「き」

けが人へ医療

救命の砦!救急室開胸とは?

救急医療の現場では、患者さんの容体が急激に悪化し、一刻を争う事態に遭遇することがあります。まさに時間との戦いであり、迅速かつ的確な判断と行動が求められます。その中でも、重症の心臓血管患者さんに対して、救命の最終手段として選択されるのが『救急室開胸』です。これは、手術室への搬送が困難なほど患者さんの状態が深刻な場合に、救急室で緊急に開胸手術を行うという、極めて高度な医療行為です。救急室開胸は、心臓や大動脈などの重要な臓器に損傷があり、一刻の猶予も許されない状況で行われます。例えば、心停止状態の患者さんに対して心臓マッサージなどの蘇生処置を行っても効果がない場合や、大動脈解離などで心臓や肺に圧迫が加わっている場合などが考えられます。このような緊迫した状況下では、医師や看護師をはじめとする医療従事者は、それぞれの専門知識と技術を駆使し、一丸となって患者さんの救命に全力を尽くします。救急室開胸は、まさに医療チームの総合力が試される場と言えるでしょう。しかし、救急室という限られた環境下で行われる開胸手術は、手術室で行う場合と比べてリスクも高くなります。そのため、患者さんの状態やリスクを慎重に判断し、最善の治療方針を決定する必要があります。
その他

命を守る!急性冠症候群の基礎知識

- 急性冠症候群とは?心臓は、体中に血液を送り出すために休むことなく働き続けています。この重要な臓器に栄養豊富な血液を届けているのが、心臓を囲むように張り巡らされた冠動脈です。急性冠症候群は、この冠動脈に突然の変化が起こることで発症する、命に関わる可能性のある危険な状態です。1992年にファスター氏らによって提唱されたこの概念は、簡単に言うと、心臓の血管が急に詰まったり狭まったりすることで、心臓の筋肉に十分な血液が行き渡らなくなる病気です。心臓の筋肉は、血液によって酸素や栄養を供給されています。しかし、急性冠症候群になると、冠動脈の閉塞や狭窄によって心臓への血流が滞り、心臓の筋肉が酸欠状態に陥ってしまいます。これが続くと、心臓の筋肉の一部が壊死してしまう可能性があり、これが一般的に心臓発作と呼ばれる状態です。急性冠症候群は、決して他人事ではありません。心臓発作の主な原因の一つとなっており、一刻も早い医療処置が必要な緊急事態です。そのため、急性冠症候群について正しく理解し、適切な対処法を身につけておくことが重要です。
けが人へ医療

命を脅かす病気:急性呼吸促迫症候群とは

- 急性呼吸促迫症候群とは急性呼吸促迫症候群(ARDS)は、肺に大量の水分がたまり、血液中の酸素が不足してしまう、命に関わる深刻な病気です。私たちの肺は、無数の小さな空気の袋、「肺胞」でできています。ARDSを発症すると、この肺胞が炎症によって傷つけられ、十分に機能しなくなります。その結果、血液中に十分な酸素を取り込むことができなくなり、呼吸困難に陥ります。ARDSは、肺炎や敗血症などの特定の病気にかかった後、または重度の怪我をした後に発症することがあります。ARDSは、集中治療室での治療が必要となる重篤な病気であり、場合によっては人工呼吸器による治療が必要となることもあります。ARDSの治療には、酸素吸入や人工呼吸器による呼吸の補助、炎症を抑える薬剤の投与などがあります。また、ARDSの原因となる基礎疾患の治療も重要です。ARDSは重篤な病気ですが、早期に発見し適切な治療を行えば、回復の可能性は高まります。
その他

体からのサイン:急性期蛋白質を理解する

私たちは日常生活の中で、ちょっとした切り傷や擦り傷、あるいは風邪などの感染症にかかることがあります。このようなとき、私たちの体は自然治癒力を発揮し、傷ついた部分を修復したり、体内に入ってきた病原菌と戦ったりしようとします。この体の反応こそが炎症と呼ばれるものです。炎症が起こると、患部は赤く腫れ上がり、熱や痛みを感じることがあります。これは、体が治癒のために様々な物質を送り込んでいるサインです。その中には、急性期蛋白質と呼ばれる一群の蛋白質も含まれます。急性期蛋白質は、肝臓で作られ、炎症が起こると血液中に放出されるという特徴があります。医療現場では、この急性期蛋白質を測定することで、体内で炎症が起きているかどうか、そしてどの程度の炎症が起こっているのかを調べることができます。炎症の指標となる急性期蛋白質には、CRPやSAAなど、いくつかの種類があります。これらの検査値を見ることで、病気の診断や治療効果の判定に役立てることができます。また、炎症が長引くと、体に負担がかかり、様々な病気を引き起こす可能性があります。急性期蛋白質の検査は、早期発見・早期治療にも繋がる重要な検査と言えます。
その他

命に関わる緊急事態!急性大動脈解離とは?

