「よ」

感染症から守る

脅威の食中毒:溶血性尿毒症症候群を知っていますか?

食中毒と聞くと、吐き気や下痢といった症状を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。確かに、多くの場合、食中毒は比較的軽い症状で済むことが多いです。しかし、油断は禁物です。中には、命に関わるような重い合併症を引き起こす危険な食中毒も存在するのです。その一つが、今回ご紹介する「溶血性尿毒症症候群(HUS)」です。HUSは、腸管出血性大腸菌O157などの特定の細菌が作り出す毒素によって引き起こされます。この毒素は、体内に侵入すると、血液中の赤血球を破壊し、腎臓などの臓器に深刻なダメージを与えます。その結果、血便や血小板減少、腎機能障害といった深刻な症状が現れます。特に、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者は重症化しやすく、最悪の場合、命を落としてしまうこともあります。HUSは決して他人事ではありません。私たちの身近なところに潜む危険な食中毒であることをしっかりと認識し、予防対策を徹底することが重要です。
その他

災害時における要配慮者へのサポート

- 「要配慮者」とは災害が発生すると、誰もが危険にさらされますが、その中でも特に注意が必要な人たちがいます。それが「要配慮者」です。これは、災害対策基本法という法律の中で、「災害時に特別な配慮を必要とする人」と定義されています。では、具体的にどのような人が「要配慮者」に含まれるのでしょうか?代表的な例としては、高齢者や障害者の方々が挙げられます。加齢や障害によって体の機能が低下していると、速やかに避難したり、長時間移動したりすることが困難になる場合があります。また、乳幼児や妊産婦の方々も「要配慮者」に含まれます。赤ちゃんは自分で身の安全を図ることができませんし、妊婦さんはお腹の赤ちゃんを守るために特別な注意が必要です。さらに、外国人の方々も「要配慮者」となりえます。言葉の壁によって、正確な情報が得られなかったり、周囲の人に助けを求めにくかったりする可能性があるからです。このように、「要配慮者」は、災害時にそれぞれ異なる困難を抱える可能性があります。そのため、日頃から「要配慮者」の抱える事情を理解し、地域ぐるみで支え合う体制を整えておくことが重要です。
感染症から守る

災害時の『養生』:それは命を守る防護壁

『養生』と聞くと、多くの人は日々の生活の中で病気にならないように、また健康を保つために、食事や睡眠、運動などに気を配ることだと考えるでしょう。確かに、普段の生活において『養生』は健康の維持増進に役立ちます。しかし、災害医療、特に人体に有害な物質による汚染を伴うNBC災害のような状況下では、『養生』は全く異なる意味を持つのです。NBC災害とは、核(Nuclear)、生物(Biological)、化学(Chemical)物質による災害の総称です。これらの災害では、放射性物質、危険な病原体、有毒ガスなど、人体に深刻な影響を与える物質が放出される可能性があります。このような状況下では、健康維持のためだけではなく、命を守るために『養生』が必要となるのです。具体的には、放射性物質から身を守るためには、屋外への外出を控え、屋内にとどまる、いわゆる「シェルターイン」が重要となります。また、空気中の有害物質を吸い込まないように、窓やドアを閉め、換気扇を止めるなどの対策も必要です。生物災害の場合、感染源との接触を避けるために、人混みを避け、手洗いやうがいを徹底することが重要になります。このように、災害時の『養生』は、普段私たちが健康のために実践していることとは異なる側面を持っていると言えるでしょう。
その他

意外と知らない溶岩ドームの脅威

- 溶岩ドームとは溶岩ドームは、火山活動によって生まれる、特徴的な地形の一つです。火山の噴火口から、粘り気の強い溶岩がゆっくりと押し出されると、その場に留まって冷え固まります。そして、まるで熱いお餅が噴火口の上に積み重なるように、ドーム状の地形を形成していくのです。これが「溶岩ドーム」と呼ばれるもので、別名「溶岩円頂丘」とも呼ばれます。溶岩ドームは、その形から、一見静かで安定した存在のように思えるかもしれません。しかし、実際には内部に高温の溶岩を保持しているため、決して安全とはいえません。火山活動が活発化すると、様々な現象を引き起こす可能性を秘めているのです。例えば、溶岩ドーム内部の圧力が高まると、爆発的な噴火を引き起こしたり、崩落して火砕流や地すべりを発生させることがあります。また、溶岩ドームの成長に伴って、その周辺では地形の変化や亀裂が生じ、新たな噴火口が開く可能性もあります。このように、溶岩ドームは、その美しい外観とは裏腹に、火山活動の潜在的な危険性を秘めた存在と言えるでしょう。
その他

