
エンドトキシン吸着療法:敗血症治療の革新
- エンドトキシン吸着療法とはエンドトキシン吸着療法は、血液の中に存在する毒素であるエンドトキシンを取り除く治療法です。私たちの体内では、通常、免疫システムが細菌などの病原体と戦ってくれています。しかし、細菌の中には、グラム陰性菌という種類があり、その細胞壁の外膜にはエンドトキシンという毒素が含まれています。グラム陰性菌が血液中に侵入し、増殖すると、エンドトキシンが血液中に放出され、敗血症と呼ばれる重篤な病態を引き起こすことがあります。敗血症は、過剰な免疫反応によって臓器障害やショック状態を引き起こし、命に関わることもある恐ろしい病気です。エンドトキシン吸着療法では、血液を体外循環させながら、エンドトキシンだけを吸着する特殊なフィルター(カラム)に通すことで、血液を浄化します。この治療法によって、血液中のエンドトキシン濃度を低下させ、敗血症の症状を改善させる効果が期待できます。エンドトキシン吸着療法は、主にグラム陰性菌感染による敗血症の治療に用いられます。ただし、この治療法単独ですべての敗血症を治せるわけではなく、抗菌薬による治療などと併用されることが一般的です。