
脅威の食中毒:溶血性尿毒症症候群を知っていますか?
食中毒と聞くと、吐き気や下痢といった症状を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。確かに、多くの場合、食中毒は比較的軽い症状で済むことが多いです。しかし、油断は禁物です。中には、命に関わるような重い合併症を引き起こす危険な食中毒も存在するのです。その一つが、今回ご紹介する「溶血性尿毒症症候群(HUS)」です。HUSは、腸管出血性大腸菌O157などの特定の細菌が作り出す毒素によって引き起こされます。この毒素は、体内に侵入すると、血液中の赤血球を破壊し、腎臓などの臓器に深刻なダメージを与えます。その結果、血便や血小板減少、腎機能障害といった深刻な症状が現れます。特に、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者は重症化しやすく、最悪の場合、命を落としてしまうこともあります。HUSは決して他人事ではありません。私たちの身近なところに潜む危険な食中毒であることをしっかりと認識し、予防対策を徹底することが重要です。