侵襲

けが人へ医療

二段侵襲説:体の危機回避システム

- 二段侵襲説とは私たちの体は、病気や怪我など、さまざまなストレスにさらされています。大きなストレスを受けた時、私たちの体はどのように反応し、時には臓器不全に陥ってしまうことがあるのでしょうか。そのメカニズムを説明する理論の一つに、「二段侵襲説」があります。従来は、臓器の機能不全は、一度きりの非常に強い衝撃やストレスによって引き起こされると考えられてきました。例えば、重度の交通事故による外傷や、広範囲にわたる火傷などがその例です。しかし、実際には、比較的軽度のストレスを受けた後、しばらくしてから臓器不全が起きるケースも少なくありません。二段侵襲説は、このような、一見関係なさそうな二つの段階を経て臓器不全に至るプロセスを説明します。第一段階では、感染症や手術、軽度の外傷など、比較的小さなストレスが体に影響を与えます。この時点では、臓器に目立った異常が見られないこともあります。しかし、体の中では、このストレスに対抗しようと、さまざまな変化が起きています。免疫システムが活性化し、炎症反応が起こり、エネルギー代謝が変化するなど、体は戦闘態勢に入ります。そして、この第一段階の影響が残っているところに、第二段階として、新たなストレスが加わると、臓器は一気に機能不全に陥ってしまうのです。第二段階のストレスは、必ずしも大きなものである必要はありません。軽度の感染症や手術、あるいは栄養状態の悪化などでも、臓器不全の引き金になり得ます。つまり、二段侵襲説は、私たちの体が過去のストレスの影響を蓄積している可能性を示唆しており、臓器不全の予防や治療において、この視点を持つことが重要です。
その他

大きな怪我や病気の後に起こる異化亢進:知っておきたい体の反応

- 異化とは何か?私たちは毎日、体を動かし、考え、そして生きていくためにエネルギーを必要としています。では、そのエネルギーはどこから来るのでしょうか?その答えは、私たちが食べる食べ物にあります。しかし、食べ物をただ口に入れるだけでは、エネルギーとして使うことはできません。そこで重要な役割を果たすのが「異化」と呼ばれる過程です。異化とは、簡単に言うと、私たちの体が、食べ物や体内に蓄積された物質を分解して、エネルギーを取り出す過程のことです。食べ物を例に考えてみましょう。ご飯やパンなどに含まれる炭水化物は、私たちの体の中に入ると、消化・吸収されてブドウ糖に変化します。そして、このブドウ糖がさらに分解される過程で、エネルギーが発生するのです。このように、異化は複雑な物質をより単純な物質へと分解し、その過程でエネルギーを取り出す反応です。私たちが生命活動を維持するために必要なエネルギーは、この異化によって作り出されているのです。そして、異化によって作り出されたエネルギーは、筋肉を動かしたり、体温を維持したり、新しい細胞を作ったりと、様々な活動に使われています。つまり、異化は、私たちが生きていく上で欠かせない、非常に重要な役割を担っていると言えるでしょう。