
命を守る最後の砦!緊急安全確保とは?
近年、かつて経験したことのないような豪雨や巨大地震など、私たちの生活や安全を脅かす災害が頻繁に起こるようになってきました。こうした未曾有の災害発生時、私たちはどのように自分の身を守れば良いのでしょうか。従来の避難情報では、危険が迫ると、住民に対して安全な場所である避難所への移動を呼びかけることが一般的でした。しかし、状況によっては、屋外への避難が逆に危険となるケースも少なくありません。例えば、川の近くに住む住民が、洪水警報が出ているにもかかわらず、避難所へ行く途中で濁流に巻き込まれてしまうということも考えられます。そこで、近年注目されているのが「緊急安全確保」という考え方です。これは、時間的猶予がほとんどない切迫した状況下において、一人ひとりがとるべき、より安全な行動を指し示すものです。具体的には、自宅の2階や頑丈な建物の上階など、少しでも安全な場所に緊急的に移動することです。自宅が安全な場合は、無理に避難所へ向かわず、自宅にとどまることも「緊急安全確保」の一つです。「緊急安全確保」は、これまでの「危険が迫ったら避難所へ」という画一的な避難行動から、状況に応じてより柔軟で安全な行動を選択するという、新しい防災の考え方と言えるでしょう。