
腹部外傷の診断に役立つ診断的腹腔洗浄
- 診断的腹腔洗浄とは?診断的腹腔洗浄は、事故などで腹部を強く打ったり、腹部を刃物で刺されたりするなど、腹部外傷を受けた患者さんを診察する際に、緊急手術が必要かどうかを判断するための検査方法です。お腹の中に血液や胃や腸の内容物などが漏れていないかを調べます。この検査は、大きく分けて二つの方法があります。一つは、お腹を小さく切開してカテーテルと呼ばれる細い管を腹腔内に挿入する方法です。もう一つは、お腹に針を刺してカテーテルを挿入する方法です。どちらの方法でも、カテーテルを通して温めた生理食塩水を腹腔内に注入します。そして、しばらく時間を置いた後、その液体を回収します。回収した液体の色や性状を調べます。もし、回収した液体に血液や胃や腸の内容物が混ざっていた場合、肝臓や脾臓などの腹部臓器の損傷が疑われ、緊急手術が必要となる可能性が高くなります。診断的腹腔洗浄は、腹部外傷の患者さんにとって重要な検査の一つですが、近年では、CT検査など他の検査方法の発達により、診断的腹腔洗浄が行われる頻度は減少傾向にあります。