
崩壊熱とは? – 放射線と熱の関係 –
- 崩壊熱の発生源原子力発電所などで電気を作り出すために使われるウランやプルトニウムといった物質は、核分裂と呼ばれる反応を起こすことで、莫大なエネルギーを生み出します。この核分裂の過程で、熱と光に加えて、元の物質とは異なる新たな放射性物質が生み出されます。これは核分裂生成物と呼ばれます。この核分裂生成物は不安定な状態にあり、より安定した状態になろうとして、放射線を放出しながら別の原子核へと変化していきます。この現象を放射性崩壊と呼びます。放射性崩壊の過程では、不安定な原子核が安定した状態になるために、余分なエネルギーを放出します。このエネルギーが熱エネルギーとして放出されるものが崩壊熱です。崩壊熱は、核分裂反応が停止した後も、核分裂生成物が存在する限り発生し続けます。発生する熱量は時間とともに減衰していきますが、完全にゼロになるまでには非常に長い時間がかかります。そのため、原子力発電所では、運転停止後も長期間にわたって崩壊熱の除去を行う必要があります。崩壊熱の除去が適切に行われない場合、燃料の溶融や、深刻な事故につながる可能性もあるため、重要な課題となっています。