私たちの体の中には、心臓から送り出された血液を全身に運ぶ、非常に重要な役割を担う血管があります。それが大動脈です。まるで体中に張り巡らされた高速道路のように、大動脈は酸素を豊富に含んだ血液を体の隅々まで届け、私たちが生きていく上で欠かせない働きをしています。しかし、この重要な大動脈に、ある日突然異変が起こることがあります。それが急性大動脈解離と呼ばれる病気です。この病気は、大動脈の壁に亀裂が入り、その亀裂から血液が血管壁の中に流れ込んでしまうことで起こります。まるで高速道路に亀裂が入り、そこから車が入り込んでしまうようなもので、大変危険な状態です。急性大動脈解離は、突然激しい痛みに襲われることが多く、一刻も早く適切な処置を受けなければ命に関わることもあります。日頃から動脈硬化などのリスク因子を減らす生活を心がけ、万が一、突然の胸や背中の痛みに襲われた場合には、ためらわずにすぐに医療機関を受診することが重要です。
その他

命を脅かす危険な呼吸障害:急性肺傷害 (ALI) とは

- 急性肺傷害 (ALI) とは急性肺傷害 (ALI) は、肺に急激に炎症が起こり、呼吸が困難になる深刻な病気です。交通事故や大手術など、体に大きな負担がかかった後、12時間から48時間以内に症状が現れるのが特徴です。健康な肺は、たくさんの小さな空気の袋でできており、そこで血液中に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出しています。しかし、ALIになると、この空気の袋に水がたまり、炎症を起こしてしまいます。そのため、十分な酸素を血液に取り込めなくなり、息苦しさや呼吸困難といった症状が現れるのです。ALIの診断には、胸部X線写真で両方の肺に影が見られること、そして血液中の酸素濃度が著しく低下していることが重要となります。これは、肺の重要な機能である、血液中に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する働きが、ALIによって著しく阻害されているためです。ALIは命に関わる病気であり、早期の診断と適切な治療が重要となります。もし、体に大きな負担がかかった後、息苦しさや呼吸困難といった症状が現れた場合には、すぐに医療機関を受診してください。
けが人へ医療

胸部外傷で見逃せない!気胸、血胸、血気胸とは?

私たちの肺は、胸膜という薄い膜で包まれています。肺と胸膜の間には、わずかな液体で満たされた胸膜腔という空間があります。胸部に強い衝撃を受けると、この胸膜腔で異常が起こることがあります。主な病態として、気胸、血胸、血気胸の3つが挙げられます。気胸は、胸膜腔に空気が入り込むことで肺が圧迫される状態です。息苦しさや胸の痛みを感じ、呼吸が浅く速くなることがあります。重症化すると、顔色が悪くなったり、意識がもうろうとしたりする危険性もあります。血胸は、胸膜腔に出血が起こり、肺が圧迫される状態です。出血量が多いと、酸素を十分に取り込めなくなり、ショック状態に陥ることもあります。血気胸は、気胸と血胸が同時に起こる状態です。空気が入る原因としては、肺を損傷するような外傷が考えられます。呼吸困難や胸の痛み、血圧低下など、気胸と血胸の両方の症状が現れます。いずれの病態も命に関わる危険性があるため、迅速な処置が必要です。特に、交通事故や高所からの落下など、胸部に強い衝撃を受けた場合は、これらの病態を疑い、速やかに医療機関を受診することが重要です。
けが人へ医療

いつもと違う?要注意!奇異呼吸を見分ける

私たちは普段、息を吸ったり吐いたりすることを意識せずに生活しています。これは呼吸が、生命維持に欠かせない非常に重要な働きでありながら、通常は無意識のうちに行われているからです。しかし、体に病気や怪我などが生じると、この呼吸に異常が現れることがあります。これを「奇異呼吸」と呼びます。奇異呼吸は、呼吸の回数、リズム、深さなどが通常とは異なる状態を指します。例えば、息を吸うのが苦しい、呼吸が速い、呼吸のリズムが乱れるといった症状が現れます。これらの症状は、肺炎や喘息などの呼吸器疾患だけでなく、心不全や糖尿病など、様々な病気が原因で起こる可能性があります。普段は意識することの少ない呼吸ですが、その状態は体の健康状態を反映する重要なサインです。そのため、自分自身や周りの人の呼吸にいつもと違う様子が見られた場合は、すぐに医療機関に相談することが大切です。早期発見と適切な対応によって、重症化を防ぐことができる場合も少なくありません。
けが人へ医療

