
命を脅かす危険な圧迫:腹部コンパートメント症候群とは
お腹の中は、重要な臓器が数多く詰まった身体の大切な空間です。通常、この空間内は一定の圧力で保たれていますが、何らかの原因で圧力が異常に高まってしまうと、「腹部コンパートメント症候群」と呼ばれる危険な状態に陥ることがあります。腹部コンパートメント症候群は、交通事故による強い衝撃や、お腹の中で起こる出血、あるいは激しい炎症などがきっかけで発生します。これらの原因によってお腹の中の圧力、つまり腹腔内圧が急激に上昇し、血管や臓器を圧迫してしまうのです。圧迫された血管は血液をうまく送り出すことができなくなり、酸素や栄養が全身に行き渡らなくなります。その結果、呼吸が苦しくなったり、血圧が低下したり、さらには腎臓などの臓器が正常に機能しなくなるなど、生命の危機に直結する重篤な症状を引き起こします。腹部コンパートメント症候群は、早期発見と迅速な治療が極めて重要となる病気です。