ALI

けが人へ医療

ARDS治療における肺保護戦略:肺への負担を軽減する

- はじめ呼吸をすることは、私たちにとってごく自然な行為であり、普段は意識することすらありません。しかし、肺に重い病気を抱えた時、その自然な行為は困難を極めるものとなります。 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、まさにそのような病の一つです。肺に激しい炎症が起こり、呼吸が苦しくなるだけでなく、血液中の酸素濃度が低下し、生命を脅かす危険性も高い病気です。ARDSの治療には、人工呼吸器を用いて肺を休ませ、呼吸を助けることが不可欠です。人工呼吸器は、患者さんの代わりに呼吸をサポートする重要な役割を担いますが、その設定や使い方によっては、逆に肺に負担をかけてしまい、症状を悪化させてしまう可能性もはらんでいます。そこで近年、注目されているのが「肺保護戦略」という考え方です。これは、人工呼吸器を使用する際に、肺への負担をできる限り減らし、肺自身の回復力を高めることを目的とした呼吸管理法です。具体的には、人工呼吸器の設定を細かく調整し、肺にかかる圧力や体積を適切に保つことで、肺への負担を軽減します。 また、患者さんの状態に合わせて体位を変えたり、薬物療法を併用するなど、様々な方法を組み合わせることで、より効果的な肺保護を目指します。
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命を脅かす危険な呼吸障害:急性肺傷害 (ALI) とは

- 急性肺傷害 (ALI) とは急性肺傷害 (ALI) は、肺に急激に炎症が起こり、呼吸が困難になる深刻な病気です。交通事故や大手術など、体に大きな負担がかかった後、12時間から48時間以内に症状が現れるのが特徴です。健康な肺は、たくさんの小さな空気の袋でできており、そこで血液中に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出しています。しかし、ALIになると、この空気の袋に水がたまり、炎症を起こしてしまいます。そのため、十分な酸素を血液に取り込めなくなり、息苦しさや呼吸困難といった症状が現れるのです。ALIの診断には、胸部X線写真で両方の肺に影が見られること、そして血液中の酸素濃度が著しく低下していることが重要となります。これは、肺の重要な機能である、血液中に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する働きが、ALIによって著しく阻害されているためです。ALIは命に関わる病気であり、早期の診断と適切な治療が重要となります。もし、体に大きな負担がかかった後、息苦しさや呼吸困難といった症状が現れた場合には、すぐに医療機関を受診してください。