
身体の向きと肺の関係:下側肺障害にご用心
私たちは普段、何気なく呼吸をしていますが、体の向きによって肺への負担が変わってくることをご存じでしょうか。特に、仰向けに寝転んだ状態である「仰臥位」は、肺の働きに影響を与えやすい姿勢です。仰臥位の状態が長く続くと、重力の影響で血液や体液が背中側に溜まりやすくなります。すると、肺の下側が圧迫されてしまい、十分な量の空気を吸い込んだり、吐き出したりすることが難しくなるのです。このような状態を「無気肺」と呼びます。無気肺の状態になると、肺で酸素を取り込む機能が低下するため、血液中の酸素濃度が低下してしまいます。その結果、息苦しさを感じたり、呼吸が速くなったりするなど、呼吸困難の症状が現れることがあります。これが、仰臥位によって引き起こされる「下側肺障害」と呼ばれる状態です。特に、高齢者や呼吸機能が低下している方、寝たきりの方は、下側肺障害のリスクが高いと言われています。日頃から、体の向きを変えたり、軽い運動を取り入れたりするなどして、肺への負担を軽減することが大切です。