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感染症から守る

天然痘:過去の病気? それとも未来の脅威?

- 天然痘とは天然痘は、痘瘡ウイルスという病原体によって引き起こされる感染症です。この病気は、感染力が非常に強く、空気感染するため、人から人へ容易に広がります。 感染すると、高熱や全身の倦怠感などの症状が現れ、その後、特徴的な発疹が顔や手足に現れます。発疹は、赤い斑点から始まり、水ぶくれへと変化し、最終的にはかさぶたとなって剥がれ落ちます。天然痘は、歴史的に見ても、非常に恐れられてきた病気の一つです。その理由は、感染した人の30%が亡くなる といわれるほど、致死率が高かったためです。現代では、世界保健機関(WHO)の尽力により、1980年に撲滅が宣言されました。これは、人類が初めて根絶に成功した感染症 として、歴史に名を刻んでいます。しかし、天然痘ウイルス自体は完全に消滅したわけではありません。一部の研究所では、研究目的でウイルスが保管されています。そのため、テロなどの目的でウイルスが使用される可能性はゼロではありません。万が一、天然痘が再び発生した場合に備え、私たちは、日頃から予防対策や治療法に関する正しい知識を身につけておくことが重要 です。
水害について

水の事故から命を守る:溺水の基礎知識と予防策

水辺でのレジャーや日常生活の中で、予期せぬ水の事故に遭遇する可能性は誰にでもあります。海や川、湖などの水辺は、私たちに安らぎや楽しさを与えてくれますが、同時に危険と隣り合わせであることを忘れてはなりません。水深が浅く見えても、急に深くなっている場所や、流れが複雑な場所もあります。また、水温や天候、水底の状況など、予測できない要素も多く存在します。水に慣れていない人だけでなく、泳ぎに自信がある人でも、水の事故に遭う可能性は十分にあると言えるでしょう。水に浸かることで呼吸ができなくなる状態を溺水と呼びます。溺水は、ほんの数分の出来事で、意識を失い、最悪の場合、死に至ることもあります。かつては、溺水しても命を取り留めた場合、「ニア・ドローニング」という言葉が使われていましたが、現在は使用されていません。なぜなら、たとえ短時間であっても、呼吸ができない状態は、脳や心臓を含む身体に深刻な影響を及ぼす可能性があるからです。後遺症が残る可能性もあり、決して軽視できるものではありません。水辺では、安全に対する意識を常に持ち、事故を防ぐための対策をしっかりと講じることが重要です。
水害について

火山噴火の脅威:テフラについて

- テフラとは火山活動は、地球が生きている証であり、私たちに恩恵をもたらすと同時に、脅威となる側面も持ち合わせています。中でも、噴火は様々な現象を引き起こし、私たちの生活に大きな影響を与える可能性があります。噴火によって噴出される物質は、溶岩や火山ガスなど多岐に渡りますが、今回はその中でも「テフラ」と呼ばれる物質について詳しく解説していきます。テフラとは、火山噴火によって空中に放出され、その後地上に降下してくる固体物質の総称です。大きさは様々で、火山灰のように細かいものから、軽石やスコリアのように大きいものまで、様々なものが含まれます。これらの物質は、溶岩のように高温で流動的なものではなく、空気中を漂った後、地上に降り積もっていくのが特徴です。テフラは、その大きさや成分、噴出量によって、周囲の環境や人々の生活に様々な影響を及ぼします。例えば、細かい火山灰は、広範囲に拡散し、日射量を減少させたり、農作物に被害を与えたりすることがあります。また、航空機の運航に支障をきたすこともあります。一方、軽石やスコリアは、堆積することで土壌の性質を変えたり、排水性を向上させたりする効果もあります。このように、テフラは一概に危険な物質と断言できるものではなく、その影響は多岐に渡ります。しかし、噴火の規模や発生場所によっては、私たちの生活に甚大な被害をもたらす可能性も秘めているため、日頃から正しい知識を身につけておくことが重要です。
水害について

身近な気象現象:低気圧

- 低気圧とは天気予報で耳にする「低気圧」。これは一体どんなものなのでしょうか?低気圧とは、周りの空気よりも気圧が低い場所のことを指します。空気は、気圧の高いところから低いところへ移動する性質を持っています。そのため、低気圧の中心部には、周囲から空気が流れ込む現象が起こります。この空気の流れ込みが、上昇気流を生み出す要因となります。空気が上空へ持ち上げられることで、空気中の水蒸気が冷やされ、雲が発生しやすくなるのです。そのため、低気圧が近づくと、雨や曇りの天気となることが多いのです。低気圧には、大きく分けて温帯低気圧と熱帯低気圧の二つがあります。温帯低気圧は、中緯度で発生し、四季の変化にともなって日本にも頻繁に接近します。春や秋に雨をもたらす「春雨」や「秋雨」は、温帯低気圧の影響によるものです。一方、熱帯低気圧は、熱帯の海洋上で発生し、非常に強い雨と風を伴うことがあります。熱帯低気圧の中でも、特に強いものを「台風」と呼びます。このように、低気圧は私たちの身の回りの天気に大きな影響を与えています。天気予報をよく確認し、低気圧の特徴を理解しておくことが、防災対策の第一歩と言えるでしょう。
水害について

