる可能性のあるけがを見つけるためにも行います。
FASTはすぐに結果が分かることが利点ですが、皮膚の下に空気がたまっている場合は、胸の中に水がたまっているかどうかを見分けるのが難しい場合があります。そのため、全てのけがの場合において、レントゲン検査の代わりになるわけではありません。また、最初は異常が見つからなくても、時間を置いてからもう一度検査することが大切です。
FASTとは
– FASTとは
FASTは、怪我をした人を診察する時、特に事故などで強い衝撃を受けた際に、体の内側で出血が起きていないか超音波を使って素早く確認する方法です。「Focused Assessment with Sonography for Trauma」の頭文字をとってFASTと呼ばれ、日本語では「外傷患者のための超音波検査による集学的評価」と言います。
FASTの特徴は、その名の通り、短時間で簡単に検査できることです。特別な機械や高度な技術は必要なく、医療設備が十分にない場所でも行うことができます。
FASTでは、主に以下の4つの部位を観察します。
1. 心臓の周りの空間心臓を包む膜と心臓の間に、血液が溜まっていないかを確認します。
2. 肝臓の周り肝臓は体の右側、肋骨の下にある大きな臓器で、ここに出血がないかを確認します。
3. 脾臓の周り脾臓は体の左側、肋骨の下にある臓器で、ここに出血がないかを確認します。
4. お腹や胸の中お腹や胸の中に、血液やその他の液体(例えば、肺の周り)が溜まっていないかを確認します。
FASTは、事故や転倒などで強い衝撃を受けた人の命に関わる内出血を早期に発見するために非常に役立ちます。
項目 | 詳細 |
---|---|
FASTとは | 外傷患者のための超音波検査による集学的評価(Focused Assessment with Sonography for Trauma)の頭文字をとったもの。怪我をした人を診察する時、特に事故などで強い衝撃を受けた際に、体の内側で出血が起きていないか超音波を使って素早く確認する方法。 |
特徴 | 短時間で簡単に検査できる。特別な機械や高度な技術は必要なく、医療設備が十分にない場所でも行うことができる。 |
観察部位 | 1. 心臓の周りの空間(心臓を包む膜と心臓の間に、血液が溜まっていないかを確認) 2. 肝臓の周り(体の右側、肋骨の下にある大きな臓器で、ここに出血がないかを確認) 3. 脾臓の周り(体の左側、肋骨の下にある臓器で、ここに出血がないかを確認) 4. お腹や胸の中(お腹や胸の中に、血液やその他の液体(例えば、肺の周り)が溜まっていないかを確認) |
メリット | 事故や転倒などで強い衝撃を受けた人の命に関わる内出血を早期に発見するために非常に役立つ。 |
FASTでわかること
– FASTでわかることFAST (Focused Assessment with Sonography for Trauma) は、外傷患者の初期診療において、超音波を用いて迅速に体内の出血の有無を調べるための検査方法です。FASTでは、主に心臓周囲(心嚢腔)、お腹(腹腔)、胸部(胸腔)の3つの部位を観察し、これらの場所に液体が溜まっているかどうかを調べます。 もしこれらの場所に液体が溜まっていることが確認された場合、それは体のどこかで出血が起こっている可能性を示唆しており、緊急の処置が必要となります。心臓周囲に液体が溜まっている場合は、「心タンポナーデ」と呼ばれる状態になっている可能性があります。 心タンポナーデは、心臓を包む袋(心嚢)に血液や体液が溜まることで心臓を圧迫し、心臓の働きを著しく低下させる危険な状態です。お腹に液体が溜まっている場合は、肝臓や脾臓などの臓器の損傷が疑われます。これらの臓器は、外傷によって損傷を受けやすく、出血すると大量の血液が腹腔内に流れ込むため、迅速な診断と治療が重要となります。胸部に液体が溜まっている場合は、「気胸」や「血胸」の可能性があります。気胸は、肺に穴が開くことで空気が胸腔内に漏れる状態で、呼吸困難を引き起こします。血胸は、胸腔内に血液が溜まった状態で、やはり呼吸困難やショック状態を引き起こすことがあります。このように、FASTは、外傷患者における迅速な出血源の特定に非常に役立つ検査方法です。迅速な診断と適切な治療につなげることで、救命率の向上に大きく貢献しています。
部位 | 状態 | 可能性 |
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心臓周囲(心嚢腔) | 液体が溜まっている | 心タンポナーデ(心臓を圧迫し、機能低下を引き起こす) |
お腹(腹腔) | 液体が溜まっている | 肝臓や脾臓などの臓器損傷 |
胸部(胸腔) | 液体が溜まっている | 気胸(肺に穴が開き、空気が漏れる) 血胸(胸腔内に血液が溜まる) |
FASTの対象となる患者
– FASTの対象となる患者FAST (Focused Assessment with Sonography for Trauma) は、外傷を受けた患者さんに行われる迅速な超音波検査です。特に、循環の状態が悪い、つまり出血の可能性が高い患者さんを対象に行われます。FASTが用いられる主なケースは、交通事故や転落事故など、体に大きな衝撃が加わった場合です。 これらの事故では、体の内部で出血している可能性があり、迅速な診断と治療が必要となるからです。FASTでは、体の4つの部位 (心臓周辺、腹部、肺の周辺、骨盤) を超音波で観察し、出血の有無や心臓の動きなどを確認します。 検査時間はわずか数分ですが、多くの情報を得ることができ、緊急時の診療に非常に役立ちます。また、FASTはショック状態に陥るリスクを早期に評価するためにも重要な検査です。ショック状態とは、体の様々な臓器に血液が十分に行き渡らなくなった状態を指し、生命に関わる危険な状態です。FASTによって出血を早期に発見し、適切な治療を行うことで、ショック状態の進行を予防し、救命率を高めることが期待できます。FASTは、あくまでもスクリーニング検査であり、確定診断を行うものではありません。しかし、迅速に多くの情報を得ることができるため、外傷患者の初期診療において非常に重要な役割を担っています。
