
妊婦さんの仰臥位は要注意!
- 仰臥位低血圧症候群とは?妊娠後期、特に臨月を迎えた妊婦さんや、お腹に大きな腫瘍がある方に見られる、仰向けに寝ると血圧が一時的に低下してしまう症状があります。医学的には『仰臥位低血圧症候群』と呼ばれ、英語の頭文字をとって『SHS』と略されることもあります。なぜこのような症状が起こるのでしょうか?その原因は、大きくなった子宮や腫瘍が、身体の奥にある太い血管である下大静脈を圧迫してしまうことにあります。この下大静脈は、身体の下半身から心臓へ血液を戻す重要な役割を担っています。しかし、妊娠後期や大きな腫瘍がある状態では、子宮や腫瘍の重みでこの血管が圧迫されてしまい、スムーズに血液が流れなくなってしまいます。その結果、心臓に戻る血液の量が減少し、心臓から全身に送り出される血液の量も同時に減少してしまいます。すると、全身に十分な血液が循環しなくなり、めまいやふらつき、吐き気、冷や汗、意識消失といった症状が現れることがあります。これが、仰臥位低血圧症候群です。