胸部外傷で見逃せない!気胸、血胸、血気胸とは?

胸部外傷で見逃せない!気胸、血胸、血気胸とは?

防災防犯を教えて

先生、『気胸・血胸・血気胸』の説明で、『緊張性気胸』が特に危険だと書かれていましたが、普通の気胸と何が違うんですか?

防災防犯の研究家

良い質問ですね。普通の気胸は、肺に穴が開いて空気が漏れても、ある程度で止まることが多いです。しかし、緊張性気胸は、肺の穴が一方通行の弁のようになってしまい、息を吸うたびに空気が胸腔内に溜まり続ける状態です。そのため、胸の中がどんどん高圧になって心臓や血管を圧迫し、命に関わる状態になってしまうのです。

防災防犯を教えて

そうなんですね!命に関わるって、そんなに大変な状態になるなんて知りませんでした。見分ける方法はあるんですか?

防災防犯の研究家

緊張性気胸では、息苦しさが強くなるだけでなく、顔色が悪くなったり、脈が速くなったり、首の血管が腫れ上がったりします。もし、気胸の疑いがある場合は、すぐに救急車を呼ぶことが大切ですよ。

気胸・血胸・血気胸とは。

「災害や犯罪に備える上で知っておきたい言葉に、『気胸』『血胸』『血気胸』があります。

まず、『気胸』は、肺の周りの空間に空気が溜まってしまうことを指します。
肺の表面にある風船のようなものが、自然に破れてしまうことで起こる場合(自然気胸)と、怪我によって肺が傷つけられることで起こる場合があります。
肺や空気の通り道から、空気が一方通行の弁のように漏れてしまい、胸の中の圧力が上がってしまうことがあります。
こうなると、心臓が正常な位置からずれてしまい、血液の流れが悪くなり、ショック状態を引き起こす可能性があります。これを『緊張性気胸』といいます。

次に、『血胸』は、肺の周りの空間に血液が溜まってしまうことを指します。
怪我や、心臓から血液を送り出すための太い血管が破れてしまうこと、胸部大動脈瘤という病気の血管が破裂寸前になること、または、医療行為中の出血などが原因で起こります。

そして、『血気胸』は、気胸と血胸が同時に起こっている状態を指します。

緊張性気胸、大量の出血を伴う血胸、そして、肺の周りの空間に空気が出入りしてしまう『開放性気胸』は、適切な処置をすれば防ぐことができる外傷による死亡の原因となり得るため、怪我の初期治療において見逃してはならない重要な状態です。

これらの病気の治療には、胸にチューブを入れて、溜まった空気や血液を外に出す方法がとられます。
しかし、出血量が多い場合には、胸を開く手術が必要になることもあります。

胸部外傷で起こる3つの病態

胸部外傷で起こる3つの病態

私たちの肺は、胸膜という薄い膜で包まれています。肺と胸膜の間には、わずかな液体で満たされた胸膜腔という空間があります。胸部に強い衝撃を受けると、この胸膜腔で異常が起こることがあります。主な病態として、気胸血胸血気胸の3つが挙げられます。

気胸は、胸膜腔に空気が入り込むことで肺が圧迫される状態です。息苦しさや胸の痛みを感じ、呼吸が浅く速くなることがあります。重症化すると、顔色が悪くなったり、意識がもうろうとしたりする危険性もあります。

血胸は、胸膜腔に出血が起こり、肺が圧迫される状態です。出血量が多いと、酸素を十分に取り込めなくなり、ショック状態に陥ることもあります。

血気胸は、気胸と血胸が同時に起こる状態です。空気が入る原因としては、肺を損傷するような外傷が考えられます。呼吸困難や胸の痛み、血圧低下など、気胸と血胸の両方の症状が現れます。

いずれの病態も命に関わる危険性があるため、迅速な処置が必要です。特に、交通事故や高所からの落下など、胸部に強い衝撃を受けた場合は、これらの病態を疑い、速やかに医療機関を受診することが重要です。

病態 原因 症状
気胸 胸膜腔に空気が入る 息苦しさ、胸の痛み、呼吸が浅く速くなる、顔面蒼白、意識障害
血胸 胸膜腔に出血が起こる 息苦しさ、胸の痛み、ショック状態
血気胸 気胸と血胸が同時に起こる 呼吸困難、胸の痛み、血圧低下、気胸と血胸の両方の症状

