敗血症

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生命の守護者: プロテアーゼインヒビターの役割

私たちの体は、まるで外界からの侵略者から身を守る城のように、様々な防御機構を備えています。その中でも、プロテアーゼと呼ばれる酵素は、城を守る勇敢な兵士のような役割を担っています。プロテアーゼは、タンパク質を分解するという重要な能力を持っています。私たちの体はタンパク質でできていますが、不要になったタンパク質や、外部から侵入した有害なタンパク質(ウイルスなど)をそのままにしておくわけにはいきません。そこで、プロテアーゼが活躍します。プロテアーゼは、不要になったタンパク質を分解して、体にとって必要な物質に変えたり、有害なタンパク質を分解して無毒化したりします。まるで、城内に侵入した敵を捕らえて、無力化する兵士のようです。さらに、プロテアーゼは、免疫反応の調節にも関わっています。免疫システムは、体を守るための重要なシステムですが、過剰に働くと体に悪影響を及ぼすことがあります。プロテアーゼは、免疫システムの働きを調整することで、私たちの体が適切に守られるように働いているのです。このように、プロテアーゼは、目立たないながらも、私たちの体を守るために非常に重要な役割を担っています。健康な毎日を送るためには、プロテアーゼの働きに感謝し、その働きを助ける食生活や生活習慣を心がけることが大切です。
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命を守る!敗血症性ショックの早期発見と対応

- 静かなる脅威敗血症性ショックとは敗血症性ショックは、細菌などの微生物が血液中に入り込み、全身に炎症を引き起こす敗血症の中でも、特に重症化した状態です。体内に侵入した細菌やウイルスなどの微生物と戦うために、私たちの体は様々な防御反応を起こします。しかし、この反応が過剰に起こってしまうと、炎症を引き起こす物質が血液中に大量に放出されてしまいます。これらの物質は、血管を拡げてしまうため、血圧の低下を引き起こします。点滴などによって水分を補給しても、血管が拡がった状態が続くため、血圧は上がりにくくなります。敗血症性ショックでは、心臓や肺、腎臓などの重要な臓器に十分な血液が行き渡らなくなります。その結果、臓器の機能が低下し、最悪の場合、死に至ることもあります。敗血症性ショックは、初期段階では、脈が速くなる、呼吸が速くなる、熱が出る、または体温が低下する、尿の量が減るなどの症状が現れます。さらに症状が進むと、意識がもうろうとしたり、血圧が急激に低下したりします。敗血症性ショックは、早期に発見し、適切な治療を行えば、救命できる可能性があります。少しでも異常を感じたら、ためらわずに医療機関を受診しましょう。
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知っておきたい腸の健康と免疫の関係

私たちの腸の中には、数百種類、数十兆個もの腸内細菌が住んでいて、健康を保つために大切な役割をしています。ふだん、これらの細菌は腸の中にとどまり、食べ物の消化や吸収を助けたり、免疫の力を調整したりしています。しかし、特定の状況下では、これらの腸内細菌が腸の壁を破って、体の別の場所に移動することがあります。これが「バクテリアルトランスロケーション」と呼ばれる現象です。バクテリアルトランスロケーションが起こると、細菌やその毒素が血液の中に入り込み、全身に炎症を引き起こす可能性があります。これは、免疫力が低下している人にとっては特に危険で、敗血症や複数の臓器が機能しなくなるなどの重い状態を引き起こす可能性があります。例えば、手術や病気、栄養不足などが原因で体力が弱っているときや、ストレスを感じているときなどは、腸内細菌のバランスが崩れやすく、バクテリアルトランスロケーションのリスクが高まります。健康な状態を保ち、腸内環境を整えておくことは、バクテリアルトランスロケーションを防ぐ上で重要です。バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動を心がけ、免疫力を高めるようにしましょう。
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緊急事態:播種性血管内凝固症候群とは?

