脳幹障害

けが人へ医療

脳死判定と人形の目現象

- 人形の目現象とは「人形の目現象」とは、意識がない状態の人に頭を素早く動かした際、本来であれば頭と一緒に動くはずの眼球が、反対方向に動いてしまう現象を指します。通常、意識がはっきりしている状態であれば、頭を左右に動かしても、視線を一点に固定するために眼球は頭と同じ方向に動きます。しかし、意識がない状態では、この眼球運動の調整機能がうまく働かなくなるため、頭を動かした方向とは逆の方向に眼球が動いてしまうのです。まるで、人形の顔を傾けると目が反対側に残るように見えることから、「人形の目現象」と名付けられました。この現象は、主に脳幹の機能低下を示唆していると考えられています。脳幹は、呼吸や循環など生命維持に不可欠な機能を司っており、意識レベルの調整にも深く関わっています。そのため、人形の目現象が見られる場合、脳幹が何らかの影響を受けている可能性が考えられます。ただし、人形の目現象が見られたとしても、必ずしも重篤な状態であるとは限りません。深い睡眠中や、意識障害の程度が軽い場合は、健康な人でもこの現象が見られることがあります。また、アルコールや睡眠薬などの影響下でも、同様の現象が起こることがあります。人形の目現象が見られた場合は、他の症状や状況も考慮しながら、総合的に判断する必要があります。