医療用語

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無気肺:呼吸が浅いときの危険性

- 無気肺とは無気肺は、肺の一部または全部が膨らまなくなる病気です。呼吸をする際、私達は普段意識していませんが、空気は気管を通って肺へと送られています。そして、肺の中で酸素と二酸化炭素の交換が行われ、私達は生きていくことができます。しかし、無気肺になると、肺に十分な空気が届かなくなってしまうのです。その原因は様々で、空気の通り道である気道が、痰や異物によって塞がってしまう場合や、肺の外側から腫瘍や胸水が圧迫することで起こる場合があります。健康な状態であれば、肺は常に空気を吸い込んで膨らんでいます。しかし、無気肺になるとこの肺の膨らみが十分に行われなくなり、呼吸が困難になります。さらに、肺で酸素と二酸化炭素の交換がうまくいかなくなるため、血液中の酸素濃度が低下してしまいます。その結果、息切れや動悸といった症状が現れるようになり、重症化すると意識を失ってしまうこともあります。無気肺は、肺炎や気管支喘息、肺塞栓症などの病気の合併症として起こることが多く、注意が必要です。もし、呼吸困難や息切れなどの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診するようにしてください。
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脈がないのに心臓は動いている? 無脈性電気活動とは

- 無脈性電気活動 生存のために理解すべき心臓の緊急事態無脈性電気活動(PEA)という言葉は、医療関係者以外の方にはあまり馴染みがないかもしれません。しかしこれは、心臓が血液を送り出すという重要な役割を果たせなくなる、命に関わる深刻な状態です。つまり、心臓の電気信号は動いていても、心臓自体は効果的に拍動しておらず、血液を身体全体に循環させることができない状態を指します。PEAは、心筋梗塞や重度の出血、中毒など、様々な要因によって引き起こされます。心臓が正常に拍動しなくなるため、意識を失ったり、呼吸が止まったりするなど、生命の危機に直結する症状が現れます。PEAを疑う症状が現れた場合、一刻も早い対応が不可欠です。迷わず救急車を要請し、救急隊員に状況を正確に伝えましょう。医療現場では、PEAの原因を特定し、心臓を正常な状態に戻すための処置が行われます。PEAは決して他人事ではありません。日頃から、PEAに関する正しい知識を身につけておくことが、自分や周りの人の命を守ることに繋がります。
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肺の柔軟性を示す「肺コンプライアンス」

- 肺コンプライアンスとは私たちは、普段意識することなく呼吸をしていますが、この呼吸によって肺は膨らんだり縮んだりして、空気を取り入れたり、吐き出したりしています。この時、肺がどれくらいスムーズに膨らむことができるのかを示す指標が、肺コンプライアンスです。肺コンプライアンスは、肺の柔らかさを表す数値と例えることができます。 数値が大きいほど、肺は柔らかく、少ない力で大きく膨らみます。 風船に例えると、少しの息を吹き込むだけで、大きく膨らむ状態です。反対に、数値が小さい場合は、肺が硬くなっており、膨らみにくくなっていることを示します。これは、風船でいうと、ゴムが硬くなってしまい、同じ力で膨らませようとしても、なかなか大きくならない状態をイメージすると分かりやすいでしょう。肺コンプライアンスは、呼吸のしやすさに大きく関係しています。そのため、肺の病気などによって肺コンプライアンスが低下すると、息苦しさを感じたり、呼吸をするためにより多くのエネルギーを必要とするようになります。
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見逃し厳禁!ディストラクティング・インジャリーとは?

事故や転倒などで強い衝撃を受けたとき、その場での激しい痛みや目に見える傷に気を取られがちです。しかし、初期の段階では分かりにくい深刻な怪我をしている可能性もあります。特に、身体の支柱である脊椎を損傷すると、後遺症が残ったり、日常生活に支障をきたす可能性があります。そのため、脊椎損傷の可能性を常に念頭に置き、見逃さないようにすることが重要です。脊椎損傷では、首や背中、腰などに痛みやしびれを感じることがあります。また、手足の麻痺や感覚異常、排尿・排便障害が現れることもあります。これらの症状は、必ずしもすぐに現れるとは限りません。時間の経過とともに徐々に症状が現れる場合もあるため注意が必要です。もし、脊椎損傷の可能性が少しでもある場合は、むやみに動かしたりせず、速やかに救急車を要請することが大切です。救急隊員に状況を正確に伝え、指示に従って適切な処置を受けてください。自己判断で動いてしまうと、症状を悪化させたり、回復を遅らせたりする可能性があります。日頃から、事故時の対応について家族や周囲の人と話し合っておくことも大切です。いざというときに適切な行動が取れるように、知識を深め、備えておきましょう。
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知っていますか?トレンデレンブルグ体位のリスク

