PWR

インフラを守る

原子力発電所の心臓部を守る: 原子炉補助建屋とは

原子力発電所といえば、多くの人が巨大なドーム型の建物を思い浮かべるのではないでしょうか。これは原子炉建屋と呼ばれ、発電の要となる原子炉はこの内部に設置されています。原子炉は、ウラン燃料の核分裂反応を利用して膨大な熱エネルギーを生み出し、その熱で蒸気を発生させてタービンを回し、発電機を動かして電気を作り出します。ところで、原子力発電所、特に国内で主流の加圧水型原子炉(PWR)と呼ばれるタイプの発電所では、原子炉建屋の隣に、もう一つ重要な建物が存在します。それが「原子炉補助建屋」です。原子炉建屋が原子炉そのものを収める建物であるのに対し、原子炉補助建屋は原子炉の運転を支える様々な機器やシステムが集められた建物です。原子炉で発生した熱を効率よく電力に変換するには、原子炉内の圧力や温度を一定に保つ必要があります。原子炉補助建屋には、この役割を担う「加圧器」や、原子炉内の冷却水を浄化する「化学体積制御設備」、万が一の事故時に原子炉を緊急停止させる「安全注入設備」など、重要な設備が数多く設置されています。これらの設備が正常に機能することで、原子炉は安全かつ安定的に運転され、私達の生活に欠かせない電力を供給することができるのです。
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原子力発電の仕組み:加圧水型原子炉

- 加圧水型原子炉とは加圧水型原子炉は、原子力発電所で広く採用されている原子炉の一つの形式です。英語では「Pressurized Water Reactor」と表記し、PWRと略されることもあります。このタイプの原子炉は、水を減速材と冷却材の両方に使用するのが特徴です。原子炉内でウラン燃料が核分裂すると、大量の中性子が発生します。しかし、発電に利用しやすい核分裂を引き起こすには、中性子の速度を落とす必要があります。そこで、減速材である水が中性子の速度を和らげ、効率的に核分裂を起こさせる役割を担います。一方、核分裂反応に伴い、原子炉内は高温になります。そこで、冷却材として働く水が原子炉から熱を吸収します。この水は加圧されているため、沸騰することなく高温を保ちながら、蒸気発生器へと送られます。蒸気発生器では、加圧された高温の水が熱交換により二次系の水を沸騰させ、蒸気を発生させます。この蒸気がタービンを回し、発電機を動かすことで電力を作ります。このように、加圧水型原子炉は水が一貫して熱の運搬を担うことで、高い効率で発電できるという利点があります。
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エネルギー源としてのPWR:安全性と仕組み

加圧水型原子炉とは加圧水型原子炉は、英語では「Pressurized Water Reactor」と表記し、その頭文字をとってPWRとも呼ばれます。世界中で稼働している原子力発電所のなかで最も多く採用されている方式です。 このタイプの原子炉の特徴は、水に減速材と冷却材という二つの役割を担わせている点にあります。原子炉の中ではウラン燃料が核分裂反応を起こしますが、この反応を効率的に行うためには中性子と呼ばれる粒子を適切な速度に調整する必要があります。そこで、水に中性子を衝突させて速度を落とすことで、核分裂反応を制御しています。この役割を担う水を「減速材」と呼びます。一方、核分裂反応では莫大な熱が発生します。この熱を放置すると原子炉の炉心が過熱してしまい、炉心の溶融や破損に繋がります。そこで、炉心で発生した熱を水が吸収し、原子炉の外に運び出すことで温度の上昇を抑えています。原子炉から熱を奪う役割を担う水を「冷却材」と呼びます。加圧水型原子炉では、この減速材と冷却材の両方に水を用いている点が特徴です。