ショック

感染症から守る

命を守る!敗血症性ショックの早期発見と対応

- 静かなる脅威敗血症性ショックとは敗血症性ショックは、細菌などの微生物が血液中に入り込み、全身に炎症を引き起こす敗血症の中でも、特に重症化した状態です。体内に侵入した細菌やウイルスなどの微生物と戦うために、私たちの体は様々な防御反応を起こします。しかし、この反応が過剰に起こってしまうと、炎症を引き起こす物質が血液中に大量に放出されてしまいます。これらの物質は、血管を拡げてしまうため、血圧の低下を引き起こします。点滴などによって水分を補給しても、血管が拡がった状態が続くため、血圧は上がりにくくなります。敗血症性ショックでは、心臓や肺、腎臓などの重要な臓器に十分な血液が行き渡らなくなります。その結果、臓器の機能が低下し、最悪の場合、死に至ることもあります。敗血症性ショックは、初期段階では、脈が速くなる、呼吸が速くなる、熱が出る、または体温が低下する、尿の量が減るなどの症状が現れます。さらに症状が進むと、意識がもうろうとしたり、血圧が急激に低下したりします。敗血症性ショックは、早期に発見し、適切な治療を行えば、救命できる可能性があります。少しでも異常を感じたら、ためらわずに医療機関を受診しましょう。
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体のSOSを見逃すな!:粘膜内pHでわかること

私たちは日々、呼吸をすることで酸素を取り込み、体中に送っています。この酸素は、体の中で行われる様々な活動のエネルギー源として欠かせないものです。もし、酸素が不足してしまうと、細胞は正常に働かなくなり、体に様々な不調が現れます。酸素不足は、目に見える形で現れるとは限りません。そのため、体の奥深くで起きている酸素不足を早期に発見することは容易ではありません。しかし、最近注目されている「粘膜内pH」を測定することで、血液検査などでは分からない、体の奥の酸素不足の状態を把握できる可能性があります。「粘膜内pH」とは、胃や腸などの粘膜の酸性度を示す数値です。酸性度は、0から14の範囲で表され、数値が低いほど酸性が強く、高いほどアルカリ性が強くなります。健康な状態では、粘膜内pHは弱酸性に保たれています。しかし、酸素不足の状態になると、細胞はエネルギーを生み出すために乳酸を作り出すようになり、その結果、粘膜内pHが酸性に傾くのです。粘膜内pHの変化は、自覚症状が出る前に現れることもあるため、体の奥底で起きている酸素不足のサインを見つけるための重要な指標となります。
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知っていますか?トレンデレンブルグ体位のリスク

- 救急医療における体位とは?救急医療の現場では、一刻を争う状況の中、患者さんの状態を素早く把握し、適切な処置を行う必要があります。その際、患者さんの体位は、呼吸の確保、血液循環の維持、そして症状悪化の防止などに大きく影響を与えるため、非常に重要です。適切な体位をとることで、患者さんの身体への負担を軽減し、より効果的な処置を行うことができます。例えば、呼吸困難に陥っている患者さんに対しては、気道を確保するために頭を反らし、あごを持ち上げる体位が有効です。この体位をとることで、舌根沈下による気道閉塞を防ぎ、呼吸を楽にすることができます。また、ショック状態の患者さんに対しては、足を高く上げた体位をとることで、心臓への血液還流量を増やし、血圧の低下を抑制することができます。一方、骨折などの怪我を負っている患者さんに対しては、患部を動かさないように固定し、安静を保つ体位が重要です。むやみに動かしてしまうと、症状が悪化したり、さらなる怪我に繋がったりする可能性があります。このように、救急医療における体位は、状況に合わせて適切に選択することが非常に重要です。状況判断を誤り、不適切な体位をとってしまうと、患者さんの容態を悪化させてしまう可能性もあるため、注意が必要です。
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乳酸アシドーシス:その原因と対策

- 乳酸アシドーシスとは私たちの体は、普段活動するためのエネルギーを生み出す過程で、乳酸という物質を作り出しています。健康な状態であれば、この乳酸は主に肝臓で分解され、血液中の濃度は一定に保たれています。しかし、何らかの原因で乳酸の産生が過剰になったり、分解が追いつかなくなったりすると、血液中に乳酸が異常に蓄積し、体の状態が酸性に傾いてしまうことがあります。これが「乳酸アシドーシス」と呼ばれる病態です。乳酸アシドーシスは、大きく分けて「A乳酸アシドーシス」と「B乳酸アシドーシス」の2つのタイプに分類されます。A乳酸アシドーシスは、激しい運動や呼吸不全、心不全など、組織への酸素供給が不足することで起こります。一方、B乳酸アシドーシスは、糖尿病や肝臓病、薬剤などが原因で起こり、酸素供給とは関係なく乳酸が過剰に産生されたり、分解が阻害されたりすることで発症します。乳酸アシドーシスは、意識障害や嘔吐、腹痛などの症状を引き起こし、重症化するとショック状態に陥り、命に関わることもあります。そのため、早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。
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緊急事態における循環亢進:敗血症ショックへの理解