- 救急医療における体位とは?救急医療の現場では、一刻を争う状況の中、患者さんの状態を素早く把握し、適切な処置を行う必要があります。その際、患者さんの体位は、呼吸の確保、血液循環の維持、そして症状悪化の防止などに大きく影響を与えるため、非常に重要です。適切な体位をとることで、患者さんの身体への負担を軽減し、より効果的な処置を行うことができます。例えば、呼吸困難に陥っている患者さんに対しては、気道を確保するために頭を反らし、あごを持ち上げる体位が有効です。この体位をとることで、舌根沈下による気道閉塞を防ぎ、呼吸を楽にすることができます。また、ショック状態の患者さんに対しては、足を高く上げた体位をとることで、心臓への血液還流量を増やし、血圧の低下を抑制することができます。一方、骨折などの怪我を負っている患者さんに対しては、患部を動かさないように固定し、安静を保つ体位が重要です。むやみに動かしてしまうと、症状が悪化したり、さらなる怪我に繋がったりする可能性があります。このように、救急医療における体位は、状況に合わせて適切に選択することが非常に重要です。状況判断を誤り、不適切な体位をとってしまうと、患者さんの容態を悪化させてしまう可能性もあるため、注意が必要です。
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心拍再開:救命率向上への鍵

- 心拍再開とは心臓が止まってしまい、血液を全身に送ることができなくなった状態、つまり心肺停止の状態から、再び心臓が動き出すことを心拍再開といいます。心臓は、全身に血液を送るポンプのような役割を担っています。この心臓が止まってしまうと、血液は体の中を巡ることができなくなり、酸素や栄養が体の隅々まで行き渡らなくなります。心肺停止の状態では、すぐに心臓を再び動かすための処置が必要となります。医療現場では、胸骨圧迫や人工呼吸などの心肺蘇生が行われます。そして、これらの処置によって心臓が再び動き出すことを、心拍再開と呼ぶのです。心拍再開を判断する際には、首筋や腕の付け根などにある動脈を触って、脈拍を確認します。脈拍が確認できた場合、心臓が再び血液を送り出し始めたと判断できます。これは、心肺蘇生が成功したことを示す重要なサインであり、患者さんの命を救うための大きな一歩となります。
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髄膜刺激症状:項部硬直とは

- 髄膜刺激症状の概要髄膜刺激症状とは、脳と脊髄を包む薄い膜である髄膜に炎症や刺激が起きた際に現れる、いくつかの症状を組み合わせた呼び方です。この髄膜は、私達の大切な脳と脊髄を外からの衝撃やばい菌から守る、いわば防護服のような役割を担っています。この髄膜に何らかの原因で炎症が起きると、周囲の組織や神経が刺激されてしまいます。その結果、頭を締め付けられるような激しい頭痛や、高い熱、吐き気といった症状が現れます。さらに症状が進むと、意識が朦朧としたり、痙攣を起こしたりするなど、命に関わる危険性も出てきます。髄膜刺激症状を引き起こす病気には、細菌やウイルス感染によって髄膜に炎症が起きる髄膜炎や、脳の血管が破れて出血するくも膜下出血などがあります。これらの病気は、いずれも早急な診断と適切な治療が必要となるため、少しでも疑わしい症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診することが大切です。
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息苦しさの原因と対処法:起坐呼吸とは?

