
春の訪れを告げる温暖前線
私たちが毎日経験する天気は、晴れの日、雨の日、曇りの日など、実に様々です。時には、一日のうちでも晴れから雨へと、目まぐるしく天気が変わることもあります。この変化の要因の一つに「前線」があります。前線とは、地表付近で性質の異なる二つの空気の塊が接する境界線のことです。空気の塊は「気団」と呼ばれ、例えば、暖かく湿った空気の塊を「暖気団」、冷たく乾燥した空気の塊を「寒気団」と呼びます。日本付近では、南から暖かく湿った暖気団が、北からは冷たく乾燥した寒気団が流れ込み、せめぎ合っています。この二つの気団の境界線である前線が日本列島を通過する際に、気温や風向き、湿度などが大きく変化します。例えば、暖気が寒気の下に潜り込むように進むと、温暖前線と呼ばれる前線ができ、ゆっくりと天気が崩れ始めます。反対に、寒気が暖気を押し上げるように進むと、寒冷前線と呼ばれる前線ができ、短時間に激しい雨や雷を伴うことがあります。このように、前線の通過は、雨や雪、雷など、様々な天気の変化をもたらすため、天気予報で前線の位置や動きを知ることは、日々の生活に役立ちます。