火山噴火の脅威: 溶岩流とその影響

- 溶岩流とは溶岩流とは、火山が噴火した際に、地下深くにあるマグマが地表に流れ出す現象を指します。マグマとは、地下深くの非常に高い温度環境下で、岩石が溶けて液体状になったものです。このマグマが地表に噴出すると、溶岩と呼ばれます。溶岩は非常に高温で、流れる速度や粘り気は、マグマに含まれる成分によって大きく異なります。溶岩流は、その高温のために周囲の環境に大きな影響を与えます。流れ出した溶岩は、草木を焼き尽くし、家屋やインフラを破壊するなど、甚大な被害をもたらす可能性があります。また、溶岩流は冷えて固まると、その場に新たな地形を形成します。溶岩が流れ広がった跡は、広大な溶岩台地や溶岩ドームなどを形成し、周囲の景観を一変させてしまうこともあります。溶岩流の規模や被害は、噴火の規模や溶岩の性質、周囲の地形などによって大きく異なりますが、火山活動の脅威を示す現象の一つと言えるでしょう。
その他

予測線量とは?- 放射線安全の基本-

- 予測線量の定義予測線量とは、原子力発電所での事故や放射性物質を扱う施設でのトラブルなど、放射性物質や放射線が環境中に放出される可能性がある事態を想定し、その際に周辺住民などがどれくらいの放射線を受ける可能性があるのかを事前に計算した値のことです。これは、万が一、放射性物質の放出事故が起こってしまった際に、住民の避難が必要かどうか、どのような防護対策が必要かを判断するための重要な指標となります。予測線量は、事故の種類や規模、気象条件(風向きや風速、雨の有無など)、地形などを考慮して、複雑な計算によって算出されます。事故発生時の状況は刻々と変化するため、予測線量は固定された値ではなく、状況の変化に応じて随時更新されます。予測線量は、人々が不要に不安を感じたり、逆に過小評価して危険な行動をとったりすることを避けるため、分かりやすく提供することが重要です。そのため、関係機関は、予測線量の算出根拠やその意味、注意すべき点などを、一般の人にも理解しやすいように丁寧に説明する必要があります。
その他

天気予報の鍵!予報区ってなに?

- 予報区とはテレビやラジオ、インターネットで天気予報を確認する際、「〇〇地方は晴れ」といった表現を耳にする機会は多いでしょう。実は、天気予報は日本全国を一様に発表しているのではなく、地域ごとに細かく区分して発表されています。この区分を「予報区」と呼びます。予報区は、気象庁が天気予報や警報・注意報などを発表する際に使用する、いわば天気予報の地図における基本単位です。日本は南北に長く、地形も複雑なため、地域によって気象条件が大きく異なります。そのため、より詳細な気象情報を伝えるために、全国を約100の予報区に分割しています。予報区は、都道府県単位よりもさらに狭い範囲を指す場合が多く、例えば東京都内であれば、「東京地方」「多摩北部」「多摩南部」「島嶼部」といったように区分されます。このように、予報区は、それぞれの地域における気象の特徴を考慮して設定されており、より正確な天気予報を伝えるために欠かせないものです。天気予報を見る際には、ぜひお住まいの地域の予報区を確認してみてください。
その他

ヨウ素131:知っておきたいこと

- ヨウ素131とはヨウ素131は、私達の体に必要な栄養素であるヨウ素と同じ元素ですが、目には見えない放射線というエネルギーを出す性質を持っています。これを放射性同位体と呼びます。自然界にもごく微量は存在しますが、原子力発電所や核実験など人工的な活動によって大量に作られ、事故や実験によって大気中に放出されることがあります。ヨウ素131は、呼吸によって体内に取り込まれたり、汚染された水や食物を摂取することによって体内に入ります。体内に入ったヨウ素131は、甲状腺に集まりやすく、長期間にわたって留まり続けることで、甲状腺ホルモンを作る細胞を傷つけ、甲状腺がん等の健康への影響を引き起こす可能性があります。特に成長期の子どもは、大人に比べて甲状腺が小さく、ヨウ素131の影響を受けやすいと言われています。そのため、原子力災害時などには、ヨウ素131を含む放射性物質の摂取を避けるための対策が重要となります。安定ヨウ素剤の服用や、汚染された食品の摂取制限などが有効な対策として挙げられます。
水害について