項目 | 内容 |
---|---|
検査名 | FAST (Focused Assessment with Sonography for Trauma) |
対象 | 外傷を受けた患者、特に循環状態が悪い(出血の可能性が高い)患者 |
主なケース | 交通事故、転落事故など、体に大きな衝撃が加わった場合 |
目的 | 出血の有無や心臓の動きの確認、ショック状態のリスク評価 |
検査部位 | 心臓周辺、腹部、肺の周辺、骨盤 |
検査時間 | 数分 |
重要性 | 迅速な診断と治療、ショック状態の予防、救命率の向上 |
注意点 | スクリーニング検査であり、確定診断ではない |
FASTの手順
FAST (Focused Assessment with Sonography for Trauma 外傷患者のための超音波検査) は、外傷が疑われる患者さんの体内に血液が溜まっているかどうかを迅速に調べるための検査方法です。
FASTでは、超音波発生装置を体に当て、そこから出る音波の反射を利用して、心臓や腹部などの臓器の状態を画像化します。この検査は、体の表面から安全かつ迅速に行うことができます。
検査は、心臓を取り囲む心膜腔から始めます。心膜腔に血液が溜まっていると、心臓が正常に拍動できなくなり、生命に関わるため、最優先で確認します。
次に、肝臓と腎臓の間にあるモリソン窩、肺を取り囲む右胸腔、脾臓周囲、左胸腔、お尻の上の方にあるダグラス窩の順に検査していきます。これらの部位は、外傷によって出血が起こりやすいと同時に、超音波検査で観察しやすいという特徴があります。
FASTは、迅速かつ容易に行える検査でありながら、重要な情報を得ることができるため、外傷患者の初期診療において非常に重要な役割を担っています。
検査部位 | 詳細 |
---|---|
心膜腔 | 心臓を取り囲む部分。血液が溜まると心臓の拍動が阻害されるため、最優先で確認。 |
モリソン窩 | 肝臓と腎臓の間にある部位。 |
右胸腔 | 肺を取り囲む右側部分。 |
脾臓周囲 | 脾臓の周囲。 |
左胸腔 | 肺を取り囲む左側部分。 |
ダグラス窩 | お尻の上の方にある部位。 |
FASTのメリットと限界
– FASTのメリットと限界
FASTとは、超音波を用いて、お腹や胸に異常がないかを調べる検査です。
FASTの最大のメリットは、その速さにあります。従来のレントゲン検査などに比べて、非常に短時間で結果が得られます。これは、事故などで怪我をした人を診療する際に、一刻を争う状況下では非常に有効です。たとえば、交通事故などで体に強い衝撃を受けた場合、出血しているかどうかを迅速に判断する必要があります。FASTを用いることで、迅速に体の内部の状態を把握し、適切な処置につなげることができるのです。
しかし、FASTには限界もあります。例えば、皮膚の下に空気が溜まってしまう「皮下気腫」という状態の場合、FASTでは胸の中の出血を見つけることが難しい場合があります。また、FASTはあくまでも、体の異常を大まかに調べるための検査です。そのため、FASTである程度の異常が見つかったとしても、CT検査など、より詳しい検査が必要となるケースもあります。FASTの結果だけで、すべての異常を確定診断できるわけではありません。
このように、FASTは迅速性に優れている一方で、限界も存在します。FASTはあくまでもスクリーニング検査の一つであり、その特性を理解した上で、他の検査方法と組み合わせて使用していくことが重要です。
メリット | 限界 |
---|---|
超音波を用いてお腹や胸の異常を調べる検査である | 皮下気腫があると、胸の中の出血を見つけることが難しい場合がある |
レントゲン検査などに比べて、非常に短時間で結果が得られる | FASTである程度の異常が見つかったとしても、CT検査など、より詳しい検査が必要となるケースがある |
事故などで怪我をした人を診療する際に、一刻を争う状況下では非常に有効である | FASTの結果だけで、すべての異常を確定診断できるわけではない |
FASTの重要性
外傷を負った患者さんの命を救うためには、一刻も早く適切な治療を開始することが非常に重要です。そのために、近年注目されているのがFASTと呼ばれる検査法です。
FASTは、超音波を使って、お腹や心臓の周りなど、体の主要な部分に血液が溜まっていないかを調べる検査です。レントゲン検査のように体に負担をかけることもなく、短時間で結果がわかることが大きな利点です。
FASTによって体内出血が迅速に見つかれば、緊急手術などの必要な処置をためらうことなく、すぐに開始することができます。また、FASTは何度でも繰り返し行うことができるため、時間経過とともに体の状態がどのように変化しているのかを把握するのにも役立ちます。
このように、FASTは外傷を受けた患者さんの初期診療において非常に重要な役割を担っており、FASTの実施が救命率の向上に大きく貢献していると言えるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
検査法 | FAST |
目的 | 外傷を負った患者の体内出血を迅速に発見する |
方法 | 超音波検査 |
利点 | ・体に負担が少ない ・短時間で結果がわかる ・何度でも繰り返し行える |
効果 | ・緊急手術など、必要な処置を迅速に開始できる ・時間経過とともに体の状態の変化を把握できる ・救命率の向上に貢献 |