重症度スコア

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多発外傷の重症度を評価する:外傷重症度スコアの解説

- 外傷重症度スコアとは外傷重症度スコア(ISS)は、交通事故や転落事故などによって、一箇所だけでなく身体の複数の部位に怪我を負った、いわゆる多発外傷の患者さんの状態を評価するための指標です。1974年にベイカーという医師たちによって考案され、その後もより正確に評価できるように改良が重ねられてきました。このスコアは、患者さんが負った怪我の重症度を数値化することで、医師が患者さん一人ひとりに最適な治療方針を決定するのに役立ちます。怪我の程度を客観的な数値で表すことができるため、医師間での情報共有や治療方針の決定がスムーズに行えるようになるというメリットもあります。ISSは、人体を頭部・頸部、顔面、胸部、腹部、四肢、体表の6つの部位に分け、それぞれの部位で最も重症な怪我に対して、1点(軽傷)から5点(致命傷)までの点数がつけられます。そして、最も点数が高い部位が2つ以上ある場合は、そのうち点数の高い上位2つの部位の点数をそれぞれ2乗して足し合わせることで、総合的な外傷重症度スコアを算出します。例えば、頭部に重症な怪我(5点)を負い、その他に腕の骨折(3点)などの怪我を負った場合、ISSは5の2乗と3の2乗を足した34点となります。ISSが15点以上の場合、重症多発外傷と判断され、救命救急センターでの集中的な治療が必要となります。ISSを用いることで、患者さんの予後、つまり将来的な回復の見込みを予測することも可能になります。スコアが高いほど、後遺症が残ったり、最悪の場合、亡くなってしまうリスクが高くなるということが統計的に示されています。このように、外傷重症度スコアは、多発外傷の患者さんの治療方針決定や予後予測に非常に役立つ重要な指標と言えます。
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外傷重症度スコア:救命の可能性を評価する

- 外傷重症度スコアとは事故や災害現場において、一刻を争う状況下では、限られた情報と時間で傷病者の重症度を正確に判断することが極めて重要です。そのために用いられるのが外傷重症度スコアと呼ばれる指標です。外傷重症度スコアは、意識レベル、呼吸状態、血圧、脈拍といったバイタルサインや、外傷の程度などを数値化し、総合的に評価することで、傷病者の状態を客観的に把握し、救命の可能性を予測します。このスコアによって、医療従事者は現場での治療方針の決定や、搬送先の医療機関の選定などを迅速かつ適切に行うことができます。従来、医療現場では医師の経験や勘に頼った判断が行われることも少なくありませんでした。しかし、外傷重症度スコアを導入することで、経験の浅い医師でも一定の基準に基づいた判断が可能となり、医療現場全体における治療の質の均一化が期待できます。さらに、集積されたスコアデータは、医療現場における研究や改善活動にも役立てられます。過去の症例データと比較分析することで、より効果的な治療法の開発や、医療体制の改善に繋げることが可能となります。このように、外傷重症度スコアは、多くの命を救うために重要な役割を果たしており、医療現場において欠かせない指標と言えるでしょう。