
見過ごせない酸素不足?メトヘモグロビン血症とは
血液中のヘモグロビンは、全身に酸素を運ぶ役割を担っています。通常、ヘモグロビンは酸素と結びつきやすい状態ですが、一部は酸素と結びつきにくいメトヘモグロビンに変化します。健康な状態であれば、体内で生成されるメトヘモグロビンはごくわずかであり、問題となることはありません。しかし、先天的な要因や特定の薬物、化学物質への曝露などによって、メトヘモグロビンが過剰に生成されることがあります。これがメトヘモグロビン血症と呼ばれる状態です。メトヘモグロビンは酸素と結びつきにくい性質を持つため、増加すると血液が酸素を十分に運搬できなくなります。メトヘモグロビン血症の症状としては、皮膚や粘膜の青紫色化(チアノーゼ)、息切れ、動悸、疲労感、頭痛、めまい、意識障害などが挙げられます。重症化すると、呼吸困難に陥り、生命を脅かす可能性もあります。メトヘモグロビン血症の治療は、原因や重症度に応じて行われます。軽症の場合は、原因物質の除去だけで改善することもあります。重症の場合は、メチレンブルーという薬物を投与することで、メトヘモグロビンを通常のヘモグロビンに戻す治療が行われます。