生理学

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酸素運搬のカギ!ボーア効果とは?

私たちは、生命を維持するために、常に呼吸をしています。呼吸とは、空気中の酸素を取り込み、体内で不要となった二酸化炭素を排出する、生きる上で欠かせない行為です。呼吸によって取り込まれた酸素は、血液によって体中の細胞へと運ばれます。この時、重要な役割を担っているのが、赤血球に含まれる「ヘモグロビン」という物質です。ヘモグロビンは、酸素と結びつきやすい性質を持っており、肺で酸素を取り込み、体中を巡りながら、必要な組織や細胞まで酸素を運び届けるという、大変重要な働きをしています。ヘモグロビンは、酸素が多く存在する場所では酸素と結びつきやすく、酸素が少ない場所では酸素を離しやすくなるという性質も持っています。この性質のおかげで、肺で効率よく酸素を取り込み、体の隅々まで酸素を届けることができるのです。そして、細胞に酸素を届けたヘモグロビンは、今度は細胞から二酸化炭素を受け取り、肺まで運んでいきます。このように、呼吸と酸素運搬は密接に関係しており、私たちの生命維持に欠かせないメカニズムと言えます。
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心臓のポンプ機能と前負荷の関係

私たちの体にとって欠かせない臓器である心臓は、全身に血液を送る重要な役割を担っています。心臓は休むことなく拡張と収縮を繰り返し、血液を循環させています。この心臓の働きにおいて、どれだけの負荷がかかっているのかを示す指標のひとつに「前負荷」があります。心臓が血液を全身に送り出すためには、まず心臓自身に血液を取り込む必要があります。心臓は、まるでポンプのように拡張することで、体中から戻ってきた血液を心室と呼ばれる部屋に受け入れます。この時、心室内の血液量が多いほど、心臓の筋肉はより強く収縮する必要があります。想像してみてください。小さな風船よりも、大きな風船を膨らませるには、より多くの空気と力が必要になりますよね。これと同じように、心室内の血液量が多いほど、心臓はより大きな力で収縮しなければなりません。この、心臓が拡張している時に、心室内の血液量によって心臓にかかる負荷のことを「前負荷」と呼びます。前負荷は、心臓が効率的に血液を送り出すために重要な要素の一つです。
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健康を支える隠れた力:膠質浸透圧

私たちの体は、成人であれば約60%が水分で構成されており、この水分のバランスを保つことは、健康を維持するために非常に重要です。体の水分は、細胞の内側と外側に分かれて存在し、栄養素や酸素を体の隅々まで届けたり、老廃物を運び出したりと、重要な役割を担っています。この水分のバランスを調整する要素の一つに、「膠質浸透圧」があります。膠質浸透圧とは、血液中に含まれるタンパク質、特にアルブミンと呼ばれる物質によって生じる圧力のことを指します。アルブミンは、水を引き寄せる性質を持っているため、血管内の水分量を維持する力、つまり、水分を血管内に引き寄せる力として働きます。もし、体内のアルブミン量が低下してしまうと、膠質浸透圧も低下し、血管内に水分を保持することが難しくなります。その結果、血管から水分が漏れ出てしまい、むくみが生じたり、肺に水が溜まったりするなど、様々な健康上の問題を引き起こす可能性があります。膠質浸透圧は、私たちの体の水分バランスを維持する上で非常に重要な役割を担っており、健康を保つためには、適切な膠質浸透圧を維持することが不可欠です。
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脳を守る関所:血液脳関門

- 重要な脳への入り口私たちの体は、栄養や酸素を運ぶ血液によって支えられています。血液は全身を巡り、細胞に必要な物質を届けると同時に、不要なものを回収しています。しかし、脳は他の臓器とは異なり、特別な保護機構によって守られています。それが血液脳関門です。血液脳関門は、脳内の血管と、その周囲を取り囲むグリア細胞と呼ばれる細胞によって形成されています。この関門は、物質の脳内への通過を厳しく制限する役割を担っています。なぜ、脳はこれほどまでに厳重に守られているのでしょうか?それは、脳が私たちの思考、感情、記憶、運動など、生命活動の根幹を担う非常に重要な器官だからです。もしも、有害物質が簡単に脳内へ侵入してしまうと、脳の機能に重大な障害を引き起こす可能性があります。血液脳関門は、栄養素や酸素など、脳に必要な物質は通過させる一方、細菌やウイルス、有害物質などはブロックします。この働きによって、私たちの脳は常に安定した環境に保たれ、正常な機能を維持することができるのです。しかし、血液脳関門は、一部の薬剤の通過も阻害してしまうため、脳神経系疾患の治療においては課題となっています。現在、血液脳関門を突破して薬剤を脳へ届けるための新たな技術開発が進められています。
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知っておきたい体の指標:換気血流比

私たちは、息を吸うことで酸素を体内に取り込み、息を吐くことで二酸化炭素を体外に出しています。体内に取り込まれた酸素は、血液によって体の隅々まで運ばれます。この酸素を運ぶ血液の流れと、肺で行われる空気の循環(換気)のバランスを示す指標が「換気血流比」です。換気血流比は、肺のガス交換効率を理解する上で非常に重要です。肺の一部において、空気は十分に供給されているにもかかわらず、血液の流れが悪い状態を「死腔様換気」と呼びます。逆に、血液は十分に流れているにもかかわらず、空気の供給が少ない状態を「肺内シャント」と呼びます。換気血流比が適切に保たれている状態では、肺胞で効率的にガス交換が行われ、体内の酸素と二酸化炭素のバランスが保たれます。しかし、病気や環境などの影響で換気血流比が乱れると、息切れや動悸、最悪の場合には意識障害などを引き起こす可能性があります。健康な状態を保つためには、バランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠など、健康的な生活習慣を心がけることが大切です。