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体外式肺補助:重症呼吸不全の最後の砦

- 体外式肺補助とは体外式肺補助(ECLA)は、病気や怪我などによって、自力で呼吸することが難しくなった場合に、肺の働きを一時的に代替する治療法です。私たちの体にとって、呼吸は生きていくために欠かせないものです。 息を吸うことで、肺の中に酸素が取り込まれ、血液によって体の隅々まで届けられます。 同時に、不要になった二酸化炭素は、息を吐くことで体外へ排出されます。 しかし、肺炎や事故などによって肺が正常に機能しなくなると、この呼吸によるガス交換がうまくいかなくなり、「呼吸不全」という状態に陥ります。 呼吸不全は、放置すると生命に関わる危険な状態です。このような場合に、肺の代わりに血液中の酸素と二酸化炭素を交換するのが、ECLAという治療法です。 ECLAでは、人工心肺装置と呼ばれる機械を用いて、血液を体外へ循環させます。 そして、人工肺によって血液中の二酸化炭素を取り除き、酸素を送り込みます。 こうすることで、肺が正常に機能していなくても、血液中の酸素濃度を保ち、体の各臓器へ酸素を供給することが可能になります。ECLAは、あくまで肺の機能を回復させるまでの間の補助的な役割を担うものです。 肺の機能が回復するまで、あるいは肺移植が可能になるまでの間、患者さんの命をつなぐための大切な治療法と言えるでしょう。
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緊急医療の切り札:経皮的心肺補助(PCPS)とは?

- 経皮的心肺補助(PCPS)の概要経皮的心肺補助(PCPS)は、心臓や肺が正常に機能しなくなり、生命の危機に瀕している患者さんの血液循環と呼吸を補助する治療法です。心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割、肺は血液中に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する役割を担っていますが、心筋梗塞や重症肺炎などが原因でこれらの臓器が機能不全に陥ると、血液循環が悪化し、全身の組織に酸素が行き渡らなくなります。このような状態を放置すると、臓器障害が進行し、死に至る可能性もあります。PCPSは、開胸手術を行うことなく、足の付け根や首などの血管からカテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、心臓と肺の働きを補助します。カテーテルは、体外に設置された人工心臓ポンプと人工肺に接続され、血液を体外循環させます。人工心臓ポンプは、心臓の代わりとなって血液を全身に送り出し、人工肺は、血液中の二酸化炭素を取り除き、酸素を供給します。PCPSは、従来の開胸手術を必要とする心肺補助と比較して、身体への負担が小さく、短時間で開始できるという利点があります。そのため、緊急性の高い心臓や肺の疾患の治療に広く用いられるようになっています。