気管気管支洗浄:人工呼吸器管理の重要ポイント

- はじめに病気や怪我などによって、自力で呼吸をすることが難しい患者さんにとって、人工呼吸器は、その命をつなぐために欠かせない医療機器です。人工呼吸器は、肺に空気を送り込み、呼吸を助けるという重要な役割を担っています。しかし、人工呼吸器を使用するにあたっては、注意深く管理を行わなければ、合併症のリスクが高まる可能性があります。特に、気道分泌物の貯留は、肺炎などの深刻な呼吸器合併症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。そこで重要となるのが、「気管気管支洗浄」という処置です。これは、気管や気管支内に溜まった分泌物を洗い流し、清潔な状態を保つことで、合併症のリスクを低減することを目的としています。今回は、この「気管気管支洗浄」について、その詳細な方法や効果、注意点などを詳しく解説していきます。
その他

気管支肺胞洗浄:肺の奥深くを探る診断法

健康診断では、胸部エックス線検査が広く行われています。これは、肺の異常を発見するための簡便で有効な方法です。しかし、肺の奥深くで起きている小さな変化や、病気のより詳しい情報を得るためには、さらに精密な検査が必要となる場合があります。そこで登場するのが「気管支肺胞洗浄」という検査法です。気管支肺胞洗浄は、口や鼻から細い管(気管支鏡)を肺まで挿入し、肺の末梢にある小さな袋状の器官である肺胞に、生理食塩水などの洗浄液を注入して、その後、吸引して回収する検査です。この回収された洗浄液中には、肺胞内に存在する細胞や、炎症や感染症の原因となる物質などが含まれています。この検査によって得られた細胞や物質を分析することで、肺炎、肺がん、間質性肺炎、肺結核などの病気の診断や、病気の原因究明、治療効果の判定などに役立てることができます。気管支肺胞洗浄は、肺の奥深くの状態を調べるための有用な検査法と言えるでしょう。
けが人へ医療

命を守る気道確保:気管切開とは?

- 気管切開の目的気管切開とは、呼吸が困難になった際に、命を繋ぐために行われる重要な手術です。 この手術は、様々な原因で気道が塞がったり狭くなったりして、十分な呼吸ができなくなった場合に実施されます。私たちの体には、鼻や口から吸い込んだ空気を肺に届けるための気道と呼ばれる器官があります。しかし、病気や事故などによってこの気道が塞がれてしまうと、空気の通り道が狭くなり、呼吸が苦しくなります。さらに重症化すると、自力での呼吸が困難になり、生命の危機に瀕することもあります。このような状況において、気管切開は非常に有効な手段となります。気管切開では、首の前方にある気管軟骨という部分に小さな穴を開け、そこから直接チューブを挿入します。これにより、鼻や口を通らずに、肺に直接空気を送り込むことが可能になります。気管切開は、一時的な呼吸の補助として行われる場合もあれば、長期にわたって呼吸管理が必要な場合にも行われます。手術後は、チューブを通して呼吸の管理を行いながら、原因となった病気の治療やリハビリテーションなどを進めていきます。
水害への備え

急傾斜地崩壊危険区域とは?

- 急傾斜地崩壊危険区域とは急傾斜地崩壊危険区域とは、大雨や地震などによって斜面が崩落し、人々の生活や財産に被害が及ぶ可能性のある区域のことです。日本では、山地が多く、傾斜の急な斜面が住宅地に隣接している場所も少なくありません。そうした場所は、ひとたび大雨が降ると、土砂災害のリスクが高まります。 急傾斜地崩壊危険区域は、そうした危険な区域をあらかじめ指定することで、住民の方々に注意喚起を行うとともに、安全対策を推進していくことを目的としています。区域の指定は、急傾斜地法(急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律)に基づいて行われます。 まず、都道府県が、過去の災害履歴や地形・地質などを考慮して危険箇所調査を実施します。そして、その調査結果を踏まえ、都道府県知事が市町村長の意見を聴いて、急傾斜地崩壊危険区域を指定します。 指定された区域では、住宅の新築や増築などに制限が設けられる場合があります。また、既存の住宅についても、擁壁の設置や斜面の改修などの安全対策が必要となることがあります。 急傾斜地崩壊危険区域に指定されているかどうかは、お住まいの市町村役場などで確認することができます。もし、お住まいの地域が指定されている場合は、日頃から防災意識を高め、適切な対策を講じておくことが重要です。
水害について

天気予報で見かける「気圧配置」ってなに?

