肺炎

けが人へ医療

腹臥位呼吸療法:急性呼吸不全の切り札

- 腹臥位呼吸療法とは腹臥位呼吸療法とは、呼吸がうまくできなくなった患者さん、特に急性呼吸不全の状態にある患者さんに対して行われる治療法の一つです。この治療法は、患者さんをうつ伏せの状態、つまりお腹を下にした姿勢にすることからその名前が付けられています。患者さんをうつ伏せにすると、一体どのような効果があるのでしょうか。私たちが呼吸をする時、肺は空気を取り込み、酸素を身体に取り込んでいます。しかし、肺炎や肺水腫など、肺の病気が悪化すると、肺はうまく膨らむことができなくなり、十分な酸素を取り込めなくなります。特に、肺の背中側がダメージを受けやすく、重症化すると、仰向けの状態では、心臓や他の臓器の重みで肺が圧迫され、さらに呼吸が苦しくなってしまうのです。そこで、腹臥位呼吸療法の出番です。患者さんをうつ伏せにすることで、背中側の肺にかかる圧迫を減らし、肺が膨らみやすくなるため、酸素を取り込みやすくすることが期待できます。この治療法は、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)など、肺の背中側に病変が集中する「背側肺障害」と呼ばれる状態に特に効果を発揮すると言われています。人工呼吸器を装着した患者さんに行われる治療法ですが、患者さんの状態や病気の種類によって、腹臥位呼吸療法が適しているかどうかは異なってきます。
感染症から守る

誤嚥性肺炎を予防しよう!

- 誤嚥性肺炎とは?誤嚥性肺炎は、食べ物や飲み物、胃液、吐瀉物などが、本来通るべき食道ではなく、誤って気管や肺に入ってしまうことで発症する肺炎です。 通常、私たちは食べ物を口にすると、それが食道を通って胃に運ばれます。しかし、加齢や病気などによって飲み込む機能が低下すると、食べ物が誤って気管に入ってしまうことがあります。これが「誤嚥」です。特に注意が必要なのは胃液です。胃液には食べ物を消化するための強い酸が含まれており、少量でも肺に入ると激しい炎症を引き起こし、重症化する可能性があります。 就寝中に胃液が逆流して肺に入り、誤嚥性肺炎を引き起こすケースを特に「メンデルソン症候群」と呼びます。手術を受ける際、全身麻酔の前に絶食が指示されるのは、この誤嚥性肺炎のリスクを減らすためです。麻酔の影響で胃の内容物が逆流しやすくなるため、胃の中に食べ物が残っていると誤嚥性肺炎を起こす可能性が高まります。そのため、手術前は絶食によって胃の中を空にしておく必要があるのです。