火山噴火の脅威:溶岩流の破壊力

- 火山の噴火と溶岩火山は地球の奥深くで燃え盛るエネルギーを地上に放出する、言わば地球の呼吸口のようなものです。その噴火は、私たち人間に、自然への畏怖の念と、同時に生命への脅威を与える存在でもあります。火山噴火に伴い、様々な現象が引き起こされますが、その中でも特に目を引くのが、高温の溶岩が斜面を流れ落ちる「溶岩流」です。溶岩流は、地下深くで生成されたマグマが、火山の噴火口や、地震などによってできた地殻の裂け目から地上に流れ出たものです。マグマは地下深くにある時は、高温高圧の状態に置かれているため、溶けた岩石やガスが混ざり合った液体のような状態です。しかし、ひとたび地上に流れ出すと、圧力が下がるため、マグマに含まれていたガスが泡のように出て行き、冷え固まり始めます。この状態のマグマを「溶岩」と呼びます。溶岩の温度は、その成分や、流れ出た時点での温度によって異なりますが、低いものでも摂氏数百℃、高いものになると摂氏1000℃を超えることもあり、あらゆるものを焼き尽くすほどの威力を持っています。
地震について

地震の備え:余震への注意

大きな地震を経験すると、誰もが不安な気持ちを抱え、一日も早く普段通りの生活に戻りたいと願うでしょう。しかし、大きな地震の後には、落ち着いて行動し、注意深く備えなければならないことがあります。それが「余震」です。余震とは、最初に起こる大きな地震、つまり本震の後、同じ場所で発生する比較的小さな地震のことを指します。余震は、本震の規模が大きければ大きいほど、回数も多くなり、期間も長引く傾向があります。場合によっては、数か月、あるいは1年以上も続くことがあります。余震は、規模が小さくても、家具の転倒や家屋の倒壊を引き起こす可能性があります。本震ですでにダメージを受けている建物は、余震によってさらに被害が拡大したり、倒壊する危険性が高まります。そのため、大きな地震を経験した後は、余震に対する備えを怠らないようにしましょう。具体的には、家具の固定を再度確認したり、家屋の安全を確認したりすることが重要です。また、避難経路の確認や非常持ち出し袋の準備も忘れずに行いましょう。余震は、いつ、どれくらいの規模で発生するのかを正確に予測することはできません。大きな地震を経験したら、しばらくの間は、常に余震が起こる可能性があることを意識し、周囲の状況に注意を払いながら、安全を確保してください。
地震について

余震域:地震の後の揺れはどこまで続く?

- 余震域とは大きな地震(本震)が発生すると、その後も小さな地震が繰り返し発生することがあります。これを余震と呼びますが、この余震は本震の影響を受けた周辺地域で起こる可能性があり、その範囲を「余震域」と呼びます。本震は、地球の奥深くにある岩盤に巨大なひずみが生じ、それが一気に解放される際に発生します。この時、岩盤には長年かけて蓄積されたエネルギーが放出されるのですが、一度の本震ですべてのひずみが解消されるわけではありません。本震後も、岩盤にはまだ歪みが残っており、それが徐々に解放されていく過程で、規模の小さな地震が断続的に発生するのです。これが余震です。そして、余震域とは、これらの余震が発生する可能性のある範囲を指します。余震域は、本震の規模や断層の形状、地盤の特性などによって大きく変化します。そのため、明確な境界線があるわけではありません。しかし、一般的には本震の震源を中心とした楕円形の範囲になると考えられています。余震域内では、本震後も活発な地殻変動が続いているため、引き続き注意が必要です。特に、規模の大きな余震が発生した場合には、家屋の倒壊や土砂災害などの二次災害を引き起こす可能性もあるため、日頃から備えをしておくことが重要です。
地震について

地震後の備え:余震確率を理解する

大きな地震に見舞われた時、誰もがまずは自分の身の安全を確保しようとします。これは当然の行動です。しかし、激しい揺れが収まった後も、決して気を緩めてはいけません。なぜなら、大きな地震の後には、余震と呼ばれる小さな地震が、何度も繰り返し発生することが少なくないからです。余震は、本震で揺さぶられた地盤が、安定した状態に戻ろうとする過程で起こります。そして、油断できないことに、これらの余震は、時として最初の地震と同じくらいの大きさになることもあるのです。もしも、最初の地震で建物や家屋がダメージを受けている場合、大きな余震によって更なる損傷を受けたり、最悪の場合、倒壊してしまう危険性も孕んでいます。また、大きな地震の後には、地盤が緩んでいたり、建物が不安定な状態になっていることが多く、わずかな揺れでも土砂崩れや建物の倒壊を引き起こす可能性があります。ですから、余震は、最初の地震による被害を拡大させる可能性もあるのです。大きな地震を経験したら、しばらくの間は警戒を怠らず、安全な場所に身を置くように心がけましょう。