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アルカローシス:その原因と症状

- アルカローシスとは私たちの体は、健康な状態を保つために、常に弱アルカリ性に保たれています。これを酸塩基平衡と呼びますが、アルカローシスは、このバランスが崩れ、血液中のpHが7.45を超えてアルカリ性に傾いた状態を指します。アルカローシスは、大きく分けて二つの原因によって起こります。一つは、呼吸によって体内の二酸化炭素が過剰に排出されてしまうことです。息を吸うと酸素を取り込み、息を吐くことで二酸化炭素を排出しますが、過呼吸などによってこのバランスが崩れると、血液中の二酸化炭素濃度が低下し、アルカローシスを引き起こします。もう一つの原因は、嘔吐や下痢などによって体内の酸が過剰に失われてしまうことです。私たちの胃は、食べ物を消化するために強い酸性の胃液を分泌しています。しかし、嘔吐を繰り返すことでこの胃酸が失われてしまうと、血液中の酸が減少し、アルカローシスを引き起こします。アルカローシスは、健康な状態ではあまり見られませんが、特定の病気や状態が原因となることが多いです。例えば、過呼吸症候群、心不全、腎臓病などが挙げられます。また、利尿剤などの薬の副作用として起こることもあります。アルカローシスの症状としては、めまい、しびれ、筋肉のけいれん、意識障害などがあります。重症化すると、呼吸不全や昏睡に至ることもあります。もし、これらの症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。
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酸素運搬のカギ!ボーア効果とは?

私たちは、生命を維持するために、常に呼吸をしています。呼吸とは、空気中の酸素を取り込み、体内で不要となった二酸化炭素を排出する、生きる上で欠かせない行為です。呼吸によって取り込まれた酸素は、血液によって体中の細胞へと運ばれます。この時、重要な役割を担っているのが、赤血球に含まれる「ヘモグロビン」という物質です。ヘモグロビンは、酸素と結びつきやすい性質を持っており、肺で酸素を取り込み、体中を巡りながら、必要な組織や細胞まで酸素を運び届けるという、大変重要な働きをしています。ヘモグロビンは、酸素が多く存在する場所では酸素と結びつきやすく、酸素が少ない場所では酸素を離しやすくなるという性質も持っています。この性質のおかげで、肺で効率よく酸素を取り込み、体の隅々まで酸素を届けることができるのです。そして、細胞に酸素を届けたヘモグロビンは、今度は細胞から二酸化炭素を受け取り、肺まで運んでいきます。このように、呼吸と酸素運搬は密接に関係しており、私たちの生命維持に欠かせないメカニズムと言えます。
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心臓のポンプ機能と前負荷の関係

私たちの体にとって欠かせない臓器である心臓は、全身に血液を送る重要な役割を担っています。心臓は休むことなく拡張と収縮を繰り返し、血液を循環させています。この心臓の働きにおいて、どれだけの負荷がかかっているのかを示す指標のひとつに「前負荷」があります。心臓が血液を全身に送り出すためには、まず心臓自身に血液を取り込む必要があります。心臓は、まるでポンプのように拡張することで、体中から戻ってきた血液を心室と呼ばれる部屋に受け入れます。この時、心室内の血液量が多いほど、心臓の筋肉はより強く収縮する必要があります。想像してみてください。小さな風船よりも、大きな風船を膨らませるには、より多くの空気と力が必要になりますよね。これと同じように、心室内の血液量が多いほど、心臓はより大きな力で収縮しなければなりません。この、心臓が拡張している時に、心室内の血液量によって心臓にかかる負荷のことを「前負荷」と呼びます。前負荷は、心臓が効率的に血液を送り出すために重要な要素の一つです。
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低酸素性肺血管攣縮:命を守る体の神秘