- 循環動態の基礎私たちは、心臓が絶えず血液を送り出すことで、生きていくために必要な酸素や栄養を体の隅々まで届けています。この血液循環の仕組み全体を循環動態と呼び、私たちの生命維持に欠かせないものです。循環動態を理解する上で重要な指標となるのが、心臓が1分間にどれだけの血液を送り出すかを示す「心拍出量」と、血管の縮み具合を表す「末梢血管抵抗」です。心臓が力強く収縮すると、一度に多くの血液を送り出すことができます。このため、心拍出量は増加します。一方、血管が収縮すると血液が流れにくくなるため、末梢血管抵抗は高くなります。逆に、血管が広がると血液は流れやすくなるため、末梢血管抵抗は低くなります。このように、心拍出量と末梢血管抵抗は、お互いに影響し合いながら循環動態を調節しています。このバランスが崩れると、血圧が変動したり、臓器への血液供給が滞ったりするなど、様々な体の不調につながる可能性があります。
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命を守る!知っておきたいショックの知識

- ショックとはショックとは、生命の維持に欠かせない血液循環が悪化し、身体の組織や臓器に必要な酸素や栄養が行き渡らなくなる状態を指します。放置すると、臓器の機能不全に陥り、死に至ることもある危険な状態です。私たちの身体は、心臓のポンプ機能によって常に血液を循環させています。この血液は、酸素や栄養を全身の細胞に運び、同時に老廃物を回収するという重要な役割を担っています。 しかし、様々な原因で心臓の機能が低下したり、血管が拡張したり、血液量が減少したりすると、血液循環が悪化してしまいます。血液循環が悪くなると、身体は酸素不足に陥ります。初期症状としては、動悸や息切れ、冷や汗、顔面蒼白などが見られます。さらに悪化すると、意識がもうろうとしたり、脈拍が弱くなったり、尿量が減少したりします。 ショックの状態は一刻を争います。少しでも異常を感じたら、ためらわずに救急車を呼ぶことが大切です。
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知っておきたい神経性ショック:原因と症状、治療法まで

- 神経性ショックとは神経性ショックは、背骨の上部、特に胸椎の上の方にある脊髄が損傷されることで起こる深刻な状態です。交通事故や高いところからの落下など、体に強い衝撃が加わると脊髄が傷つき、神経の働きが乱れてしまいます。この神経の乱れが体に大きな影響を与えます。通常、血管は心臓から送り出される血液の量や流れを調整して、血圧を一定に保っています。しかし、神経性ショックの場合、この血管の調整機能がうまく働かなくなり、血管が広がりすぎてしまいます。すると、血液が体の中心から末梢へと過剰に流れ込み、心臓に戻る血液量が減少し、血圧が急激に低下してしまうのです。出血を伴わないにもかかわらずショック状態となるため、医療従事者であっても、初期の診断が難しい場合があります。迅速な診断と適切な治療が救命に不可欠です。
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見えない脅威: エンドトキシンと私たちの闘い

- エンドトキシンその正体エンドトキシンは、私たちの身の回りにありふれている、グラム陰性桿菌と呼ばれる種類の細菌の細胞壁に含まれている物質です。普段は大人しく、私たちが生活する上で特に病気の原因となることはありません。しかし、細菌が死滅したり、破壊されたりすると、状況は一変します。エンドトキシンは細菌の外に放出され、私たちの体内に侵入し始めます。体内に侵入したエンドトキシンは、私たちの体の防衛システムである免疫システムにとって、見過ごすことのできない異物として認識されます。免疫システムは、この侵入者であるエンドトキシンを排除しようと、過剰な反応を引き起こします。これが、様々な体調不良を引き起こす発熱、炎症、ショックなどの原因となるのです。エンドトキシンは、私たちの身の回りの水、空気、土壌など、どこにでも存在する可能性があります。特に、水回りの清掃が不十分な場所や、空調設備のフィルターの汚れなどに多く潜んでいる可能性があります。普段から清潔を心がけ、これらの場所に注意することで、エンドトキシンへの曝露リスクを減らすことができます。