停滞前線と大雨の関係

- 天気予報でおなじみの停滞前線天気予報でよく耳にする「停滞前線」という言葉。何となく、梅雨時のジメジメした天候や長引く雨を連想する方も多いのではないでしょうか。停滞前線とは、文字通り「停滞する前線」のことです。では、そもそも「前線」とは何なのでしょうか?前線とは、性質の異なる空気のかたまりの境界面のことです。空気のかたまりは「気団」と呼ばれ、温度や湿度の違いによって、例えば暖かい気団と冷たい気団のように分類されます。この異なる性質を持つ気団がぶつかると、その境目に「前線」が生まれます。 前線は、まるで薄い壁のように、異なる気団を隔てています。停滞前線は、この前線がほとんど動かず、同じ場所に留まり続ける状態を指します。停滞前線が発生すると、前線付近では、暖かく湿った空気が冷たい空気の上に持ち上げられます。上昇気流が発生し、雲が発達しやすくなるため、長時間にわたって雨雲が同じ場所にとどまり、長雨をもたらすことがあります。これが、停滞前線が梅雨時のジメジメした天候や長引く雨と結び付けられる理由です。
水害について

突発的な水害!鉄砲水から身を守るには?

- 鉄砲水とは鉄砲水は、集中豪雨などによって川の周辺で急に起こる恐ろしい水の災害です。普段は穏やかな川や用水路でも、大量の雨が短時間に集中して降ると、水位が一気に上がります。そして、まるで鉄砲のように、ものすごい速さと力で、土や木くずなどを巻き込みながら、下流へと流れ出す現象を「鉄砲水」と呼びます。鉄砲水の恐ろしさは、その発生の速さと規模にあります。少し前まで晴れていた場所でも、急に空が暗くなり、激しい雨が降り始めると、あっという間に川の水かさが増え、濁流が押し寄せます。 この急激な変化は、人々に逃げる時間を与えず、大きな被害をもたらす可能性があります。鉄砲水は、山間部や谷間など、周囲を山に囲まれた狭い場所ほど発生しやすく、勾配が急な場所では、流れの速さが増し、破壊力も強まります。 また、都市部でも、アスファルトやコンクリートで覆われた地面は、雨水を吸収しにくいため、下水道などの排水能力を超える雨が降ると、道路が川のようになり、鉄砲水と同じような被害が発生することがあります。鉄砲水から身を守るためには、天気予報や注意報などに注意し、危険を感じたら早めに安全な場所に避難することが大切です。
水害について

防災・防犯に役立つ天候の知識

- 天候とは何か日々の生活の中で、私たちは「今日はいい天気だね」とか「明日は雨が降るみたいだ」といった会話をよくします。このような、数時間から数日間の短い期間の大気の状態のことを「天気」といいます。天気は私たちの日常生活に密接に関係しており、天気予報などでこまめにチェックする人も多いでしょう。一方、「今年の夏は暑かった」とか「最近は雪が降る日が少なくなった」といった表現を耳にすることもあるでしょう。これは、数か月から数年という長い期間で見た場合の大気の状態を指しており、「気候」と呼ばれます。気候は、私たちの生活様式や地域の文化、産業などにも大きな影響を与えます。では、「天気」と「気候」の中間に位置する「天候」とは一体何なのでしょうか? 天候は、数日から数か月間という、天気よりも長く、気候よりも短い期間の大気の状態を指します。例えば、「今年の梅雨は長雨が続いた」とか「来月は気温が低めの日が多い見込みです」といった表現は、天候について述べていると言えるでしょう。このように、天候は天気と気候の両方の要素を含んでおり、私たちの生活にも深く関わっているのです。
地震について

意外と知らない低周波地震の謎

- 低周波地震とは低周波地震とは、1秒間に1回から2回ほど揺れる、ゆったりとした地震のことです。普段私たちが感じる地震は、ガタガタと揺れがすぐに収まることが多いですよね。しかし低周波地震は、揺れを感じにくいほどゆっくりとした周期で発生します。そのため、体感ではなかなか気づきにくい地震と言えるでしょう。この低周波地震、実は私たちの身近で発生している可能性もあります。活断層で発生する一般的な地震とは異なり、火山活動に伴い発生することが多いのが特徴です。地下深くでマグマや熱水が移動することで、周囲の岩盤に影響を与え、低い周波数の揺れを引き起こすと考えられています。また、プレートの沈み込み帯など、深い場所で発生する地震も低周波地震の特徴です。深い場所では、地震波が高周波成分を減衰させてしまい、低い周波数の波だけが地表に到達するためです。低周波地震は、体に感じにくいからといって、決して影響がないわけではありません。むしろ、高層ビルなど周期の長い建物では、共振を起こしやすく、家具の転倒や建物の損傷を引き起こす可能性も考えられます。