
静かなる脅威:ぬるぬる地震の謎に迫る
- 見えざる地震、ぬるぬる地震とは?「ぬるぬる地震」と聞いて、一体どんな地震なのか想像できるでしょうか? あまり聞き慣れない言葉ですが、実は私たちの足元のずっと深い場所で、この「ぬるぬる地震」は発生しています。地球の表面はプレートと呼ばれる巨大な岩盤で覆われており、このプレートは常にゆっくりと動き続けています。ほとんどの場合、プレート同士は強く押し合い、その力によって周囲の岩盤は歪み、大きなエネルギーを蓄積していきます。そして、限界に達した時に岩盤が破壊され、蓄積されたエネルギーが一気に解放されることで、私たちが普段経験するような大きな揺れを伴う地震が発生するのです。一方、「ぬるぬる地震」は、専門的には「スロースリップ」と呼ばれ、通常の地震とは異なるメカニズムで発生します。プレート境界などの一部で、岩盤同士がゆっくりと滑り合うことでエネルギーが解放される現象であり、この滑りは数日から数年という長い期間にわたって続くこともあります。「ぬるぬる地震」は、通常の地震のように私たちが揺れを感じることはありません。しかし、GPSなどを用いた精密な地殻変動の観測によって、その動きをとらえることができます。一見、私たちの生活に影響がないように思える「ぬるぬる地震」ですが、実は周辺地域で発生する巨大地震の発生メカニズムを解明する上で重要な手がかりとなる可能性を秘めています。