- 起坐呼吸とは「-起坐呼吸-」とは、横になって休むよりも、座ったり体を起こしたりした方が呼吸が楽になる状態を指します。人は誰でも、横になると重力によって肺が圧迫され、呼吸が少し浅くなるものです。しかし、心臓や肺に何らかの問題を抱えている場合、この影響が顕著に現れ、横になると呼吸が苦しくなることがあります。これが起坐呼吸です。起坐呼吸は、心臓や肺の機能が低下しているサインである可能性があります。心臓の機能が低下すると、体中に血液を送り出すポンプとしての役割が弱まり、血液の循環が悪くなります。その結果、肺に血液が溜まりやすくなり、横になった際に呼吸困難を引き起こしやすくなるのです。また、肺炎や肺水腫などの肺の病気でも、肺に体液が溜まりやすくなるため、起坐呼吸が現れることがあります。起坐呼吸は、これらの病気のサインとして現れることがありますが、必ずしも深刻な病気の兆候であるとは限りません。しかし、頻繁に起坐呼吸が見られる場合や、動悸、息切れ、むくみなどの症状を伴う場合は、医療機関を受診し、医師の診断を受けるようにしましょう。
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血管攣縮:その原因と予防法

- 血管攣縮とは血管は、体中に張り巡らされた重要な器官であり、血液を体の隅々まで送り届ける役割を担っています。この血管が、様々な要因によって一時的に収縮し、血液の流れが滞ってしまう現象を血管攣縮と呼びます。血管攣縮を引き起こす要因は、薬剤の影響や医療行為における機械的な刺激、血管の収縮に関与する物質やホルモンの作用など、多岐にわたります。例えば、寒冷刺激によって指先の血管が縮み、白くなる現象も血管攣縮の一種です。血管が収縮すると、血液の流れが悪くなり、酸素や栄養が十分に供給されなくなります。その結果、軽い場合は、しびれや痛みを感じますが、重症化すると、組織が壊死したり、臓器に障害が出たりする可能性もあります。血管攣縮は、くも膜下腔出血や狭心症、心筋梗塞など、私たちの健康や生命に関わる様々な病気のリスクを高める可能性があります。そのため、血管攣縮のメカニズムや原因を理解し、予防や治療に役立てることが重要です。
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知っておきたい!深部体温「核温」とは?

私たちの体の温度は、場所によって違うことを知っていますか?体温には、大きく分けて「核温」と「体表温」の二つがあります。 体表温は、皮膚の温度のことです。気温や湿度の影響を受けやすく、常に変化しています。例えば、寒い外にいると、皮膚の温度は下がり、温かい部屋に入ると、皮膚の温度は上がります。一方、核温は体の深部の温度のことです。脳や心臓、肝臓などの大切な臓器がある体の奥深くの温度を表しています。核温は、体表温のように周囲の温度に左右されにくく、ほぼ一定に保たれています。これは、私たちの体が、生きていくために必要な機能を維持するために、重要な臓器の温度を一定に保つように調節しているからです。体温を測る時は、通常、体表温を測っています。体温計を使う場所によって、得られる温度が異なるのはこのためです。脇の下で測る体温は、口の中や耳の中で測る体温よりも低くなります。これは、脇の下の皮膚が、他の場所よりも外気に触れにくく、温度が低いためです。健康な状態を保つためには、核温を一定に保つことが大切です。体温調節機能が正常に働かなくなると、熱中症や低体温症などを引き起こす危険性があります。
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緊急時に注意!奇脈とその重要性

- 奇脈とは?聞き慣れない言葉かもしれませんが、「奇脈」は心臓の健康状態を把握する上で重要なサインです。健康な状態では、息を吸うと胸腔が広がり、心臓に戻る血液の量が一時的に減少します。すると、体は血圧を保とうとして、心臓をより強く収縮させます。そのため、通常は息を吸っても血圧は大きく変動しません。しかし、心臓に何らかの異常があると、このバランスが崩れます。例えば、心臓を包む袋に水が溜まる「心タンポナーデ」や、心臓を圧迫するような病気にかかると、心臓は十分に血液を取り込めなくなります。その結果、息を吸った際に心臓に戻る血液量がさらに減少し、血圧が大きく低下してしまうのです。これが奇脈です。具体的には、息を吸った時の収縮期血圧(心臓が収縮した時の血圧)の低下が10mmHg以上になると、奇脈と診断されます。奇脈は、脈拍が弱くなったり、場合によっては消失するように感じられることもあります。これは、息を吸った際に心臓のポンプ機能が低下し、血液を十分に送り出せなくなるために起こります。奇脈は、心臓の病気が隠れているサインである可能性があります。そのため、もしも奇脈のような症状を感じたら、速やかに医療機関を受診し、医師の診察を受けるようにしてください。