臨界事故

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知られざる脅威:臨界事故とその防止策

原子力発電所というと、どうしても発電所そのものの事故を想像しがちです。巨大な施設であるがゆえに、ひとたび事故が起きれば、その影響は計り知れません。多くの人が、原子力発電所の中での事故を心配するのは、当然のことでしょう。しかし、原子力に関わる重大な事故は、発電所の中だけで起こるわけではありません。発電所外部で発生しうる、「臨界事故」と呼ばれる恐ろしい事態をご存知でしょうか?臨界事故とは、原子炉以外の場所で、核燃料物質が、ある一定量以上の塊など特定の条件下におかれると、意図せずして核分裂の連鎖反応を引き起こしてしまう現象です。この連鎖反応は、原子炉内で行われている反応と同様のものです。原子炉内では、この反応を制御しながらエネルギーを取り出していますが、原子炉以外の場所で発生した場合、制御ができません。臨界事故が発生すると、大量の放射線や熱が発生し、作業員や周辺住民に深刻な健康被害をもたらす可能性があります。過去には、核燃料の処理施設や研究施設などで、この臨界事故が発生し、尊い命が失われるという痛ましい事故も起きています。原子力発電所の事故はもちろんのこと、この臨界事故のように、私たちの身の回りには、目には見えない危険が存在することを忘れてはなりません。
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原子力災害の脅威:中性子線の危険性

私たちの身の回りに存在するありとあらゆる物は、物質と呼ばれています。机や椅子、空気や水も物質です。そして、これらの物質は、原子と呼ばれる非常に小さな粒から構成されています。原子は物質の性質を決める基本的な単位であり、私たちの目には見えませんが、物質を構成する重要な要素です。原子は中心に原子核という小さな核を持っており、その周りをさらに小さな粒子が回っています。原子核は原子全体の大きさに比べて非常に小さいですが、原子の質量の大部分を占めています。この原子核は、陽子と中性子と呼ばれる二種類の粒子から構成されています。中性子は電気を帯びていない粒子であり、陽子とともに原子核の質量の大部分を占めています。中性子は原子核の中で陽子と結合し、原子核を安定に保つ役割を担っています。原子核内の中性子の数は、原子の種類によって異なり、同じ種類の原子でも中性子の数が異なる場合があります。これを同位体と呼びます。