
メルトスルー:原子力発電所の最悪のシナリオ
- メルトスルーとは原子力発電所における深刻な事故の一つに、炉心溶融、いわゆるメルトダウンがあります。メルトダウンは、原子炉を冷却する機能が何らかの要因で失われ、核燃料が異常な高温に達してしまうことで発生します。 核燃料は高温になることで溶け始め、最終的にはどろどろの溶融物へと変化します。 この溶融物が、原子炉圧力容器やその外側を覆う格納容器の底部をも溶かしながら突き破ってしまう現象をメルトスルーと呼びます。メルトスルーは、放射性物質が外部環境に大量に放出される可能性を孕んだ、極めて深刻な事態です。溶融物が格納容器を突き破ると、放射性物質が土壌や地下水に混入し、広範囲に汚染が広がってしまう危険性があります。 このような事態を防ぐため、原子力発電所には、緊急炉心冷却装置や格納容器など、幾重にも安全対策が施されています。 メルトダウン自体が発生する確率は極めて低いですが、メルトスルーは更なる深刻な事態を引き起こす可能性があることを理解しておく必要があります。