天気予報で必ずといっていいほど耳にする「気圧配置」という言葉。なんとなくは分かっても、具体的にそれが何を意味し、天気とどう関係しているのか、説明できるでしょうか?今回は、天気予報を理解する上で欠かせない「気圧配置」について、詳しく解説していきます。まず「気圧」とは、空気の重さによって生じる圧力のことを指します。この空気の重さは、場所や時間によって常に変化しており、気圧の高い場所と低い場所が存在します。天気予報で目にする天気図は、この気圧の高低分布を視覚的に表したものです。天気図を見ると、同心円状に線が引かれているのが分かります。この線を「等圧線」と呼び、同じ気圧の場所を線で結んでいます。等圧線が密集しているところは気圧の変化が大きく、風が強くなる傾向があります。逆に、等圧線が広く間隔が空いているところは気圧の変化が小さく、穏やかな天気となることが多いです。気圧配置と天気の関係は深く、一般的に気圧の低い場所には雲が発生しやすく、雨や雪などの降水をもたらします。一方、気圧の高い場所は晴天をもたらすことが多いでしょう。天気予報では、この気圧配置の変化を分析することで、今後の天気の変化を予測しています。天気予報で「高気圧に覆われて」や「低気圧が接近」といった言葉を耳にすることがあるかと思います。これはまさに、気圧配置が天気と密接に関係していることを示す言葉です。天気予報をより深く理解するためにも、気圧配置に注目してみて下さい。
水害について

想定外の速さ!迫り来る脅威、近地津波とは

私達が生活する陸地から比較的近い、600キロメートル以内の海底で地震が起きると、「近地津波」が発生することがあります。この近地津波は、地震の規模の大小に関わらず発生する可能性があり、時として大きな被害をもたらします。海底で地震が発生すると、海底の地盤が大きく隆起したり沈降したりすることがあります。この海底の急激な変化によって、周囲の海水が大きくかき混ぜられ、波として四方八方に広がっていきます。これが津波の発生メカニズムです。地震の規模が大きければ、当然津波も大きくなる傾向にありますが、海底の地形や地震の発生メカニズムによっては、比較的小さな地震でも大きな津波が発生することがあります。そのため、たとえ規模が小さくても、海底で地震が発生したという情報には注意が必要です。特に、沿岸地域に住んでいる人々は、日頃から津波への備えをしておくことが重要です。津波ハザードマップを確認し、避難経路や避難場所を把握しておくことはもちろん、家族や地域で津波発生時の行動について話し合っておくことも大切です。
水害について

記録的短時間大雨情報:命を守るための備え

近年、毎年のように発生する豪雨災害により、私たちの生活は大きな影響を受けています。かつては局地的な現象と捉えられていましたが、近年では線状降水帯という言葉が広く知られるようになり、その脅威は全国に及んでいます。線状降水帯は、積乱雲が線状に連なり、同じ場所に長時間、集中的に激しい雨を降らせる現象です。このため、河川の氾濫や土砂災害など、甚大な被害をもたらす可能性があります。地球温暖化の影響により、大気中に含まれる水蒸気量が増加し、豪雨の発生頻度や規模が増大する傾向にあると言われています。いつどこで豪雨に見舞われるかは予測が難しく、日頃からの備えが重要です。まずは、自分が住んでいる地域のハザードマップを確認し、浸水や土砂災害のリスクを把握しましょう。避難場所や避難経路も事前に確認しておくことが大切です。また、非常持ち出し袋の準備も忘れずに行いましょう。食料や水、懐中電灯、携帯ラジオなどの必需品を揃えておくことが重要です。さらに、家族や地域住民との連携も大切です。日頃からコミュニケーションを取り、いざというときに助け合える関係性を築いておくことが大切です。
水害について

