アシドーシス

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アニオンギャップ:体の酸塩基バランスの指標

- 体の電解質バランス私たちの体には、体液の中に溶けて電気的な性質を持つ「電解質」と呼ばれる物質が存在します。ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムといった陽イオンと、塩素、リン酸、 bicarbonateといった陰イオンが代表的な電解質です。これらの電解質は、体内の水分量の調整や栄養分の運搬、神経や筋肉の働きなど、生命維持に欠かせない様々な役割を担っています。例えば、ナトリウムは細胞外液の浸透圧を維持することで、体内の水分バランスを調整しています。また、カリウムは神経伝達や筋肉の収縮に、カルシウムは骨や歯の形成、血液凝固などにそれぞれ重要な役割を果たしています。通常、体内の電解質はバランスを保っていますが、発汗や下痢、嘔吐などで水分や電解質が失われると、このバランスが崩れ、脱水症状や熱中症、筋肉の痙攣などを引き起こす可能性があります。健康を維持するためには、水分と電解質を適切に摂取することが重要です。
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アシドーシス:体の酸性化にご用心

私たちの体は、健康を維持するために、まるで精密な機械のように体内環境を一定の状態に保とうと懸命に働いています。この絶妙なバランス調整機能の一つに、「酸塩基平衡」と呼ばれるものがあります。これは、体の液体が酸性とアルカリ性のどちらに傾いているかを表す指標で、私たちの体は、常に弱アルカリ性に保たれるように調整しています。しかし、様々な要因によってこのバランスが崩れ、体が酸性に傾きすぎる状態になることがあります。これが「アシドーシス」と呼ばれる状態です。アシドーシスは、呼吸が浅くなったり、疲労感が増したり、食欲不振に陥ったりするなど、様々な不調を引き起こす原因となります。また、重症化すると、意識障害や昏睡状態に陥ることもあり、命に関わる危険性も孕んでいます。この酸塩基平衡を維持するためには、日々の食生活が非常に重要です。肉類や糖質の過剰摂取は、体を酸性に傾ける原因となります。逆に、野菜や海藻類など、アルカリ性食品を積極的に摂取することで、酸性に傾きがちな体を中和し、バランスを整えることができます。健康な体を維持するためには、酸塩基平衡を意識した食生活を心がけることが大切です。
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糖尿病性ケトアシドーシス:命に関わる合併症

- 糖尿病性ケトアシドーシスとは糖尿病性ケトアシドーシスは、インスリンというホルモンが十分に働かなくなることで発症する、命に関わる危険性のある糖尿病の合併症です。私たちの体は、食事から摂取した糖をエネルギー源として利用しています。インスリンは、血液中の糖を細胞内に取り込むために欠かせないホルモンです。しかし、糖尿病の人はインスリンの分泌量が少ない、あるいはインスリンがうまく働かないため、細胞が糖をエネルギーとして利用できません。そこで体は、エネルギー不足を補うために脂肪を分解し始めます。この脂肪分解の過程で、ケトン体と呼ばれる酸性の物質が大量に作られます。ケトン体は本来、一時的なエネルギー源として利用されるものですが、大量に作られすぎると血液中に溜まり、血液が酸性に傾いてしまいます。これが「アシドーシス」と呼ばれる状態です。糖尿病性ケトアシドーシスは、適切な治療を行わなければ意識障害や昏睡に陥り、最悪の場合、死に至ることもあります。早期発見・早期治療が重要となるため、糖尿病の人は、のどの渇きや頻尿、倦怠感、吐き気などの症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。
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致死的3徴とは:重症外傷における危険な兆候

- 致死的3徴の概要事故や災害で大きな怪我を負った時、命に関わる深刻な状態に陥ることがあります。医学の世界では『致死的3徴』と呼ばれるものがそれにあたります。これは、一般的に死のサインとして知られる『瞳孔反応の停止』『呼吸の停止』『心臓の停止』の三徴とは全く異なるものです。致死的3徴は、重症外傷後に現れる『低体温』『アシドーシス』『凝固異常』の3つの状態を指します。 これらの状態が重なると、生存率が著しく低下してしまうため、一刻を争う迅速な処置が必要となります。まず、『低体温』とは、文字通り体温が低下した状態を指します。大量出血や体温の低下する環境下では、体が冷えやすく、低体温に陥りやすくなります。低体温になると、心臓、脳、血液の循環などの機能が低下し、生命の危機に繋がります。次に、『アシドーシス』は、血液が酸性に傾いた状態です。呼吸不全やショック状態になると、体内で酸素がうまく取り込めなくなり、血液中に酸が溜まりやすくなります。アシドーシスは、心臓の機能低下や意識障害を引き起こし、最悪の場合、死に至ることもあります。最後に、『凝固異常』は、血液が固まりにくくなる状態です。大怪我や手術などにより大量出血が起こると、血液の凝固因子と呼ばれる成分が消費され、体が本来持つ止血機能がうまく働かなくなります。その結果、出血が止まらず、生命の危機に直面することになります。このように、致死的3徴はそれぞれが独立した危険因子であると同時に、互いに悪影響を及ぼし合い、負の連鎖を引き起こす点に注意が必要です。迅速な処置と適切な治療によって、この負の連鎖を断ち切ることが、救命率向上に不可欠と言えるでしょう。
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呼吸性アシドーシス:原因と症状、そして対策について

- 呼吸性アシドーシスとは人間の体は、常に一定の状態に保たれています。それは体温の調節や、今回のテーマである体内の酸性とアルカリ性のバランスも例外ではありません。このバランスが崩れ、血液が酸性に傾いた状態をアシドーシスと呼びますが、その中でも肺の機能低下が原因で起こるものを呼吸性アシドーシスと言います。私たちは呼吸をすることで、体内に酸素を取り込み、それと同時に二酸化炭素を体外へ排出しています。この二酸化炭素は、体内で酸性を示す物質に変化します。健康な状態であれば、呼吸によってこの酸性の物質が体外へ排出されるため、血液の酸性度は一定に保たれています。しかし、肺の病気や呼吸筋の麻痺などにより、呼吸機能が低下すると、体外へ排出されるべき二酸化炭素が体内に蓄積してしまうのです。その結果、血液中の酸性度が上昇し、呼吸性アシドーシスを引き起こします。呼吸性アシドーシスの主な症状としては、倦怠感や頭痛、意識障害などがあります。重症化すると、昏睡状態に陥り、命に関わる危険性も高まります。呼吸が速くなったり、息苦しさを感じたりする場合は、呼吸性アシドーシスの可能性も考えられますので、速やかに医療機関を受診しましょう。