
救命現場におけるMAST:効果と限界
- MASTとはMAST (Medical Anti-Shock Trousers)は、ショック状態にある患者の症状を改善するために用いられる医療機器です。これは、空気を入れて膨らませることのできる、いわば「空気圧ズボン」のような構造をしています。MASTを装着すると、両足全体と骨盤、腹部を空気圧で圧迫します。この圧迫によって、下半身への血流が制限され、その結果として心臓や脳などの重要臓器への血流量が増加します。ショック状態とは、様々な原因によって血流量が著しく低下し、生命を脅かす危険性のある状態です。MASTは、このショック状態に陥った患者さんに対して、一時的に血圧を上昇させ、重要臓器への血流を維持することで、症状の改善を図ります。しかしながら、MASTはあくまでも一時的な処置であり、根本的な治療ではありません。そのため、MASTを装着した後には、速やかに病院へ搬送し、適切な治療を受けることが重要です。