- 命に関わる病気播種性血管内凝固症候群(DIC)播種性血管内凝固症候群(DIC)は、血液の凝固異常が原因で起こる、命に関わる危険性の高い病気です。 DICは、本来であれば出血を止めるために働く血液凝固システムが、過剰に反応してしまうことで発症します。私たちの体内では、出血が起こると、それを止めるために血液を固める仕組みが備わっています。この仕組みが、DICでは異常をきたし、血管の中で小さな血のかたまり(血栓)が無数にできてしまうのです。その結果、血液の流れが滞り、様々な臓器に障害をもたらします。さらに恐ろしいことに、DICでは血栓を作ることだけに血液凝固因子が消費されてしまい、肝臓で新たな血液凝固因子が作られるよりも消費される量の方が多くなってしまい、今度は逆に、出血しやすくなってしまうのです。DICは、それ自体が独立した病気ではなく、がんなどの重い病気、敗血症、大量出血、重症のけがなどが引き金となって発症することが多くみられます。 DICは早期発見・早期治療が重要となる病気です。DICは命に関わる危険性が高いため、気になる症状がある場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。
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命を守る!知っておきたい敗血症の基礎知識

- 静かなる脅威敗血症とは敗血症は、体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原体に対する過剰な免疫反応によって、全身に炎症が広がる深刻な病気です。肺炎や尿路感染症などの感染症が引き金となって発症することが多く、決して珍しい病気ではありません。風邪や軽い怪我など、普段の生活で誰もが経験するようなありふれた状況がきっかけで発症する可能性もあるため、決して他人事ではありません。敗血症の初期症状は、発熱や悪寒、だるさ、息切れ、心拍数の増加など、他の病気と非常に似ており、見分けることが難しいケースも多いです。そのため、風邪かな、疲れかなと軽く考えてしまいがちですが、適切な治療をせずに放置すると、臓器不全やショック状態に陥り、命に関わる危険性があります。敗血症を予防するためには、日頃から手洗いとうがいを徹底し、感染症にかからないように注意することが大切です。また、糖尿病やがんなどの基礎疾患がある場合は、免疫力が低下しやすいため、より一層注意が必要です。少しでも敗血症の可能性が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしてください。早期発見と迅速な治療が、敗血症の克服には非常に重要となります。
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全身性炎症反応症候群:SIRSとは?

- 全身性炎症反応症候群とは全身性炎症反応症候群(SIRS)は、私たちの体が病気や怪我などの様々な刺激を受けた際に、その刺激から体を守ろうとする免疫システムが過剰に反応してしまうことで起こる、命に関わる可能性のある深刻な状態です。 細菌やウイルスなどの病原体が体内に侵入して起こる感染症だけでなく、火傷や怪我、手術など、感染を伴わない場合でも発症する可能性があります。本来であれば、免疫システムは体にとって有害な病原体や異物を排除し、傷ついた組織を修復するために働く重要な働きをしています。しかし、SIRSでは、この免疫反応が過剰に起こってしまうことで、健康な組織や臓器にもダメージを与えてしまうのです。SIRSは初期の段階では、発熱や心拍数の増加、呼吸数の増加、白血球数の増加といった症状が現れます。これらの症状は風邪などの一般的な病気でも見られるため、SIRSだと気づかれない場合もあります。しかし、SIRSは放置すると、敗血症性ショックや多臓器不全といったより深刻な状態に進行し、命に関わる危険性も高まります。そのため、SIRSを早期に発見し、適切な治療を開始することが非常に重要となります。
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緊急事態における循環亢進:敗血症ショックへの理解

- 循環動態の基礎私たちは、心臓が絶えず血液を送り出すことで、生きていくために必要な酸素や栄養を体の隅々まで届けています。この血液循環の仕組み全体を循環動態と呼び、私たちの生命維持に欠かせないものです。循環動態を理解する上で重要な指標となるのが、心臓が1分間にどれだけの血液を送り出すかを示す「心拍出量」と、血管の縮み具合を表す「末梢血管抵抗」です。心臓が力強く収縮すると、一度に多くの血液を送り出すことができます。このため、心拍出量は増加します。一方、血管が収縮すると血液が流れにくくなるため、末梢血管抵抗は高くなります。逆に、血管が広がると血液は流れやすくなるため、末梢血管抵抗は低くなります。このように、心拍出量と末梢血管抵抗は、お互いに影響し合いながら循環動態を調節しています。このバランスが崩れると、血圧が変動したり、臓器への血液供給が滞ったりするなど、様々な体の不調につながる可能性があります。
その他

