
都市部の水害リスク:内水氾濫とは?
近年、都市部を中心に、短時間に大量の雨が降る集中豪雨が頻発し、各地で大きな被害が出ています。水害と聞いて、多くの人は川の氾濫を思い浮かべるのではないでしょうか。確かに、川の水が堤防から溢れてしまう「外水氾濫」は、広範囲にわたって甚大な被害をもたらします。しかし、近年では、私たちの身近な場所で起こる「内水氾濫」による被害も増加しているのです。内水氾濫とは、市街地などに降った雨が、排水溝や下水道などの排水能力を超えてしまい、道路や建物に流れ込んでしまう現象を指します。内水氾濫は、都市化の進展と深く関係しています。都市部では、建物や舗装された道路が増えたことで、雨水が地面にしみ込みにくくなっています。そのため、一度に大量の雨が降ると、雨水が行き場を失い、内水氾濫を引き起こしやすくなるのです。また、地球温暖化の影響も指摘されています。温暖化によって、大気中に含まれる水蒸気量が増加し、集中豪雨が起こりやすくなっていると考えられています。内水氾濫は、私たちの生活に深刻な被害をもたらします。道路が冠水すれば、交通網が麻痺し、物流が滞るなど、経済活動にも大きな影響が出ます。また、床上浸水により家財が損壊したり、停電が発生したりするなど、生活にも大きな支障が生じます。さらに、地下に流れ込んだ水が建物の基礎を傷つけ、建物の安全性に影響を及ぼす可能性もあります。