医療機器

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救命現場におけるMAST:効果と限界

- MASTとはMAST (Medical Anti-Shock Trousers)は、ショック状態にある患者の症状を改善するために用いられる医療機器です。これは、空気を入れて膨らませることのできる、いわば「空気圧ズボン」のような構造をしています。MASTを装着すると、両足全体と骨盤、腹部を空気圧で圧迫します。この圧迫によって、下半身への血流が制限され、その結果として心臓や脳などの重要臓器への血流量が増加します。ショック状態とは、様々な原因によって血流量が著しく低下し、生命を脅かす危険性のある状態です。MASTは、このショック状態に陥った患者さんに対して、一時的に血圧を上昇させ、重要臓器への血流を維持することで、症状の改善を図ります。しかしながら、MASTはあくまでも一時的な処置であり、根本的な治療ではありません。そのため、MASTを装着した後には、速やかに病院へ搬送し、適切な治療を受けることが重要です。
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循環管理の要!肺動脈カテーテルとは?

- 肺動脈カテーテル心臓の状態を詳しく知るための管肺動脈カテーテルは、心臓の機能を詳細に評価するために用いられる、特殊な管のことです。別名スワン・ガンツカテーテルとも呼ばれます。このカテーテルは、心臓の状態や血液の流れに関する重要な情報を提供し、適切な治療方針の決定に役立ちます。カテーテルは、首や足の付け根にある大きな静脈から挿入し、心臓の右心房、右心室を通過して肺動脈へと進められます。カテーテルの先端にはセンサーが付いており、肺動脈内の圧力を測定することができます。この圧力は、心臓から送り出される血液量や、心臓が効率的に血液を送り出す能力などを反映しています。肺動脈カテーテルによって得られる情報としては、心臓のポンプ機能の指標となる心拍出量、心臓に戻る血液量を示す中心静脈圧、肺にどれだけの圧力がかかっているかを示す肺動脈楔入圧などがあります。これらの情報は、心不全、ショック、重症の呼吸不全などの深刻な病状の診断や治療において特に重要となります。ただし、肺動脈カテーテルは侵襲的な検査であるため、合併症のリスクも伴います。そのため、患者さんの状態や検査の必要性を慎重に判断した上で、実施が決定されます。近年では、超音波検査や心臓MRIなど、侵襲性の低い検査法の進歩により、肺動脈カテーテルの使用頻度は減少傾向にあります。
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いざという時の備え!AEDを知ろう

- AEDとはAEDは、Automated External Defibrillator(自動体外式除細動器)の略称です。これは、心臓が突然停止してしまった際に、電気ショックを与えることで心臓の正常なリズムを取り戻すための医療機器です。心臓が止まってしまうことを「心停止」といいますが、これは、心臓のポンプ機能が何らかの原因で停止し、血液を全身に送ることができなくなる状態です。心停止は、心臓発作や溺水、感電、事故など、様々な原因によって引き起こされる可能性があります。AEDは、この心停止状態の人に電気ショックを与えることで、心臓の動きを正常に戻すことを試みるための機器です。AEDは、医療従事者でなくても使用できるように設計されており、音声ガイダンスやイラスト表示に従って操作することができます。AEDは、街中や駅、学校、公共施設など、多くの人が集まる場所に設置されています。もしも目の前で人が倒れ、意識がない、呼吸をしていないなどの心停止の兆候が見られた場合は、ためらわずにAEDを使用することが重要です。迅速な対応が、救命の可能性を高めることに繋がります。