敗血症治療における強化インスリン療法:メリットと課題

- 強化インスリン療法とは強化インスリン療法は、敗血症などの体の状態が急激に悪化する病気にかかった時に起こる、血糖値の異常な上昇を抑えるための治療法です。私たちの体は、病気や怪我をすると、それを治そうとして様々な反応を起こします。この反応をストレス反応といいますが、このストレス反応によって血糖値が上昇することがあります。また、治療のために使う薬の影響で血糖値が上がることもあります。敗血症などの病気にかかると、このストレス反応が強く出てしまい、血糖値が非常に高くなることがあります。さらに、高血糖の状態が続くと、免疫の力が低下したり、様々な臓器がダメージを受けたりして、病気が悪化するリスクが高まります。そこで、強化インスリン療法では、インスリンを積極的に投与することで、血糖値を厳しく管理し、高血糖による悪影響を防ぐことを目指します。 インスリンは、血液中の糖をエネルギーとして利用するために必要なホルモンであり、血糖値を下げる働きがあります。強化インスリン療法によって、血糖値を適切にコントロールすることで、敗血症などの病気の経過を良くし、回復を早める効果が期待できます。
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エンドトキシン吸着療法:敗血症治療の革新

- エンドトキシン吸着療法とはエンドトキシン吸着療法は、血液の中に存在する毒素であるエンドトキシンを取り除く治療法です。私たちの体内では、通常、免疫システムが細菌などの病原体と戦ってくれています。しかし、細菌の中には、グラム陰性菌という種類があり、その細胞壁の外膜にはエンドトキシンという毒素が含まれています。グラム陰性菌が血液中に侵入し、増殖すると、エンドトキシンが血液中に放出され、敗血症と呼ばれる重篤な病態を引き起こすことがあります。敗血症は、過剰な免疫反応によって臓器障害やショック状態を引き起こし、命に関わることもある恐ろしい病気です。エンドトキシン吸着療法では、血液を体外循環させながら、エンドトキシンだけを吸着する特殊なフィルター(カラム)に通すことで、血液を浄化します。この治療法によって、血液中のエンドトキシン濃度を低下させ、敗血症の症状を改善させる効果が期待できます。エンドトキシン吸着療法は、主にグラム陰性菌感染による敗血症の治療に用いられます。ただし、この治療法単独ですべての敗血症を治せるわけではなく、抗菌薬による治療などと併用されることが一般的です。
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活性化プロテインC:血液凝固と炎症の制御

- 活性化プロテインCとは私たちの体内には、怪我などで出血した際に血液を固めて止血する、血液凝固系というシステムが備わっています。このシステムは、血液をスムーズに流すという役割と同時に、出血が起きた際には速やかに止血するという、相反する働きを両立させています。活性化プロテインC(APC)は、この血液凝固系において重要な役割を担うタンパク質の一つです。APCは、肝臓で作られるプロテインCが、血液凝固反応の過程で活性化されたものです。プロテインCの活性化には、食事から摂取する脂溶性ビタミンであるビタミンKが欠かせません。ビタミンKが不足すると、プロテインCが十分に活性化されず、血液が固まりすぎる状態、つまり血栓症のリスクが高まります。APCは、血液凝固反応を促進する働きを持つタンパク質の働きを阻害することで、血液凝固反応を抑制し、血栓の形成を防ぐ役割を担っています。また、APCは血液凝固系だけでなく、炎症反応にも関与しており、炎症反応を抑制する効果も期待されています。このように、APCは私たちの体内で非常に重要な役割を担っており、健康を維持する上で欠かせない存在と言えるでしょう。
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命を守る!感染性梗塞の基礎知識

- 感染性梗塞とは感染性梗塞は、体内に侵入した細菌や真菌などの病原体が原因となって血管が詰まり、血液の流れが遮断されることで起こる病気です。その結果、血液が行き渡らなくなった組織は酸素や栄養が不足し、壊死してしまうことがあります。通常、健康な状態であれば、体内に侵入した細菌や真菌は、免疫システムによって排除されます。しかし、病気や加齢、栄養不足などが原因で免疫力が低下していると、細菌や真菌は容易に増殖し、感染性梗塞のリスクが高まります。特に、心臓弁膜症や人工弁置換術を受けた後など、心臓に病気を持つ方は注意が必要です。心臓弁に異常があると、血液の流れが乱れてしまい、細菌が付着しやすくなります。また、人工弁は、体にとって異物であるため、細菌が付着しやすく、感染症のリスクが高まります。感染性梗塞は、命に関わる危険性も高く、早期発見・早期治療が重要です。発熱や倦怠感、息切れ、胸の痛みなどの症状が見られた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。