私たちは、呼吸をすることで体の中に酸素を取り込み、生きていくために必要なエネルギーを生み出しています。呼吸によって肺に取り込まれた酸素は、肺胞と呼ばれる小さな袋状の器官で血液中に取り込まれ、全身に届けられます。しかし、病気や周囲の環境の影響によって、この肺胞内の酸素濃度が低下することがあります。これを低酸素状態と呼びます。低酸素状態になると、体はその状況を異常ととらえ、様々な反応を起こします。酸素をより多く体に取り込もうとして、呼吸が速くなったり、心臓がドキドキと速く鼓動したりすることがあります。このような状態が続くと、めまいや頭痛、吐き気などを感じやすくなります。さらに症状が進むと、意識がぼやけたり、最悪の場合、意識を失ってしまうこともあります。低酸素状態を引き起こす原因は様々ですが、代表的なものとしては、肺炎や喘息などの呼吸器疾患、心不全などの循環器疾患、一酸化炭素中毒などが挙げられます。また、高山地帯など、空気中の酸素濃度が低い場所に行くと、健康な人でも低酸素状態になることがあります。低酸素状態は命に関わる危険な状態です。呼吸が苦しい、息切れがする、顔色が悪いなどの症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診することが大切です。
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健康を支える隠れた力:膠質浸透圧

私たちの体は、成人であれば約60%が水分で構成されており、この水分のバランスを保つことは、健康を維持するために非常に重要です。体の水分は、細胞の内側と外側に分かれて存在し、栄養素や酸素を体の隅々まで届けたり、老廃物を運び出したりと、重要な役割を担っています。この水分のバランスを調整する要素の一つに、「膠質浸透圧」があります。膠質浸透圧とは、血液中に含まれるタンパク質、特にアルブミンと呼ばれる物質によって生じる圧力のことを指します。アルブミンは、水を引き寄せる性質を持っているため、血管内の水分量を維持する力、つまり、水分を血管内に引き寄せる力として働きます。もし、体内のアルブミン量が低下してしまうと、膠質浸透圧も低下し、血管内に水分を保持することが難しくなります。その結果、血管から水分が漏れ出てしまい、むくみが生じたり、肺に水が溜まったりするなど、様々な健康上の問題を引き起こす可能性があります。膠質浸透圧は、私たちの体の水分バランスを維持する上で非常に重要な役割を担っており、健康を保つためには、適切な膠質浸透圧を維持することが不可欠です。
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脳を守る関所:血液脳関門

- 重要な脳への入り口私たちの体は、栄養や酸素を運ぶ血液によって支えられています。血液は全身を巡り、細胞に必要な物質を届けると同時に、不要なものを回収しています。しかし、脳は他の臓器とは異なり、特別な保護機構によって守られています。それが血液脳関門です。血液脳関門は、脳内の血管と、その周囲を取り囲むグリア細胞と呼ばれる細胞によって形成されています。この関門は、物質の脳内への通過を厳しく制限する役割を担っています。なぜ、脳はこれほどまでに厳重に守られているのでしょうか?それは、脳が私たちの思考、感情、記憶、運動など、生命活動の根幹を担う非常に重要な器官だからです。もしも、有害物質が簡単に脳内へ侵入してしまうと、脳の機能に重大な障害を引き起こす可能性があります。血液脳関門は、栄養素や酸素など、脳に必要な物質は通過させる一方、細菌やウイルス、有害物質などはブロックします。この働きによって、私たちの脳は常に安定した環境に保たれ、正常な機能を維持することができるのです。しかし、血液脳関門は、一部の薬剤の通過も阻害してしまうため、脳神経系疾患の治療においては課題となっています。現在、血液脳関門を突破して薬剤を脳へ届けるための新たな技術開発が進められています。
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体を守る謎の物質:一酸化窒素合成酵素

私たちの体内では、目には見えない極小の物質が休むことなく働いています。その一つが「一酸化窒素」と呼ばれる物質です。まるで体内の調整役のような存在であり、様々な役割を担っています。一酸化窒素は、血管を拡張させる働きを持っています。血管が広がることで、血液の流れがスムーズになり、酸素や栄養が体の隅々まで行き渡ります。また、血圧を調整する効果も期待できます。高血圧は様々な病気の原因となりますが、一酸化窒素は血管を拡張することで血圧の上昇を抑え、健康維持に貢献します。さらに、一酸化窒素は神経伝達物質としても重要な役割を果たしています。神経細胞から神経細胞へと情報を伝える役割を担い、記憶や学習、感情の制御など、脳の働きにも深く関わっています。驚くべきことに、この重要な働きを持つ一酸化窒素は、特定の酵素の働きによって体内で生成されています。体内のアミノ酸であるアルギニンから、一酸化窒素合成酵素と呼ばれる酵素によって作り出されます。つまり、私たちの体は、必要な時に必要な量の一酸化窒素を作り出し、体の状態を常に調整しているのです。