胸部外傷

けが人へ医療

命に関わる胸部外傷:フレイルチェストとは?

- フレイルチェストとはフレイルチェストは、胸部に強い衝撃が加わることで起こる、命に関わる可能性のある重症な胸の怪我です。交通事故や高いところからの落下など、胸に大きな力が加わることで肋骨が複数箇所で折れ、胸郭の一部が不安定になることで起こります。この不安定になった部分をフレイルセグメントと呼びます。フレイルセグメントは、呼吸をするたびに異常な動きを見せるのが特徴です。息を吸うと、本来は胸郭が広がりますが、フレイルセグメントは逆にへこんでしまいます。そして、息を吐くと、今度は膨らみます。これはつまり、損傷を受けた胸郭が肺の動きにうまくついていけず、正常な呼吸運動ができなくなっている状態なのです。フレイルチェストになると、激しい痛みで深く呼吸することが難しくなり、呼吸困難に陥ります。さらに、肺が十分に膨らまないため、血液中の酸素濃度が低下し、生命の危険にさらされることもあります。適切な処置を行わないと、肺炎などの合併症を引き起こす可能性も高まります。そのため、フレイルチェストは早期の診断と治療が極めて重要となるのです。
けが人へ医療

交通事故の危険!ハンドル外傷とは?

自動車の衝突事故は、時に体に大きな傷を負わせてしまうことがあります。その中でも「ハンドル外傷」は、運転する人にとって特に注意が必要な怪我の一つです。ハンドル外傷とは、交通事故の瞬間、ハンドルが胸やみぞおち辺りにぶつかることで起こる怪我の総称です。胸やお腹の表面には傷が見えなくても、体内では重い損傷を受けている可能性があり、注意が必要です。ハンドル外傷で起こる可能性のある怪我としては、肋骨骨折、肺の損傷、心臓の損傷、肝臓や脾臓などの内臓損傷などがあります。これらの怪我は、初期には自覚症状が乏しい場合もあり、放置すると命に関わる危険性もあります。交通事故に遭い、胸やみぞおち辺りに痛みや違和感がある場合、またはハンドルが体に強く当たった自覚がある場合は、たとえ軽い事故であっても、速やかに医療機関を受診することが大切です。交通事故はいつどこで起こるかわかりません。日頃から安全運転を心がけ、事故を起こさないようにすることが最も重要です。また、万が一事故に遭ってしまった場合に備え、自分が加入している自動車保険の内容を確認しておくことも大切です。特に、人身傷害保険や搭乗者傷害保険は、ハンドル外傷のような怪我の治療費や入院費などを補償してくれるため、必ず加入しておきましょう。
けが人へ医療

緊急事態!縦隔偏位とその影響

私たちの胸の中央には、肋骨、胸骨、そして背骨の一部である胸椎によって守られた空間である胸郭が存在します。この胸郭の中には、生命維持に欠かせない心臓や肺などの重要な臓器が収められています。心臓と肺に挟まれた、胸郭の中央部分を縦隔と呼びます。縦隔には、心臓と肺以外にも、大動脈や肺動脈といった太い血管、気管や気管支といった空気の通り道、食道、リンパ節など、多くの重要な器官が存在しています。通常、左右の肺はほぼ同じ大きさで、縦隔を挟んで左右対称に位置しています。このバランスによって、縦隔は胸郭の中央に安定して存在することができます。しかし、肺や胸膜(肺を包む膜)に病気があると、このバランスが崩れ、縦隔が本来の位置からずれてしまうことがあります。この状態を縦隔偏位と呼びます。縦隔偏位を引き起こす病気には、気胸(肺に穴が開いて空気が漏れる病気)、胸水(胸の中に水が溜まる病気)、肺炎、肺がん、 pneumothorax などがあります。縦隔が大きく偏位すると、心臓や大血管、気管などが圧迫され、呼吸困難や血圧低下などの症状が現れることがあります。縦隔偏位は、胸部レントゲン写真やCT検査で確認することができます。