
命の尊厳と医療の選択:DNARを考える
病院などで、心臓が止まってしまった人に対して、心臓を動かしたり、呼吸を助けたりする治療が行われます。これを心肺蘇生法と言い、多くの人がこの治療によって助かっています。しかし、すべての人にとって、この治療が最善の結果をもたらすとは限りません。特に、病気の最終段階や高齢などで、回復が難しいと考えられる場合は、治療によって命を長らえても、その人にとって苦しいだけの結果になることもあります。このような場合、その人の意思を尊重し、無理に治療を続けないという選択も大切になってきています。たとえば、延命治療を望まないという意思表示を事前に書面に残しておくことができます。また、家族と延命治療についてよく話し合っておくことも重要です。医療現場では、患者の命を救うことを最優先に考えますが、同時に、患者本人の意思を尊重し、その人らしい最期を迎えられるよう、最善の医療を提供することも求められています。