エックス線

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エックス線の基礎知識:防災と防犯への応用

- エックス線とはエックス線は、太陽光や照明の光と同じく電磁波の一種です。しかし、私たちの目で捉えることのできる光と比べて、波長が非常に短いという特徴を持っています。この波長の短さこそが、エックス線を特別な存在にしているのです。19世紀末、ドイツの物理学者レントゲンは、真空管を使った実験中に、目に見えない新しい光を発見しました。当時はその正体が解明されていなかったため、未知を表す「X」の文字を用いて「エックス線」と名付けられました。エックス線の最大の特徴は、物質を透過する能力が高いことです。これは、波長が短いほど物質を構成する原子間の隙間を通り抜けやすくなるためです。この性質を利用すると、私たちの体はもとより、鞄の中身や、建物内部まで透視することができます。現在では、医療現場における画像診断でお馴染みです。骨などの硬い組織はエックス線をあまり通さないため、レントゲン写真に白く映し出されます。一方、筋肉などの軟組織はエックス線を比較的通すため、黒っぽく映ります。この濃淡の違いを利用して、骨折や腫瘍などの診断に役立てられています。また、エックス線は医療分野以外にも、空港の手荷物検査や、工場における製品の非破壊検査など、幅広い分野で活用されています。私たちの生活の安全と安心を支える、なくてはならない技術と言えるでしょう。