
活性酸素消去酵素:スーパーオキサイドディスムターゼ
- 活性酸素とスーパーオキサイドディスムターゼ私たちは、呼吸によって体内に酸素を取り込み、生命活動のエネルギーを得ています。このエネルギーを生み出す過程で、酸素の一部は「活性酸素」と呼ばれる物質に変化します。活性酸素は、まるで錆が生じるように、細胞を傷つける作用があります。しかし、ただ有害な物質というわけではありません。活性酸素は、体内に侵入してきた細菌やウイルスを攻撃し、排除する免疫機能においても重要な役割を担っています。健康な状態であれば、私たちの体内では活性酸素の発生と消去がバランスよく保たれており、問題なく過ごせているのです。しかし、ストレスや喫煙、紫外線、大気汚染などの影響によって活性酸素が過剰に発生してしまうと、細胞や組織への攻撃が激しくなり、様々な不調を引き起こすと考えられています。この状態は「酸化ストレス」と呼ばれ、老化の促進や、がん、動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病、 Alzheimer型認知症など、様々な病気との関連が指摘されています。活性酸素にはいくつか種類があり、その中でも「スーパーオキサイド」と呼ばれる活性酸素を分解するのが、「スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)」という酵素です。SODは、スーパーオキサイドを、毒性の低い過酸化水素と酸素に変換することで、細胞を酸化ストレスから守る働きをしています。過酸化水素は、その後別の酵素によって無害な水と酸素に分解されます。このように、SODは私たちの体にとって非常に重要な役割を担っており、健康を維持するために欠かせない酵素と言えるでしょう。