
放射線災害と緊急医療体制
- 緊急被ばく医療とは緊急被ばく医療とは、原子力発電所の事故やテロなどによって、放射線が大量に放出される事故が発生した際に、被ばくした可能性のある人々に対して、迅速かつ適切な医療を提供するための体制のことです。放射線は目に見えず、臭いもないため、被ばくしたことにすぐには気づかないことがあります。しかし、体内に多量の放射線を浴びると、細胞や組織が損傷し、吐き気や嘔吐、下痢、脱毛、皮膚の炎症といった症状が現れることがあります。さらに、大量に被ばくすると、命に関わることもあります。そのため、放射線災害が発生した場合には、被ばくした可能性のある人を速やかに病院へ搬送し、専門的な医療を提供することが重要です。緊急被ばく医療では、まず、被ばくした人の体を洗い、放射性物質を取り除く除染を行います。その後、被ばくの程度を調べるために、血液検査や線量測定などを行います。被ばくの程度に応じて、適切な治療が行われます。軽度の被ばくであれば、安静にしていれば自然に回復することがほとんどですが、重度の被ばくの場合には、造血幹細胞移植などの高度な医療が必要となることもあります。緊急被ばく医療は、放射線災害から人々の命と健康を守るために非常に重要な役割を担っています。