気胸:肺が縮んで呼吸困難に

気胸:肺が縮んで呼吸困難に

– 気胸肺が縮んで呼吸困難に気胸とは、肺を包んでいる胸膜腔と呼ばれる空間に空気が入り込み、肺が圧迫されて縮んでしまう病気です。肺が縮むと、体に取り込む空気の量が減るため、十分な酸素を取り込めなくなり、呼吸困難に陥ります。気胸の原因は大きく分けて二つあります。一つは、肺に元々存在する小さな風船状の組織である肺胞(はいほう)が破裂することで起こる自然気胸です。自然気胸は、背の高い痩せ型の男性や、喫煙者に多くみられます。また、肺の病気を持っている方や、家族に気胸になった人がいる場合も、発症しやすいと言われています。もう一つは、肋骨骨折や胸部への衝撃など、外傷によって肺が損傷し、空気が漏れることで起こる外傷性気胸です。交通事故や転倒、スポーツ中の事故などで起こる可能性があります。特に注意が必要なのは、緊張性気胸と呼ばれる状態です。これは、胸膜腔内に漏れた空気が、一方通行の弁のように機能してしまい、吸う息ごとに空気が胸腔内に溜まっていく状態です。その結果、胸腔内の圧力が異常に高まり、肺だけでなく心臓や血管も圧迫され、ショック状態に陥る危険性があります。緊張性気胸は、命に関わることもあるため、緊急の処置が必要です。気胸は、呼吸困難や胸の痛みなどの症状が現れたら、速やかに医療機関を受診することが大切です。

分類 原因 詳細 リスク
自然気胸 肺胞の破裂 肺に存在する小さな風船状の組織(肺胞)が破裂することで起こる。 – 背の高い痩せ型の男性
– 喫煙者
– 肺の病気を持っている方
– 家族に気胸になった人がいる
外傷性気胸 外傷による肺の損傷 肋骨骨折や胸部への衝撃など、外傷によって肺が損傷し、空気が漏れることで起こる。 – 交通事故
– 転倒
– スポーツ中の事故
緊張性気胸
(特に注意が必要)
胸膜腔内の空気の逆流防止 胸膜腔内に漏れた空気が、一方通行の弁のように機能してしまい、吸う息ごとに空気が胸腔内に溜まっていく状態。 – 胸腔内の圧力が異常に高まり、肺だけでなく心臓や血管も圧迫
– ショック状態に陥る危険性
– 命に関わる可能性

血胸:胸腔内出血で貧血症状も

血胸:胸腔内出血で貧血症状も

– 血胸胸腔内出血で貧血症状も血胸は、肺を取り囲む胸腔内に血液が溜まった状態を指します。 通常、私たちの肺は胸腔内で自由に膨らんだり縮んだりすることで呼吸をしていますが、血胸になるとこの胸腔内に血液が溜まり、肺が圧迫されることで呼吸困難を引き起こします。血胸の原因として最も多いのは、交通事故や転倒などによる胸部への強い衝撃です。この衝撃により、肋骨骨折や肺の損傷が起こり、出血を伴うことがあります。 また、大動脈解離や動脈瘤破裂といった血管の病気によって胸腔内に出血が起こる場合もあります。これらの病気は、血管の壁が弱くなることで血管が膨らんだり、裂けたりする病気で、突然死のリスクも伴うため注意が必要です。出血量が少ない場合は自覚症状がほとんどないこともありますが、出血量が多い場合は、息切れや胸の痛み、顔面蒼白、冷や汗、めまい、ふらつきといった症状が現れます。さらに、出血が続くと貧血を引き起こし、意識消失やショック症状に陥ることもあります。血胸は命に関わる危険な状態です。そのため、速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。治療法としては、胸腔内に溜まった血液を体外に排出する処置や、輸血、手術などが行われます。