天気予報でよく聞く「気圧の谷」って?その影響と対策を解説

- 気圧の谷とは天気予報で耳にする「気圧の谷」。あまり聞きなれない言葉に、戸惑う方もいらっしゃるかもしれません。天気図を見ると、聞きなれない記号や表現が使われていることもあり、難しく感じてしまうのも無理はありません。しかし、「気圧の谷」は、天気の変化を理解する上で重要な要素の一つです。簡単に言うと、「気圧の谷」とは、周囲よりも気圧が低い場所のことを指します。高い山と山の間に谷があるように、気圧の高いところと高いところの間に、気圧の低い場所ができることがあります。これが「気圧の谷」です。天気図では、同じ気圧の場所を線で結んだ「等圧線」を使って表現されます。気圧の谷は、この等圧線が谷のようにくぼんで描かれることから、その名がつきました。では、なぜ気圧の谷ができると天気が崩れやすいのでしょうか?それは、気圧の谷には周囲から空気が流れ込み、上昇気流が発生しやすくなるためです。空気が上昇すると、空気中の水蒸気が冷やされて雲が発生し、雨を降らせることがあります。気圧の谷は、その大きさや形、移動速度によって、もたらす天気の影響も異なります。そのため、天気予報で気圧の谷の動きを把握しておくことは、日々の天気の変化に備える上で役立ちます。
地震への備え

帰宅困難者とは?~大規模災害時のリスクと対策~

- 帰宅困難者とは大地震などの広範囲に影響を及ぼす災害が発生した際、公共交通機関がストップしてしまうことで、自宅まで歩いて帰ることが難しくなる人のことを、「帰宅困難者」と呼びます。 都市部では、オフィス街に職場や学校が集中しており、郊外に自宅がある人が多く見られます。そのため、災害が起こると、多くの人が同時に帰宅しようと殺到し、大混乱が生じやすくなります。このような事態に備え、国や地方自治体は、帰宅困難者対策を推進しています。 例えば、企業に対しては、従業員を一定期間、会社などに留め置く「一時滞在施設」の確保や、食料や水などの備蓄を義務付けています。 また、各自治体では、帰宅困難者の一時的な避難場所として、学校や公民館などを開放する計画を立てています。一人ひとりが、大規模災害時に帰宅困難者になる可能性を認識し、日頃から備えをしておくことが重要です。 具体的には、会社や自宅周辺の災害時の危険箇所や避難場所を確認しておく、非常食や飲料水、懐中電灯などを準備しておく、家族との連絡手段を確保しておくなどの対策が必要です。 また、災害発生時には、慌てずに正確な情報を入手し、落ち着いて行動することが大切です。
地震への備え

緊急地震速報で命を守る!

いつ襲ってくるか分からない恐怖、それが地震です。大きな地震に見舞われれば、私たちの暮らしは大きな打撃を受けます。家屋が倒壊し、道路が寸断され、電気、ガス、水道といったライフラインも止まってしまうかもしれません。しかし、もしも、大きな揺れが来る前に、わずかな時間でも事前に知る術があればどうでしょうか。家具を押さえたり、安全な場所に移動したり、とっさにできることが増え、被害を減らせる可能性が高まります。そこで頼りになるのが「緊急地震速報」です。緊急地震速報とは、地震が発生した直後に、地震の揺れが伝わるよりも速く、地震の規模や震源地を推定し、強い揺れが来ることを知らせてくれるシステムです。気象庁が配信するこの情報により、私たちは貴重な数秒から数十秒の時間を得ることができます。このわずかな時間が、命を守る行動、被害を最小限に抑える行動につながるのです。緊急地震速報は、テレビやラジオ、携帯電話など、様々な手段で伝えられます。いざというときに備え、日頃から緊急地震速報の内容や、情報を受信した際の適切な行動について確認しておくことが大切です。
地震への備え

大震災発生時、あなたを守る帰宅支援マップとは?

- 帰宅支援マップとは大地震などの災害が起こると、普段利用している電車やバスなどの公共交通機関が止まってしまうことがあります。このような状況下で、自宅まで安全に歩いて帰れるようにと作られたのが「帰宅支援マップ」です。この地図には、職場や外出先から自宅までの道のりが示されており、距離や徒歩でかかる時間の目安が分かります。また、安全に歩くために注意すべき情報も掲載されています。例えば、建物が倒壊する危険性が高い区域や、火災が発生した際に延焼しやすい区域などが分かりやすく表示されています。さらに、帰宅支援マップには、災害時に役立つ施設の情報も載っています。例えば、近くの避難場所や医療機関、そして、飲み水を得られる給水ポイントなども確認できます。いざという時に慌てずに済むよう、普段から自宅や職場周辺の帰宅支援マップを確認しておきましょう。 また、家族で地図を見ながら、災害時の安全な帰宅経路について話し合っておくことも大切です。
地震への備え

