頭部外傷

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救命に繋がる?脳低温療法の可能性

- 脳低温療法とは脳低温療法とは、事故や病気などによって脳がダメージを受けた際に、その後の影響をできる限り抑え、脳の機能回復を助けるための治療法です。私たちの脳は、心臓が止まって血液の流れが止まると、酸素不足に陥り、短時間で大きな損傷を受けてしまいます。さらに、血液が再び流れ始めると、今度は活性酸素などが発生し、脳に炎症やむくみが引き起こされ、さらなるダメージを受けてしまいます。脳低温療法では、脳の温度を通常よりも低い32度から34度程度にまで下げることで、これらのダメージを抑えます。体温を下げることによって、脳の活動が抑制され、酸素の消費量が減少するため、損傷からの悪影響を軽減できると考えられています。脳低温療法は、心停止後の脳機能回復や、新生児の脳性麻痺のリスクを軽減する効果が期待されています。しかし、すべての患者さんに有効なわけではなく、合併症のリスクもゼロではありません。そのため、専門医による適切な診断と治療が必要となります。
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見えない衝撃:頭部外傷における対側損傷

私たちの脳は、硬い頭蓋骨に囲まれて守られています。まるで、大切な宝物を硬い箱に入れているように。しかし、強い衝撃が頭に加わると、この保護システムにも限界が生じます。頭部への強い衝撃は、交通事故や転倒、スポーツ中の事故など、様々な原因で起こりえます。このような衝撃を受けると、脳は頭蓋骨の内側に叩きつけられることがあります。また、たとえ頭蓋骨に損傷がない場合でも、急激な動きによって脳自体が損傷を受けることもあります。このような脳の損傷は、深刻な後遺症につながる可能性があります。意識障害や記憶障害、運動機能の低下など、その症状は多岐に渡ります。さらに、場合によっては、命に関わる重大な事態に陥ることもあります。日常生活において、頭部への衝撃は決して軽視できるものではありません。転倒のリスクが高い場所には注意を払い、スポーツ時には適切な保護具を着用するなど、日頃から予防を心がけることが重要です。
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意識清明期の重要性:頭部外傷を見逃さないために

- 頭部外傷と意識清明期頭部を強打するなどの外傷は、初期には軽い症状しか見られなくても、時間の経過とともに重篤な状態を引き起こす可能性があり、注意が必要です。 特に、頭蓋骨と脳の間に出血が生じる急性硬膜外血腫は、命を落とす危険性もあるため、迅速な対応が求められます。頭を強く打った直後、一時的に意識を失うことは珍しくありません。しかし、その後、一見すると回復したように見える期間が存在することがあります。 これが「意識清明期」と呼ばれるもので、急性硬膜外血腫の特徴的な症状の一つです。 この時期には、頭痛や吐き気、軽いめまいなどを感じることもありますが、多くの場合、周囲の人との会話も普通にでき、普段通りの様子を見せるため、周囲の人は安心してしまうことがあります。 しかし、意識清明期はあくまで一時的なもので、再び意識レベルが低下し、昏睡状態に陥ることがあります。 これは、脳内に出血した血液が徐々に溜まり、脳を圧迫することで神経機能に障害が生じるためです。 意識レベルの低下以外にも、麻痺や言語障害、瞳孔の異常など、さまざまな神経症状が現れることがあります。急性硬膜外血腫は、早期に発見し適切な処置を行えば、救命できる可能性が高い病気です。 頭部外傷後、たとえ一時的に意識が回復したように見えても、決して油断せず、医療機関を受診することが重要です。