
腹腔ドレナージ:目的と種類、管理について
- 腹腔ドレナージとはお腹の中には、胃や腸などの臓器がスムーズに動くように、少量の液体(腹水)が存在します。しかし、病気などによってこの腹水が異常に増えてしまうことがあります。このような状態を「腹水症」と呼び、お腹の張りや痛み、呼吸困難などを引き起こすことがあります。腹腔ドレナージとは、腹水症の診断や治療のために、お腹の中に溜まった腹水を体外に排出する処置のことをいいます。具体的には、お腹に小さな穴を開け、そこから腹腔内へ細い管(ドレーン)を挿入します。このドレーンを通して、体外に腹水を排出します。腹腔ドレナージは、腹水の原因を調べるための検査(診断)と、症状を和らげたり治療を補助したりする目的(治療)の両方で行われます。診断を目的とする場合は、採取した腹水を分析することで、腹水症の原因を探ります。例えば、細菌感染やがん細胞の有無などを調べます。治療を目的とする場合は、過剰に溜まった腹水を排出することで、お腹の張りや圧迫感を軽減します。これにより、呼吸が楽になったり、食事が摂りやすくなったりする効果が期待できます。腹腔ドレナージは、比較的安全な処置ですが、合併症のリスクもゼロではありません。ドレーンの挿入部からの出血や感染、臓器損傷などの可能性があります。そのため、医師の説明をよく聞き、疑問や不安があれば解消しておくことが大切です。