骨折

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骨盤骨折の中でも特に危険な「マルゲーニュ骨折」とは?

- マルゲーニュ骨折の概要骨盤は、身体の中心に位置し、上半身と下半身を繋ぐ重要な役割を担っています。左右の寛骨と仙骨という骨から構成され、内臓を保護する役割も果たしています。この骨盤に強い力が加わることで、骨折が起こることがあります。骨盤骨折の中でも、特に重症なタイプの骨折の一つに、マルゲーニュ骨折があります。マルゲーニュ骨折は、骨盤の前方と後方の両方に骨折が生じるという特徴があります。具体的には、左右の恥骨を繋ぐ恥骨結合と、仙腸関節、そして腸骨に骨折が起こります。これらの骨折により骨盤の安定性が著しく損なわれ、骨盤が上下に大きくずれてしまうこともあります。このような複雑な骨折が起こる原因は、主に交通事故などの高エネルギー外傷です。自動車やバイクとの衝突、高所からの転落など、強い衝撃が骨盤に加わることで発生します。マルゲーニュ骨折は、19世紀のフランスの外科医であるマルゲーニュ氏によって初めて報告されました。彼の名は、この骨折の発見と研究に大きく貢献したことから、骨折の名称に冠されています。マルゲーニュ骨折は、骨盤骨折の中でも重症度が高く、適切な治療を行わなければ後遺症が残る可能性もあります。そのため、早期に専門医による診断と治療を受けることが重要です。
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骨折後の後遺症:フォルクマン拘縮

- フォルクマン拘縮とはフォルクマン拘縮は、骨折後に発症する可能性のある深刻な後遺症です。骨が折れた後、適切な処置が行われないと、筋肉や神経に重大なダメージを与えることがあります。その結果、手や指の機能に深刻な影響を及ぼす可能性があり、これがフォルクマン拘縮と呼ばれる状態です。特に、肘の関節付近の骨折、特に子供の腕の骨の一部である上腕骨顆上骨折の後によく見られます。この骨折は、子供の骨がまだ柔らかく、成長段階にあるため、損傷を受けやすい特徴があります。フォルクマン拘縮が発生すると、前腕にある筋肉や神経が損傷を受けます。その結果、指が変形したり、手指を自由に動かすことが困難になります。これは、日常生活において、物を掴んだり、書いたり、ボタンをかけたりといった、基本的な動作に支障をきたす可能性があります。フォルクマン拘縮は、早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。治療には、リハビリテーションや手術などが挙げられます。しかし、症状が進行してしまうと、完全に回復することが難しいケースもあります。
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高所からの落下に潜む危険

私たちは日常生活で「落ちる」という言葉をよく使いますが、実は「落ちる」にも様々なケースがあります。その中でも、「落下」と「転落」は似ているようで異なる現象です。この二つの違いを正しく理解することで、より適切な事故防止対策を立てることができます。「落下」とは、高い場所から物が重力によって自由落下していく現象を指します。例えば、木からリンゴが落ちる、ヘリコプターから荷物が落ちるといった状況が「落下」に当てはまります。この時、物体は空中で何も触れることなく、重力の影響だけで落下していきます。一方、「転落」は、階段や斜面など、何かに接触しながら落ちていく現象のことを指します。例えば、崖を滑り落ちていく、階段で足を踏み外して落ちてしまうといった状況が「転落」です。転落する場合、物体は地面や壁などにぶつかりながら落下するため、落下距離が同じであっても、落下に比べて衝撃が大きくなる傾向があります。このように、「落下」と「転落」は物体と他の物との接触の有無という点で明確に区別されます。この違いを意識することで、身の回りの危険をより深く認識し、事故や怪我の予防に役立てることができます。
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運動中の思わぬ危険!コンパートメント症候群とは?

私たちの体は、無数の筋肉によって支えられています。特に腕や脚には多くの筋肉が集まっており、複雑な動きを可能にしています。これらの筋肉は、ただ闇雲に配置されているわけではありません。それぞれの筋肉のグループは、骨や筋膜といった組織によって包み込まれ、まるで部屋のように区切られています。この筋肉を包む部屋のような区画のことを「コンパートメント」と呼びます。コンパートメントは、筋肉を保護する役割を担っています。外部からの衝撃を吸収し、筋肉へのダメージを軽減するクッションのような役割を果たします。また、筋肉が働く際に、その力を効率的に伝える役割も担っています。それぞれのコンパートメントの中には、筋肉以外にも、血管や神経が通っています。血管は筋肉に栄養や酸素を供給し、神経は脳からの指令を筋肉に伝達することで、スムーズな動きを可能にしています。このように、コンパートメントは、私たちの体が正常に機能するために重要な役割を担っています。