緊急輸送道路:災害時の命綱

大規模な地震などの災害が発生すると、道路の崩壊や建物の倒壊によって、被災地へのアクセスが困難になることがあります。このような状況下では、救助活動や救援物資の輸送が遅れ、被害が拡大し、人々の命にも関わる事態になりかねません。そのため、災害発生直後から、迅速かつ円滑に緊急輸送を行うためのルートを確保することが極めて重要となります。具体的には、災害に強い道路の整備や、迂回路の情報収集、関係機関との連携強化などが求められます。また、平常時からの備えも重要です。例えば、地域の防災マップを確認し、災害時に想定される危険箇所や避難経路を把握しておくことや、家族や地域住民と協力して、避難訓練に参加することも有効な手段です。災害時の緊急輸送ルートの確保は、被災者の安全を確保し、被害を最小限に抑えるために不可欠です。私たち一人ひとりが日頃から防災意識を高め、適切な行動をとることが大切です。
地震への備え

いざという時の備えに!緊急速報メールとは?

- 緊急速報メールの概要緊急速報メールは、地震や津波、豪雨など、人々の生命や財産に危険を及ぼす可能性のある災害が発生した際に、迅速に情報を伝えるための重要な手段です。携帯電話会社は、気象庁や都道府県、市町村などの地方公共団体から発表される緊急の情報を受信すると、その情報が対象となる地域にいる人々の携帯電話に対して、一斉にメールで配信します。このメールは、携帯電話の電源が入っていて、電波を受信できる状態であれば、自動的に受信することができます。そのため、普段から緊急速報メールを受信できる設定にしておくことが重要です。緊急速報メールで配信される情報は、災害の種類や発生場所、規模、とるべき行動など、状況に応じて様々です。迅速かつ的確な情報提供により、人々は適切な判断を下し、避難などの安全確保行動をとることができます。緊急速報メールは、私たち自身の安全を守る上で大変重要な役割を担っています。日頃から、受信設定や内容の確認など、適切な利用を心がけましょう。
地震への備え

命を守る最後の砦!緊急安全確保とは?

近年、かつて経験したことのないような豪雨や巨大地震など、私たちの生活や安全を脅かす災害が頻繁に起こるようになってきました。こうした未曾有の災害発生時、私たちはどのように自分の身を守れば良いのでしょうか。従来の避難情報では、危険が迫ると、住民に対して安全な場所である避難所への移動を呼びかけることが一般的でした。しかし、状況によっては、屋外への避難が逆に危険となるケースも少なくありません。例えば、川の近くに住む住民が、洪水警報が出ているにもかかわらず、避難所へ行く途中で濁流に巻き込まれてしまうということも考えられます。そこで、近年注目されているのが「緊急安全確保」という考え方です。これは、時間的猶予がほとんどない切迫した状況下において、一人ひとりがとるべき、より安全な行動を指し示すものです。具体的には、自宅の2階や頑丈な建物の上階など、少しでも安全な場所に緊急的に移動することです。自宅が安全な場合は、無理に避難所へ向かわず、自宅にとどまることも「緊急安全確保」の一つです。「緊急安全確保」は、これまでの「危険が迫ったら避難所へ」という画一的な避難行動から、状況に応じてより柔軟で安全な行動を選択するという、新しい防災の考え方と言えるでしょう。
地震について

地震の揺れを10段階で知る!

地震が発生すると、テレビやラジオから「震度3の地震です」「震度5強の地震が発生しました」といった情報が流れてきます。この「震度」とは、一体どのようなものなのでしょうか?「震度」とは、ある地点における地震の揺れの強さを表す指標のことです。地震の規模そのものを表す「マグニチュード」とは異なるため、注意が必要です。日本では、気象庁が独自に定めた「気象庁震度階級」を用いて、地震の揺れの強さを10段階で評価しています。震度1は人が揺れを感じるか感じない程度の揺れ、震度7は立っていることが困難になるほどの非常に強い揺れとされています。また、震度5と震度6はそれぞれ「弱」「強」の2段階に分けられています。気象庁は、全国約400箇所に設置された地震計の観測データに基づいて震度を算出し、速やかに私たちに伝えています。地震の規模や発生場所、深さなどによって、同じ地震でも場所によって震度は異なります。震度は、地震による被害の程度を推定する重要な指標となるため、日頃から震度階級について理解を深めておくことが大切です。