項目 詳細
定義 肺を取り囲む胸腔内に血液が溜まった状態
原因 – 交通事故や転倒などによる胸部への強い衝撃
– 大動脈解離や動脈瘤破裂などの血管の病気
症状 – 出血量が少ない場合は自覚症状がほとんどない
– 出血量が多い場合は、息切れ、胸の痛み、顔面蒼白、冷や汗、めまい、ふらつき
– 貧血、意識消失、ショック症状
治療法 – 胸腔内に溜まった血液を体外に排出する処置
– 輸血
– 手術

血気胸:気胸と血胸が同時に発生

血気胸:気胸と血胸が同時に発生

– 血気胸気胸と血胸が同時に発生血気胸とは、肺に空気が漏れてしまう気胸と、胸腔内に血液が溜まる血胸が同時に起こる状態です。 この状態は、交通事故や転落事故、あるいは激しいスポーツ中の衝突など、強い衝撃を伴う外傷によって肺と血管が同時に損傷することで発生します。血気胸になると、息苦しさや胸の痛みといった気胸の症状に加え、血圧低下や顔面蒼白、冷や汗、意識障害といった血胸の症状が現れます。 これは、肺が圧迫されることで十分な酸素を取り込めなくなるだけでなく、血液が失われることで全身に酸素が行き渡らなくなるためです。血気胸は、気胸や血胸単独の場合と比べて重症化する可能性が高いと言えるでしょう。 肺と血管の損傷が重度である場合が多く、迅速な治療が必要となります。 通常は、胸腔ドレナージと呼ばれる処置を行い、胸腔内に溜まった空気や血液を排出します。 また、輸血や手術が必要となる場合もあります。血気胸は、命に関わる危険性もあるため、早期発見・早期治療が重要です。 強い衝撃を受けた後、息苦しさや胸の痛み、顔面蒼白、冷や汗、意識障害といった症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

項目 説明
定義 肺に空気が漏れる「気胸」と、胸腔内に血液が溜まる「血胸」が同時に起こる状態
原因 交通事故、転落事故、スポーツ中の衝突など、強い衝撃を伴う外傷による肺と血管の同時損傷
症状 – 気胸の症状:息苦しさ、胸の痛み
– 血胸の症状:血圧低下、顔面蒼白、冷や汗、意識障害
重症度 気胸や血胸単独の場合と比べて重症化する可能性が高い
治療 – 胸腔ドレナージ
– 輸血
– 手術
緊急性 命に関わる危険性があるため、早期発見・早期治療が必要

早期発見・早期治療が重要

早期発見・早期治療が重要

胸部に強い衝撃を受けると、肺に穴が開いて空気が漏れる気胸、胸腔内に血液が溜まる血胸、そしてその両方が起こる血気胸になることがあります。いずれも、迅速な診断と治療が求められる命に関わる病気です。
特に、肺の外に漏れ出た空気が胸腔内の圧力を上げて心臓や血管を圧迫する緊張性気胸や、大量の出血を伴う大量血胸は、一刻を争う危険な状態です。放置するとショック状態に陥り、死に至る可能性も高くなります。
胸部外傷後、息苦しさを感じたり、胸に痛みを感じたりする場合には、これらの病気を疑う必要があります。また、顔色が青白くなる、冷や汗が出る、脈拍が速くなるといった症状が現れることもあります。このような症状が見られた場合は、一刻も早く医療機関を受診してください。
早期に発見し、適切な治療を行うことで、救命率は大きく向上します。気胸や血胸は、決して軽視することのできない病気です。自身の体を守るためにも、正しい知識を身につけ、適切な行動をとってください。

分類 症状 特徴 対応
緊張性気胸 息苦しさ、胸の痛み、顔面蒼白、冷や汗、頻脈 肺の外に漏れ出た空気が胸腔内の圧力を上げて心臓や血管を圧迫する
命に関わる危険な状態
一刻も早く医療機関を受診
大量血胸 息苦しさ、胸の痛み、顔面蒼白、冷や汗、頻脈 大量の出血を伴う
命に関わる危険な状態
一刻も早く医療機関を受診
気胸・血胸全般 息苦しさ、胸の痛み、顔面蒼白、冷や汗、頻脈 肺に穴が開いて空気が漏れる、胸腔内に血液が溜まる
放置するとショック状態になり、死に至る可能性も
早期発見・適切な治療で救命率向上