気胸

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人工呼吸器使用中のリスク、圧外傷とは?

- 圧外傷の概要圧外傷とは、私たちの体の外側と内側の圧力の差が原因で起こる怪我のことをいいます。 普段はあまり意識しませんが、私たちの体は常に大気の圧力に囲まれています。そして、飛行機に乗ったり、ダイビングをしたりするなど、急激に周りの気圧が変わると、体の内側と外側の圧力のバランスが崩れ、体に負担がかかります。 このような圧力の変化によって引き起こされる怪我こそが、圧外傷なのです。圧外傷で最も身近な例として挙げられるのが、飛行機の離着陸時や、高い山に登った際に感じる耳の痛みや閉塞感です。これは、急激な気圧の変化に耳の中の圧力が追いつかず、鼓膜が内側か外側に引っ張られることで起こります。 また、ダイビング中に深く潜りすぎたり、急に浮上したりすると、耳抜きがうまくいかずに同様の症状が現れることがあります。さらに、鼻の奥が痛くなるのも圧外傷の症状の一つです。 圧外傷は、軽度の場合は自然に治ることが多いですが、症状が重い場合は、鼓膜の損傷や内耳の障害、さらには潜水病などの重篤な病気につながる可能性もあります。そのため、圧外傷を予防するためには、飛行機の離着陸時やダイビング中にはこまめな耳抜きや鼻抜きを行い、体の内側と外側の圧力を調整することが重要です。
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緊急事態!縦隔偏位とその影響

私たちの胸の中央には、肋骨、胸骨、そして背骨の一部である胸椎によって守られた空間である胸郭が存在します。この胸郭の中には、生命維持に欠かせない心臓や肺などの重要な臓器が収められています。心臓と肺に挟まれた、胸郭の中央部分を縦隔と呼びます。縦隔には、心臓と肺以外にも、大動脈や肺動脈といった太い血管、気管や気管支といった空気の通り道、食道、リンパ節など、多くの重要な器官が存在しています。通常、左右の肺はほぼ同じ大きさで、縦隔を挟んで左右対称に位置しています。このバランスによって、縦隔は胸郭の中央に安定して存在することができます。しかし、肺や胸膜(肺を包む膜)に病気があると、このバランスが崩れ、縦隔が本来の位置からずれてしまうことがあります。この状態を縦隔偏位と呼びます。縦隔偏位を引き起こす病気には、気胸(肺に穴が開いて空気が漏れる病気)、胸水(胸の中に水が溜まる病気)、肺炎、肺がん、 pneumothorax などがあります。縦隔が大きく偏位すると、心臓や大血管、気管などが圧迫され、呼吸困難や血圧低下などの症状が現れることがあります。縦隔偏位は、胸部レントゲン写真やCT検査で確認することができます。
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命を脅かす緊張性気胸:緊急時の対応とは

- 緊張性気胸とは緊張性気胸は、肺を包んでいる胸腔と呼ばれる空間に空気が入り込み、肺が圧迫されて縮んでしまう気胸の一種です。 一般的な気胸では、胸腔内に漏れ出た空気は自然に吸収されていきます。しかし、緊張性気胸の場合、何らかの原因で胸腔内に漏れ出た空気が、息を吸っても吐いても外に出られず、胸腔内に溜まり続けてしまいます。その結果、胸腔内の圧力(胸腔内圧)が異常に高くなり、縮んだ肺はますます圧迫されます。さらに、心臓や血管も圧迫され、血液の循環が悪くなってしまいます。その結果、血圧が低下し、意識がもうろうとしたり、ショック状態に陥ったりする危険性があります。緊張性気胸は命に関わる危険な状態であり、一刻を争う迅速な対応が求められます。
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胸部外傷で見逃せない!気胸、血胸、血気胸とは?

私たちの肺は、胸膜という薄い膜で包まれています。肺と胸膜の間には、わずかな液体で満たされた胸膜腔という空間があります。胸部に強い衝撃を受けると、この胸膜腔で異常が起こることがあります。主な病態として、気胸、血胸、血気胸の3つが挙げられます。気胸は、胸膜腔に空気が入り込むことで肺が圧迫される状態です。息苦しさや胸の痛みを感じ、呼吸が浅く速くなることがあります。重症化すると、顔色が悪くなったり、意識がもうろうとしたりする危険性もあります。血胸は、胸膜腔に出血が起こり、肺が圧迫される状態です。出血量が多いと、酸素を十分に取り込めなくなり、ショック状態に陥ることもあります。血気胸は、気胸と血胸が同時に起こる状態です。空気が入る原因としては、肺を損傷するような外傷が考えられます。呼吸困難や胸の痛み、血圧低下など、気胸と血胸の両方の症状が現れます。いずれの病態も命に関わる危険性があるため、迅速な処置が必要です。特に、交通事故や高所からの落下など、胸部に強い衝撃を受けた場合は、これらの病態を疑い、速やかに医療機関を受診することが重要です。
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命に関わる危険な気胸: 開放性気胸とは?

- 開放性気胸とは開放性気胸は、胸部に開いた傷口から空気が胸腔(肺の周りにある空間)に直接入り込むことで、肺が圧迫され収縮してしまう状態を指します。通常、私達の肺は胸腔内の陰圧と呼ばれる、肺の外側からの圧力によって膨らんだ状態を保っています。しかし、交通事故や転倒、刺傷などによって胸部に開いた傷口から空気が入り込むと、この陰圧が失われてしまいます。その結果、肺は自ら膨らむことができなくなり、息苦しさや胸の痛みといった症状が現れます。開放性気胸は、傷口が大きいほど、また、空気が入り込む量が多いほど重症化する傾向があります。 場合によっては、傷口から胸の中で音がする、呼吸困難に陥る、顔色が悪くなるなどの症状が出ることもあります。このような症状が現れた場合は、直ちに医療機関に連絡し、指示を仰ぐ必要があります。